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2023年5月31日【新型車】

RR、ブラックバッジ・カリナン「ブルーシャドウ」を発表

坂上 賢治

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ロールス・ロイスは5月31日、宇宙の美しさと神秘を探求したブラックバッジ・カリナン「ブルー・シャドウ」を発表した。車両販売台数は世界限定62台。( 坂上 賢治 )

 

 

ロールス・ロイス・モーター・カーズのトルステン・ミュラー・エトヴェシュ最高経営責任者は。「我々はブラックバッジ・カリナン・ブルー・シャドウで、私たちは伝説のカーマン・ライン( 国際航空連盟が定めれ海抜高度62.1マイルに引かれた仮想ライン。 同ラインを超えた先が宇宙空間。大気圏内の空と宇宙との境目を指す )の旅に足を踏み入れます。そこは地球の制約すら解き放たれ、果てしない宇宙空間に繫がる比類のない美しさ、神秘、そして無限の可能性を湛えた領域です。

 

 

今回、その空間を創り出すブルー・シャドウを製作するにあたり、ビスポークコレクティブ部門のデザイナー、エンジニア、職人からなるメンバー達は、それぞれの視点で独自の発見の旅に乗り出すことで、この精神世界を独自の視点で捉え、クラフトマンシップの限界点を、再び押し広げることになりました。

 

ブルー・シャドウは、私たちが完璧を目指し続ける飽くなき〝追求の証〟であり、作り手の視野を広げ、更なる高みを目指す類い希な人達のために創作されたクルマなのです」と述べた。

 

 

ロールス・ロイスのデザイナーたちは、このブルー シャドウを生み出すべく、地球の大気が終わり、宇宙が始まる地表から62マイル上空にある目には見えない境界線、カーマン・ラインからインスピレーションを得たという。

 

 

その神秘的な天空領域では、地球上で見る空の青が宇宙の漆黒に取溶け込み、暗闇のなかから見えてくる濃密な暗青色のゾーンが広がる。

 

そんな美と静寂を湛えた空間は、選ばれた少数の冒険好きな人たちだけのために用意された美しく、静かで、神秘的な世界があり、そのブルー・シャドウの本質的な美しさを、この新しいビスポークに表現したとしている。

 

まず特別注文となるスペシャルペイント色のスターダストブルーは、地球の大気上層の深い青色からインスパイヤされたもの。スピリット オブ エクスタシーは、チタンの3Dプリント技術を駆使して作成され、チタンの粒子状の質感を保ちつつ、真珠のような青みがかったダークな印象で仕上げられている。

 

 

カーマン・ラインは、地球上の大気圏の端が幻想的な青い光輪のような形で現れるもの。青い空から漆黒の宇宙の闇へと移るこの変化は、ブルー・シャドウの独自ペイントを施したフェイシア( インパネ or ダッシュボード )とドアパネル上で表現されている。

 

それは5種類の青と深い黒とを組み合わせて、それを6層のペイントを重ね合わせる立体的な多層構造で表現されている。最後の表層の仕上げは、青と透明のガラス粒子を配合したクリアコート層で、これにより更なる深みと光沢を加えた。

 

 

その比率は0.05パーセント単位で正確に塗り重ねられ、ライトブルーのアノダイズド加工を施し、プライベートコレクション独自のビスポーククロックが飾られている。

 

 

ブルー・シャドウは、ロールス・ロイスを更なる高みへと引き上げ、数多の星々が取り囲む繊細な月の刺繍が、キャピンに座った乗員をカーマン・ラインを湛えた宇宙の彼方へと誘う。

 

 そんな室内空間に於いて、多数のクレーターがある月面を立体的に表現した刺繍には、 多色糸が用いられ、 それぞれに異なる技法で独特の風合いを生み出す趣向を施した。また刺繍には25万ものステッチを施し、それらは丸2日間かけて完成する程、手間暇を掛けている。

 

 

またキャビンを、ほのかな輝きで満たすスターライト ヘッドライナーには、合計1,183個の「星」のようなライトが配され、そのうち799個がホワイト。384個をブルーで表現。 

 

それぞれの位置は、手作業で正確に決められ、レザーのキャンバスにパンチングされた穴を通して配置される。またヘッドライナーの神秘的な雰囲気を高めるために、光ファイバーによるの星のきらめきは強調され、より魅惑的な輝きを与えた。

 

またロールス・ロイス初の試みとして、フロント・シートとリヤ・シートには、宇宙から見た地球をイメージして独自のパーフォレーテッド・アートワークが施された。レザー面に施された無数の小さな穴からなるパターンは、大陸や海の上に渦巻く、有機的で絶えず変化する雲を想起させる。

 

このパーフォレーションには2種類のサイズがあり、直径わずか0.8mmの小さなパンチングが陸を、それより僅かに大きい1.3ミリメートルのものが海を。その間にあるレザーの余白部分が雲として表現されている。それぞれのシートには7万5千個余りの穴があり、すべて一つずつ配置された。

 

ロールス・ロイスのビスポーク・コレクティブに相応しい品質を実現するために、このパターンのデザインには2週間を要し5回の試行を経ている。その結果、完璧に配置したデザインができあがり、 4つのシートすべてにまとまりのある均一な外観を実現させている。

 

シートのパーフォレーション・パターンは、ピクニック・テーブルの背もたれにも施された。ピクニック・テーブルは、ピアノ・ブラックの化粧板で仕上げられ、ガラスの輝きが暗黒の宇宙の雰囲気を醸し出す。

 

 

各テーブルの最上部のラッカー層には、コレクションのテーマを表すテキスト「The Blue Shadow occurs at the outer extremes of our world, affording an extraordinary perspective, and the ability to touch the stars( ブルー・シャドウは、私たちの世界の外側の極限で発生し、それは並外れた視点と、星に触れることができる能力を提供します )」が刻まれ、ポリッシュ仕上げのアルミニウムで縁取られている 。

 

そんなブラックバッジ・カリナン・ブルー・シャドウは、ロールスロイスのプライベート オフィス経由でのみ入手可能な車両だ。なお目下、手掛けられている62台は、既に全世界の顧客に割り当て済みであると結ばれている。

 

最後にブラックバッジ・カリナンの技術情報は以下の通り。NEDCcorr (複合)CO2排出量:343 g/km。燃料消費量:18.7 mpg/15.1 l/100km WLTP(複合)CO2排出量: 377-370 g/km、燃料消費量:17.0-17.3 mpg / 16.6-16.3 l/100km。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。