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2024年3月28日【社会インフラ】

三菱ふそうのeキャンター、DBシェンカーが寒冷地で活用

坂上 賢治

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雪のフィンランドを走るeCanter

 

最北に位置する北極圏付近の極寒の寒冷地で活躍する「eCanter」

 

三菱ふそうトラック・バス(MFTBC)は3月28日、大手国際物流業者のDBシェンカーが、2024年1月に車両総重量(GVW) 7.5トンの「eCanter(eキャンター)」2台を導入した。

 

その導入2台のうち1台は、積雪が多く気温がマイナス30℃に下がる北東部の都市クーサモで活躍。ラストワンマイルの配送向けで運用されている。これは目下、eCanterの活用地域で最北のEVトラックとなっている。またもう1台も先のクーサモから南西約200kmに位置するオウルで稼働中という。

 

DBシェンカーは、これまでヨーロッパ全土で、従来モデルの「eCanter」50台を導入済み。同社は新たなeCanter2台を新規で導入するにあたり、寒冷地で電気トラックが不利という先入観を払拭するべく、新型モデルの導入を決定した。

 

DBシェンカーのクーサモにある物流拠点で「eCanter」を運転する同社のドライバーは、この数週間で1,200 km以上を走行し、「eCanter」の優れた性能を実証。極めて低い気温の寒冷地でも、車両は問題なくスムーズに運行する。

 

寒冷地で活きる装備、電気式バッテリープレコンディショニング

 

ちなみにこうしたフィンランド等の寒冷地で「eCanter」の運用する場合、車両の稼働開始前にバッテリーを適切な温度にするバッテリープレコンディショニングを使うことがが鍵となる。

 

新型「eCanter」では、新たにバッテリープレコンディショニング機能が搭載されているため、車両の走行開始前に「eCanter」のバッテリーを予熱を与えて温度を上げることができす。これにより、低い気温の寒冷地でも車両の走行性能を向上させることができる。

 

フィンランドのDB SCHENKERの施設内で直接 eCanterを充電する

 

DBシェンカーの所属ドライバーのサミ・マアッタ氏は、「eCanterのバッテリーがゼロになって立ち往生したことは、これまでありません。

 

自分が担当する走行ルートも、他の車両のルートも、eCanterが寒冷地でも問題なく走行できる性能を持ち合わせていることを証明できます。併せて寒冷時と異なり、暖かい季節では、車両の走行計画は更に柔軟になります。

 

同社(DBシェンカー)は、年間を通じてeCanterの運用に於いて新しい経験を積むべく、日々の車両を稼働させ運用上のノウハウを積み続けているのです」と話している。

 

CO₂排出量を削減するためにも、持続可能な物流戦略は不可欠

 

またDBシェンカーフィンランドの輸送責任者を担うヘラルド・キナピネン氏は、「我々に取ってeCanterの運用は、輸送戦略の一翼を担っているということができます。

 

私たちはお客様と共に、フィンランドに於ける持続可能な物流部門として先駆的役割を果たしたいと考えています。CO₂排出量を削減するためにも、電気トラックを活用した輸送への投資は不可欠です。

 

併せてフィンランドでは、小口輸送が輸送の大きな割合を占めており、新型eCanterは、この用途には理想的な車両です。また極端な気象条件のフィンランド北部で2台の車両を配備することは、私たちにとってまたとない機会であり、究極の実証試験でもあるのです」と説明した。

 

フィンランドのクーサモ周辺を走行するeCanter

 

MFTBCによると、DB シェンカーはヨーロッパで初めてeCanterを導入した顧客の一社であり、2018年に従来モデルをベルリンへ納車して以降、ドイツ、フランス、その他のヨーロッパ諸国で導入を加速させているという。現在、欧州では従来モデルを含む52台のeCanterがDB シェンカーの下で稼働をしていますと結んでいる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。