NEXT MOBILITY

MENU

2024年3月6日【新型車】

ステランティス、ダッジブランドのEVマッスルカーを披露

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

ステランティス傘下のダッジ・ブランドは3月5日(米国ミシガン州オーバーンヒルズ発)、電動マッスルカーの世界に於いてダッジチャージャーの近未来像を示した。なかでもピュアEVモデルは、テールパイプからのCO2排出量がゼロあるにも関わらず、旧来のV型8気筒スーパーチャージ車を大きく超えるパフォーマンスを発揮する。

 

 

例えばBEVの新型ダッジ チャージャー・デイトナ・スキャット・パック( Dodge Charger Daytona Scat Pack )は、400Vの推進システムを介して670馬力の総出力を持ち、時速0-60マイルに約3.3秒で到達。4分の1マイルを約11.5秒で走り切る俊足さを備え、歴代マッスルカー史上最強の称号を手にした。また電動モデルの車種ラインには496馬力のダッジ チャージャー デイトナR/Tも存在する。

 

 

なお新型ダッジ チャージャーには、電動外の複数のパワーユニットが用意されており、3.0L ツインターボハリケーンエンジンを搭載した550馬力のダッジ チャージャー シックスパックHOや、420​​馬力の3.0Lツインターボ標準エンジン搭載したダッジ チャージャー シックスパックSOもラインナップされる。

 

 

いずれも柔軟性の高いBEVネイティブのSTLAラージ・プラットフォームを初めて使う車両となり、個々車両の目標性能に沿って、多様なサスペンションシステムが組み付けられる。

 

バッテリー パックは、100.5kWhの容量と550kWのピーク放電率を誇る。搭載バッテリーセルの構造は角柱状になっており、剛性の高いケーシングにより優れた熱性能を備え、構造的に安定したセル構造によってバッテリー温度をより安定化させる資質を持つ。

 

 

チャージャー デイトナ モデルでは、高度な回生ブレーキ システムも利用、減速中に車両の運動エネルギーを電気に変換して総航続距離を延ばす。ドライバーはパドルシフトを使用して回生ブレーキのレベル (0.1g、0.2g、または 0.3g 回生) を調整し、運転体験をカスタマイズすることもできる。

 

 

ダッジ・チャージャー・デイトナ・スキャット・パックには、16インチのブレンボ製ローターとフロント6ピストン/リア4 ピストン固定キャリパーが用意され、制動面積が従来のSRTから30% 以上増加。ブレーキのフェード耐性が飛躍的に高くなった。ブレーキ システム自体も、プログラムの最適化により車両の減速を制御。回生と制動力をコントロールすることでブレーキペダルへの入力を監視し、適切なペダルフィードバックを提供する。

 

チャージャーの足元には、鍛造アルミニウム製のマルチリンクサスペンションと、完全独立のリアサスペンションを介して、20インチ ホイールとグッドイヤーイーグルF1スーパーカー3の305/35ZR20XLフロント/325/35ZR20リアタイヤで固めれる。

 

 

エクステリアデザインでは、機能を重視し、過剰なものを避け、先代からのクリーンで時代を超越したラインを反映した筋肉質な造形とした。

 

更に新しいチャージャーのデザインでは独自のワイドボディ感を際立たせており、2ドア クーペと4 ドア セダンは共通のホイールベースを持つ。またオプションのフルレングスガラスルーフ(グロスブラック塗装ルーフが標準装備)は、キャビンのオープンエアな雰囲気を高め、大型リアハッチと合わせて広大なガラスキャノピーとした。

 

インテリアデザインでは、モダンなレイヤード型インストルメントパネルに独立したワイドフォーマットの10.25インチまたは16インチのクラスタースクリーンを設け、12.3インチのセンターディスプレイは角度を付けたセンタースタックに配置して彫刻的な外観を造り出している。

 

 

ステアリングホイールはヒーター付きフラットトップ/フラットボトムデザインで、回生ブレーキを管理するパドルシフトとデイトナ スキャット パック用の PowerShot ボタン (クイックアクセス用にホイールの前面に配置) が含まれている。

 

インフォテインメントシステムでは、ステランティス初となるフリーフローティングデザインの10.25インチ (デイトナ R/T) および 16インチ (デイトナ スキャット パック) の計器クラスターをはじめ、伝統のダッジ ブランドイメージを踏襲させている。

 

室内空間ではクラス最大の荷物容量を提供する。後部の最大積載面積は38.5立方フィートで、従来車よりも積載量が133% 増加した。またフランクエリアには追で 1.5立方フィートの収納スペースが用意される。

 

 

航続距離でダッジ チャージャーデイトナR/Tは517マイル以上の航続距離を実現。より高性能なチャージャー デイトナ スキャット パックは航続距離420マイルを実現する。

 

充電ではレベル3 DC CCS 急速充電器を使用した場合、 20~80%の充電状態から27分強で再充電が可能。推定充電容量は350 kWの高速充電器を使用した場合、デイトナR/Tの場合は毎分約9.9 マイル、デイトナ スキャット パックの場合は毎分13.1マイルの充電時間が必要となる。

 

この新たなマッスルカーラインナップについてステランティスのダッジブランドを担うティム・クニスキス氏は、「電動モデルのダッジ・チャージャー・デイトナ・スキャット・パックは世界初のフラッツニック・チャンバード・エキゾーストによって走行音でも孤高の存在感を示します。

 

 

なおピュアEVのダッジ・チャージャー・デイトナ・スキャット・パックとダッジ・チャージャー・デイトナR/Tの2ドア・クーペ・バージョンは、2024年半ばに生産が開始するという。またデイトナ・スキャット・パックおよびR/Tモデルの生産は、2025年第1四半期に開始される。

 

ガソリン駆動の2ドア・ダッジ・チャージャー・シックスパックHOおよびダッジ・チャージャー・シックスパックSOモデルも追って生産が開始される。またこれら新型ダッジ・チャージャーは、ウィンザー(オンタリオ州)組立工場で生産される予定だ。

 

なおこれらの生産計画は、ステランティスのデアフォワード2030戦略計画に沿ったものであり、今モデルでの高効率的パワーユニットへの切り替えで、2038年までに炭素中立を達成するステランティスグループの二酸化炭素排出量削減計画を、更に強力に推し進めることになると結んでいる。

 

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。