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2021年2月2日【企業・経営】

三菱自動車、2021年3月期第3四半期連結決算

松下次男

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 三菱自動車工業が2月2日発表した2021年3月期第3四半期(4~12月)連結決算はグローバル販売台数が大きく落ち込んだことなどにより最終損益が2440億円の赤字となった。前年同期は118億円の赤字。一方で、構造改革が進展してきたことから2021年3月期通期見通しの利益を上方修正、最終損益を3300億円の赤字へと修正した。(佃モビリティ総研・松下 次男)

 

 2020年度4~12月期の連結業績は売上高が9528億円で前年同期比42・8%減、営業損益が8676億円(前年同期36億円)の赤字となった。
2021年3月期通期業績見通しは売上高を1兆4600億円(前年比35・7%減)へと前回見通しから200億円引き下げた。欧州やASEANで2千億円を超える落ち込みのほか、北米でも1千億円強の落ち込みを予想しているのが大きな要因。

 

営業損益、最終損益は前回見通しからそれぞれ400億円、300億円上方修正。営業損益を1000億円(前年同期128億円)予想へと変更した。前期の最終損益は258億円の赤字。
売上高予想を引き下げたのにも関わらず営業利益を上方修正したのは、前倒しで進めている構造改革や経費削減が着実に進捗していること。構造改革については通期見通しで356億円のプラスを見込む。

 

 また、10~12月の第3四半期の3か月ベースでみても、収益は大きく改善。期間の儲けを示す営業損益は41億円にまで縮小。小売り台数も着実に増加している。
 2020年度4~12月期の販売台数は56万9千台で前年同期比35%減となった。全地域で前年同期を割り込んだ。

 

 地域別にみると、日本は4万3千台で同37%減。主力市場のASEAN(東南アジア諸国連合)は13万2千台で同43%減となった。
このほか豪州・ニュージーランドが4万9千台で同28%減、中国地域が8万1千台で同34%減、北米が7万5千台で同35%減、欧州が11万1千台で同31%減、中南米、中東・アフリカ地域が7万8千台で同28%減となった。

 

 2020年度通期の販売台数見通しは80万2千台で前期比29%減を予想。大半の地域で下方修正し、前回見通しから約2万2千台引き下げた。
地域別内訳では、日本が7万5千台で同21%減、ASEANが19万6千台で同32%減を見込んでいる。
このほか豪州・ニュージーランドが7万台で同20%減、中国地域が10万6千台で同26%減、北米が11万2千台で同30%減、欧州が14万6千台で同32%減、中南米、中東・アフリカ地域が9万7千台で同29%減を予想している。

 

 昨年策定した構造計画については、間接員労務費、マーケティング費の削減や生産体制再編などに前倒しで取り組んでいる。具体的には、間接員労務費で希望退職や報酬制度見直しを実施、マーケティング費用ではノンコア地区抑制などを進める。

 

 生産体制見直しでは、パジェロ製造生産停止のほか、生産ラインの統廃合などを実施。このほか、欧州向け新規開発を凍結。さらに子会社を本社オフィスビルに集約し、経費を削減する。
2020年度の設備投資は830億円と前期比20%減、研究開発費は1020億円と同22%減、原価償却費は600億円と同12%減と一段と絞り込む計画。期末配当金は見送る予定だ。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。