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2020年7月29日【トピックス】

日産自動車、2021年3月期第1四半期連結決算

松下次男

 

新型コロナの影響の響き、世界各地で新車販売が大幅減、2856億円の最終赤字

 

 日産自動車が7月28日発表した2021年3月期第1四半期(4~6月期)連結決算(日本基準)は、2856億円の最終赤字(前年同期64億円の黒字)となった。新型コロナウイルス感染症の影響で全需が大きく減少し、同社の販売台数が半減(中国除く)したことなどが響いた。同時に発表した2020年度通期業績見通しは営業損益4700億円、当期純損益6700億円それぞれの赤字を見込んでいる。(佃モビリティ総研・松下次男)

 

 

 オンラインで決算発表会見した内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は中期計画の日産ネクストで示した固定費の削減など「妥協することなく事業改革に取り組む」ことで再生は十分に可能と強調。今年度はコロナ対策の在庫削減などに注力し、来期以降の回復に備えるとした。

 

 新型コロナの影響で傷んだマーケットについては、徐々に回復し、「第4四半期には前年を上回るだろう」との見方を示した。ただし、市場回復には地域差があり、それぞれ「地域ごとに対応が求められるだろう」とし、とくに欧米の回復が鈍いのに懸念を示した。

 

 生産状況については、急回復した中国を除くと、全般に低い稼働率にとどまった。6月からは回復に向かい、米国工場では6割前後の稼働率まで高まったが、欧州では6月も約20%の稼働率という。

 

 販売店への来店も6割前後とまだ十分に戻っていないが、新型コロナ感染症に伴ってニューノーマルが叫ばれる中、オンラインによる販売が増えていることに言及。直近では、デジタルで新車を購入する比率が11%に高まったことを明らかにした。

 

 

米国を中心に拡販を目指さず、事業構造改革に注力。固定費削減も着実に進める

 

 2020年度第1四半期の連結業績は売上高が1兆1742億円で前年同期比50・5%の減収、営業損益が1539億円(前年同期16億円の黒字)の赤字だった。すべての市場で販売台数が激減したのが響いた。

 

 第1四半期のグローバル全需は前年同期に比べ44・5%減の落ち込み。これに対し、同社の販売台数は64万3千台と同47・7%減となった。中国を除けば、同50・8%減と前年実績から半減した。

 

 地域別にみると、日本が8万4千台で同33・7%減、北米が22万2千台で同50・8%減、中国が20万7千台で同39・9%減、欧州が5万4千台で同60・1%減、その他市場が7万7千台で同55・9%減となった。

 

 これについて「日本と中国は市場の伸びを上回ったが、その他は市場の伸びを下回った」と分析。その理由について、拡販を目指すのではなく「販売適正化」など米国を中心に事業構造改革に取り組みに力を入れていることを要因に掲げた。

 

 また、固定費削減についても着実に進行しているとし、「これがなければ赤字幅はさらに膨らんでいた」と述べた。財務面でも販売台数減で厳しさが増している。前期の第1四半期末は1兆円超あったネットキャッシュ(自動車事業)が今第1四半期末は2352億円にまで減少した。

 

 

課題は、今季を乗り越えて来期以降の黒字回復にどうつなげるかにある

 

 これについて「サプライヤーなどの支払いために減少した」と述べたうえで、生産台数が高まれば回復するとの見通しを示した。また、新型コロナ対策でも資金調達しており、手元資金は確保済みと強調。未使用コミットメントラインが約1・9兆円(2020年6月末時点)に達するなど、資金繰りに問題はないとの見方を示した。

 

 同時に発表した2020年度の通期業績見通しは、売上高7兆8000億円(前期9兆8789億円)を予想。営業利益、当期純利益も前期に続き2期連続の赤字を見込む。販売台数は、新型コロナの感染拡大に伴う第2波の到来がないことを前提に、412万5千台と前期比16・3%減を予想。

 

 主要地域別にみると、日本52万台で同2・7%減、北米123万5千台で同23・8%減、中国147万5千台で同4・6%減、欧州40万台で同23・2%減を見込む。

 

 課題は、今季を乗り越えて来期以降の黒字回復にどうつなげるかだが、内田社長は「生産能力を最適化し、3000億円の固定費削減を着実に実施する。18か月以内に12車種を投入することで、平均車齢が4年になれば収益力が格段に高まる」と強調。売上高営業利益率を22年度末に2%、23年度末に5%を達成するのは十分可能との見方を示した。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域の取材活動を経て同社出版局へ。コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に環境&リサイクル紙、車両ケア&整備ビジネス専門誌等の創刊誌編集長を歴任。独立後は一般誌、Web媒体上でジャーナリスト活動を重ね30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。