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2019年5月14日【トピックス】

日産自動車、ゴーン体制の負の遺産が響き中期計画も下方修正へ

松下次男

 

 

仏ルノーとの経営統合は「ネガティブなインパクトが大きい」と否定的見解を示す

 

 日産自動車の西川廣人社長は5月14日、横浜の本社で決算会見し、2020年3月期の連結業績見通しを前期に続き2期連続で減収減益と予想するとともに、中期経営計画の最終年度である2022年度の目標数値を引き下げたことを明らかにした。

 

西川廣人社長

 

要因に掲げたのが前会長のゴーン体制下の負の遺産で、「2018年度を2019年度を底に、以降、2~3年でリカバーしていきたい」と述べた。仏ルノーとの経営統合については「ネガティブなインパクトが大きい」として否定的な見解を示した。事業悪化に伴い一株当たりの年間配当金を2019年度40円(2018年度は57円)へ引き下げる予定だ。

 

 

 2019年3月期連結決算は売上高が11兆5742億円で前期比3・2%減。営業利益は3182億円で同44・6%減、当期純利益は3191億円で同57・3%減とほぼ半減した。グローバルの新車販売台数が5516万台と同4・4%減と落ち込んだほか、為替や原材料上昇が響いた。

 

 

 西川社長は大幅減益について、とくに米国市場を掲げ、ゴーン体制下で「拡販を目標に、インセンティブを大幅に引き上げた反動が出た。毀損したブランド価値の修復は容易でない。じっくり回復を目指す」と述べた。

 

19年3月期に続き20年3月期も減収減益予想であるが事業回復にはじっくり腰を据える構え

 

 2020年3月期の連結業績は売上高11兆3000億円、営業利益2300億円、当期純利益1700億円を予想。二期続けて減収減益を見込むのは、昨年ゴーン前会長逮捕という「予期せぬ事件が起き、直接、間接に影響が事業に現れた」と述べ、ゴーン体制下の悪影響を認めた。

 

 

このため、ゴーン体制下の「拡大路線から、サステナブルな路線へ転換する」のが課せられた課題とし、事業転換を「足早に進めたい」とした。

 

 これにあわせ、2022年度までの中期経営計画についても、目標数値を引き下げた。最終年度である2022年度の売上高を16兆5千億円から14兆5億円へ、売上高営業利益率を8%台から6%台へそれぞれ下方修正した。

 

軽部博 最高財務責任者(CFO)

 

西川社長は回復に向け、実行することは「明確であり、財務体質も健全だ」と述べ、米国事業の改善、事業および投資効率の適正化に早急に取り組む考え示した。一方で、「ニッサン・インテリジェント・モビリティ」を軸にした先進技術には積極的に投資する方針。これにより、「2~3年で、もとの日産に戻す」とした。中期経営計画の詳細は7月に改めて発表する予定。

 

 また、報道が相次ぐルノーと経営統合の動きについては、ルノーのスナール会長と「意見に違いがある」と述べ、提案があったことは認めた。

 

ただし、いまは「その話し合いをする時期でない。業績回復に専念する考えで一致した」とするとともに、西川社長の見解として経営統合は「ネガティブなインパクトが大きい」と否定的な見方を示した。日産は6月の定時株主総会後にも「指名委員会等設置会社」として運用を開始する方針だ。(佃モビリティ総研・松下 次男)

 


 

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松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。