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2023年6月10日【新型車】

ロールス・ロイス スペクター、国際テストプログラムを完了

坂上 賢治

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ロールス・ロイス・モーター・カーズは英国時間の6月9日、自社のBEVクーペ「スペクター」が自動車の実証・試験環境としては過酷な-40°C ~ +50°Cの気温下。地球上を舞台に延べ250万キロメートルに及ぶ国際走行テストプログラムを完了したと発表した。

 

 

同社によると、このテストには合計50,000時間以上の運転時間が費やされた。最後のテストプログラムとなったのは、同社の本拠地市場に於けるライフスタイル分析テストであるという。

 

ここに至る過酷なテストプログラムについてロールス・ロイス・モーター・カーズのトルステン・ミュラー・エトヴェシュ最高経営責任者は「スペクターは全てを変える次世代のロールス・ロイスです。

 

それは、世界の高級品製品に係る技術的リーダーシップを象徴しているというだけでなく、当社ブランドの創業者チャールズ・ロールズが1900年初頭に予言した電気の未来が、私たちに到来していることを象徴しています。

 

 

私達は、その姿をより完璧なものとするべく、考えられるあらゆる極端な温度、天候、道路を網羅。真のコネクテッドカーとして求められる141,200にも及ぶデジタル送受信を筆頭に、25,000の機能テストを一つ残らず細かく監視・分析。チューニングに係る技術要件だけでも、そのプロセスは50,000時間に相当するものとなりました。

 

プロセス上の検討要素は、音響性能、コーナリング時の安定性、ステアリング操舵の正確性、充電時間、航続距離、最大トルクまで数多くの要素があり、それらを何度も繰り返し改良していきました。というのは、それぞれは小さな改良であったとしても、その積み重ねによって、お客様の小さな体験に計り知れない効果をもたらすことになるからです。

 

なかでも一番大事なのは、当社の最終製品に対して求める広範なライフスタイル分析テストを受けていることです。お客様の好み、習慣、要件に関する詳細な知識をこのスペクターへ適用していくことで、ロールス・ロイスの未来を約束するスペクターとして仕上げられたことは、私の職業人生の中でも大きなハイライトのひとつです。

 

 実際、お客様がお求めになられる様々な角度の厳しい要件を満たすためには、伝統的な技術分野と、エキサイティングな新興テクノロジーの両方にまたがる献身的かつ高度なスキルが求められます。ロールス・ロイス・スペクターは、今後のブランドの偉大な未来を約束するクルマとなりました」と述べた。

 

 

またロールス・ロイス・モーター・カーズのエンジニアリング担当ディレクター、ミヒアル・アユービ博士は、「新しいロールス・ロイス・モーター・カーズを定義するBEVクーペのスペクターは、ここに至るまでに様々なテスト環境を潜り抜けてきました。

 

しかし我々のスペクターは、単なるエンジニアリング上の傑作以上の製品でなければなりません。それはお客様へ本物の贅沢な体験が提供できるクルマであることを求められるということです。

 

従ってスペクターは、グッドウッド時代からの綿々と引き継がれた独自のライフスタイル分析プロセスを受けています。このテストプログラムは、標準的な自動車を評価するプロセスを遙かに超えて、お客様が日常生活の上で自動車をどのように使用されるかを検証します。

 

ライフスタイル分析は、高級ブランドへの知識とその価値に対する理解、および高級品分野全体に亘る独自の情報収集に基づいて行われます。これによりエンジニアはロールス・ロイスの顧客に係る様々な価値や体験を変数に置き換えて検討しました。

 

例えばスペクターのドライブトレインが、中国・海南島の三亜など、世界で最も高級な地域や道路でどのように機能するかを調査しました。その対象地は、アラブ首長国連邦のドバイ。カリフォルニア州ナパバレー。そしてブランドの本拠地であるロンドンなど多岐に亘ります。

 

 

具体的なテスト環境は、高速道路等、特定のパフォーマンス環境などに限っておらず、スペースが限られている道路や敷地へのアクセスで必要とされる操作性を四輪ステアリングなどの機能で、確実に提供できているかを確認することなども含まれます。

 

実際、ロンドンのメイフェア、ケンジントン、チェルシーの各区内およびその周辺でテストを行ったところ、主要な住宅街や高級店の店舗に近づく際に、適切なリアアクスル・ステアリングのフィーリングなども確認しています。

 

他にもお客様が懸念される多数の静的テストもあります。それは待機中のヘリコプターの横に駐車している自動車内で通常の電話を使った会話が可能かどうか。

 

特定の超高層ビル間で自動車内のインターネット接続の強度が確かなものかどうか。自動車内に特定の持ち物(フォーマルなイブニング スーツやガウンを保護するために使用される長い衣類バッグ等)を置いた場合のアクセスの容易さなども含まれます。

 

併せてライフスタイルの分析フェーズには、例えばカリフォルニア州ロサンゼルスによくある私道を再現した非常に急な丘陵上で駐車された極端な車両姿勢で、電動アシストドアをテストし、ジャイロスコープとGフォースセンサーによりドアが普段と同じ速度で開閉できるよう配慮するなども行いました」と話している。

 

 

なお、このような250万キロメートルを超えるテストを完了できたスペクターが、顧客の元へ届けられる時期は今年の第4四半期頃だとしている。

 

スペクターのCO2 排出量と電力消費量の須知は以下の通り
WLTP:消費電力:2.9 マイル/kWh. / 21.5 kWh/100km
電気航続距離: 323 マイル / 520 キロメートル
CO 2排出量 0 g/km

(上記スペックは暫定データであり、出荷までに変更される可能性がある)

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。