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2023年12月28日【企業・経営】

三井物産・EKA・VDL、インド国内のEVバス事業で連携

坂上 賢治

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日本の三井物産は12月27日(インド発)、インドのEKAモビリティ並びに、オランダのVDLグループとEVバス事業で共同投資を果たし、技術協力を含む戦略的長期パートナーシップを結んだ。

 

この3社による投資規模は、段階的に1億米ドル(約8億5千万ルピー)を超える共同投資となる予定であり、この協力体制によりインドは、世界的な電気自動車の製造・調達拠点としての立ち位置を確固たるものにしていく構えだ。

 

そんな3社のうちEKAモビリティは、インド政府のAuto PLI政策のChampion OEMスキーム及びEVコンポーネント製造スキームに基づいて承認された商用車メーカーのひとつ。EKAは、インドで新エネルギー車のエンドツーエンドの設計・製造・技術をゼロから提供する唯一のインド企業となっている。

 

上記同社は、マハラシュトラ州プネに最先端の研究・開発・エンジニアリング・イノベーションセンターを設けており、国内で500台以上の電気バスと5000台以上の電気小型商用車の注文を獲得してきた実績を持つ。

 

そうしたEKAモビリティは今回の企業連携について、「三井物産株式会社(日本)およびVDL Groep(オランダ)との提携を発表できることを嬉しく思います。

 

同戦略的協力はインドの自動車産業の進化に於ける重要なマイルストーンを示し、インドを持続可能な交通産業の世界的ハブへと押し上げることになります。また同提携を介して、世界に視野を向けた相手先商標製品製造業者 (OEM) が設立されることになります」と語っている。

 

またこの協業について三井物産でも、「既にEVのエコシステム企業としてインドで知られるEKAモビリティは今後、世界の産業革新に貢献してきた日本の三井物産から戦略的な投資を得るのみならず、オランダの大手テクノロジー企業からの技術サポートも享受することになるでしょう。

 

これはインドのモビリティ産業で最大かつ重要なパートナーシップの1つであり、アジアから欧州を跨がる3社の強みと専門知識を結集させることで、革新的な電動モビリティソリューションを世界的へ向けて加速させることになります」と話している。

 

そんな3社の戦略体制は以下の通り

 

戦略的投資:三井物産はEKAモビリティに多額の財務投資を行い、同社の製造事業を拡大し、製品ポートフォリオを拡大させていく。また三井物産はEKAの一部の新興国市場への輸出やシステム・プロセスの確立を支援していく。

 

技術的リーダーシップ:同パートナーシップの一環として、VDLグループの子会社であり電気バスおよび電気バスのヨーロッパのフロントランナーであるVDL Bus & Coachは、インドでインド市場向けに電気バスを製造するための技術移転によりEKA Mobilityをサポートする。

 

Make in Indiaの強化:同提携は、地元の製造業と雇用創出の促進を目的としたインド政府の「Make in India」イニシアチブと連携していく。また持続可能性という面に於いても、同協力体制は持続可能性と環境に配慮したモビリティ ソリューションへの取り組みを強調し、世界的な二酸化炭素排出量の削減にも大きく貢献していく。

 

こうした取り組みについてEKAモビリティ創設者兼会長のスディル・メータ博士は、「三井物産およびVDLグループとの同提携は、インドを電気自動車製造の世界的なハブにするための重要な一歩を意味しています。

 

私たちは力を合わせることを誇りに思うと共に、〝持続可能で収益性の高い効率的な輸送を実践する〟という当社のビジョンと、価値を共有する著名パートナーとの協力を大変嬉しく思います」と述べた。

 

対してインド三井物産モビリティ事業本部長の梅澤伸義氏は、「EKA、VDL、三井物産の協力により、EKAの優れたエンジニアリングと現地ネットワーク、VDLのカッティングを活用してMake in India に貢献することが遂に実現します。

 

今後は三井物産のグローバルネットワークを活用し、EKAの競争力のある製品の海外市場への輸出を促進し、これまでにも増して環境に優しい社会づくりに貢献していきたいと考えています」と話している。

 

最後にVDL Bus & Coach CEOのロルフ=ヤン・ズウィープ氏(Rolf-Jan Zweep)は、「EKAモビリティおよび三井物産と提携できることを嬉しく思います。当社の高品質な開発および製造能力の基盤は北西ヨーロッパにありますが、インドにも多くの機会があると考えています。

 

これは明らかに有望な成長市場です。この協力により、調達と開発の分野で特に多くの相乗効果が期待できます」とコメントした。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。