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2020年10月20日【カーリース】

CEATEC 2020 ONLINEが開幕、356社・団体が出展

山田清志

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 IT・エレクトロニクスの展示会「CEATEC 2020 ONLINE」が10月20日に開幕した。同展示会はこれまで幕張メッセ(千葉市)で開催してきたが、今回は新型コロナウイスの影響で、21回目にして初の完全オンライン開催となった。出展者数は昨年の355社・団体を上回る356社・団体で、うち新規出展者が46%を占めた。(経済ジャーナリスト・山田清志)

 

 

試行錯誤の連続だったオンライン開催

「6月30日にオンラインでの開催を発表してからの3カ月間は、まさに試行錯誤の連続だった。準備期間が短い中で、オンライン開催を実現するためのプラットフォームを作製し、同時に出展者の誘致やコンファレンスの企画などを進めてきた。出展者からも多数の意見をもらい、プラットフォームの修正を何度となく繰り返した」とCEATEC実施協議会エグゼクティブプロデューサーの鹿野清氏は振り返る。

 

 初めてのオンライン開催となる今年のCEATECでは、「ニューノーマル社会と共に歩むCEATEC」をスローガンに、ニューノーマルとは何かを考え、共創していく場と位置づけ、オンライン上に「ニューノーマルエリア」「企業エリア」「Co-Creation PARKエリア」の3つの展示エリアと、「コンファレンスエリア」「公式イベントエリア」を加えた5つのエリアで構成。23日までの4日間の開催後も、12月31日までオンデマンド配信される。

 

ニューノーマルエリアでは、ウイズ・アフターコロナ時代の新たな社会や暮らしとなるニューノーマルをキーワードに、持続的で豊かな暮らしを実現するためのソリューションやテクノロジー、サービスなどが紹介されている。

 

「ニューノーマルソリューションズ」「ニューノーマル社会を支える要素技術・デバイス」「デジタルまちづくり」の3つのカテゴリーで構成され、各テーマの中で複数の企業が出展し、課題解決型の提案をすると共にコンファレンスが行われる。

 

 企業エリアは、出展する企業の展示サイトにアクセスできるエリアで、各企業がそれぞれ工夫したサイトをつくっており、魅力的な動画コンテンツを披露している企業も少なくない。鹿野氏によれば、オンラインだからこそということで気合いを入れている企業も多かったそうだ。

 

Co-Creation PARKエリアでは、国内外の135にのぼるスタートアップ企業や大学、研究機関が出展し、JETROの協力によって、海外からも71社・団体が出展した。トルコやメキシコからの初出展もあった。

 

 

3つのツールを新たに用意

 「オンラインのCEATECという新たな場でさまざまなトライをしたい」と鹿野氏は話し、「これまでのように幕張メッセの会場だからこそできたことを、オンラインの会場でも実現するために3つのツールを新たに用意した」とのことだ。

 

1つ目が「コミュニケーションチャット機能」で、来場者が気になった展示があれば、出展者と1対1でコミュニケーションすることができるというものだ。2つ目が「ブース訪問履歴機能」。これは出展社向けのもので、訪問したブースの履歴を自動的に記録し、人気のある展示とそうでない展示がリアルタイムで分かる機能だ。そして3つ目が「CEATEC GO」と呼ばれるもので、全展示を対象にランダムで次々に展示内容などを表示する機能だ。

 

コンファレンスについても、5つのチャンネルを用意し、出展企業のよるセミナーも含めて70以上のセッションが行われることになっている。初日の午前中には、ソニーの石塚茂樹副会長、慶応技術大学の村井純名誉教授、NECの遠藤信博会長が基調講演を行った。そして、2日目には竹中工務店の佐々木正人社長、清水建設の井上和幸社長、戸田建設の今井雅則社長による講演が予定されている。

 

「今回はいつでも、どこからでも参加いただける新たな取り組みとなる。過去最高の来場者が2007年の20万5859人。単純に比較できるものではないが、オンラインの特徴を活かし、CEATEC史上最多の来場者を目指したい」と鹿野氏は意気込む。

 

 CEATECは2000年に「エレクトロニクスショー」と「COM JAPAN」の2つの展示会が統合してスタートした。これまで、リーマンショックなどで電機メーカーが相次いで出展を中止するなど、厳しい時期を迎え、迷走した時期もあった。しかし、2016年にCPS/IoTへと新たな展開に打って出て、展示会の内容についても大きく変化。そのおかげで新規出展者数も増加傾向にある。

 

「CEATECにとって、今回のオンライン開催は今年限りのものではない。将来に展示会に向けた大きな変革のなかの最初のステップと捉え、来年以降も見据えて、新たな挑戦に取り組んでいく」と鹿野氏は話す。

 

今回の成果が今後のCEATECに大きな影響を及ぼすことになりそうなだけに、この4日間の動向には要注目だ。初日の11時時点では、アクセスが集中して企業などのサイトが表示さずに、入場を制限している状況になっている。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。