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2020年5月19日【トピックス】

三菱自動車工業、2020年3月期連結決算

間宮 潔

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三菱自動車・ロゴ

 

三菱自動車、2020年3月期連結決算で赤字、次期業績予想は未定

 

 三菱自動車は5月19日、電話会議方式で2020年3月期連結決算説明会を開催した。グローバルな自動車需要低迷に加えて、新型コロナウイルス感染拡大による影響が重なり、三菱車の世界販売台数(小売)は前期比9.4%減の112万7千台と、当初想定を上回る減少に見舞われ、業績を悪化させた。(佃モビリティ総研・間宮潔)

 

2020年3月期の連結売上高は前期比9.7%減の2兆2703億円、営業利益も同88.6%減の128億円と減収減益となり、経常利益段階で38億円、当期純利益で258億円の赤字に陥った。

 

赤字決算は、燃費データ不正問題が起きた17年3月期の業績不振以来、3期ぶりとなる。販売台数の減少や円高による為替差損による収益圧迫に加えて持分法による投資損益の悪化、さらに繰延税金資産取崩しによる法人税等調整額を計上したためだ。

 

すでに4月24日公表の業績修正で明らかな通り、当初予定していた1株10円の期末配当は見送り、無配とした。執行役員をはじめ社外取締役も含めて役員報酬を返納・減額する。2020年度は基本報酬を20~30%減額するほか、業績連動報酬を不支給とする。社外取締役らも10~25%返納する。

 

次期業績予想について、加藤隆雄・代表執行役員CEOは、一部の地域で段階的に経済活動を再開し始めているものの、「コロナウイルス感染拡大の克服と出口は見通せていない。著しく不透明な事業環境にある」として、未定とした。

 

今年4~6月の業績(21年3月期第1四半期)がまとまる時期をめどに、通期の業績予想を開示する意向で、19年度を最終年度とする中期経営計画「Drive for Growth」の総括と新中期計画策定の方向性を示した。

 

向こう2年間で徹底したコスト改革・収益力改革を推進。アセアンに経営資源投入

 

売上高2.5兆円、営業利益率6%以上(1500億円)を掲げた3カ年の中期経営計画は未達に終わった。とくに営業利益が大幅に低下、収益力が悪化した。とくに固定費が15年度比で1.3倍に増えており、これを向こう2年間で徹底して削減する。

 

例えば、研究開発費では1000億円規模から1300億円規模に膨らんでいる。間接人員も7千人規模から9千人規模に拡大しており、見直す。

 

具体的には、2015年度比で「固定費20%以上削減」する方針で、額にして1000億円規模の削減を目指す。

 

前中期経営計画で掲げたメガマーケットへの全方位拡大戦略が経費増を招いており、これを改める。収益性の悪い地域、収益性の悪い商品を見直する。コアマーケット(重点地域)としてアセアンに経営資源を投入する考えだ。

 

米国市場からの撤退など具体的な絞り込みについて、回答を避けた。ホームマーケットである日本市場では、日産自動車とのアライアンスを強化することで基盤を固める一方、ルノーを含めた三社連携をグローバルに広げる見通し。

 

2017年10月からインドネシアで生産販売を始めた新型エクスパンダ―は19年度に11万4千台をインドネシア内外で販売した。タイ、フィリピン、ベトナムの3カ国ではMPVセグメントのナンバーワン銘柄になるなど、三菱車のシェアが高く、重点市場ととらえている。
アセアンにおける三菱車販売(小売)は29万台で18年度比9%減と世界的な景気後退のあおりを受けた。三菱車世界販売に占める割合は25.7%だ。

 

欧州は21万5千台(18年度比9%減、構成比19.1%)、北米は16万台(同8%減、同14.2%)となっている。

 

中国他は14万3千台(同12%減、同12.7%)。中南米・中東・アフリカ他が13万6千台(同8%減、同12.1%)、豪州・ニュージーランドは8万8千台(同14%減、同7.8%)だ。

 

ホームマーケットの日本も9万5千台(18年度比10%減)で8.4%の構成比だ。
水島製作所第1組立ライン(軽自動車)は21日から、同第2組立ライン(登録車)は22日から生産を再開。岡崎製作所は25日から昼勤のみ稼働、パジェロ製造は26日から生産を再開する。

 

タイの生産拠点は18日から生産再開、インドネシアはレバラン休暇後の再開を目指している。3月17日以降、生産停止しているフィリピンは現在、調整中。春節で稼働停止していた中国拠点は(GMMC)は3月以降、稼働を続けている。

 

現在も「海外調達の部品供給がネックになっている」とし、国内では水島地区の300社を超える中小部品メーカーの支援が課題になるとした。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。