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2023年10月12日【自動車・販売】

尾花沢タクシー、電脳交通のクラウド型配車システムを導入

坂上 賢治

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尾花沢タクシー(本社:山形県尾花沢市、代表取締役:渡会友補)は10月12日、電脳交通が提供するクラウド型タクシーの配車システム「DS」を導入。同月より新配車システムとしての運行を開始した。

 

今回、同社が「DS」を導入した背景は、タクシー業界に於けるIT化の遅れや、ドライバーの高齢化による人材不足によって苦境に立っていることがある。

 

その一方で、山形県では利用顧客側の高齢化も進み、利便性の高い移動手段を求める声が高まっており、ドア・ツー・ドアの公共交通として、そうした期待に応えられていない現状があるという。

 

そこで尾花沢タクシーは、ドライバー不足の課題を抱えながらも、より利便性の高い移動サービスを提供するべく、予てよりデジタルトランスフォーメーション(DX)を通じた問題解決策を模索してきた。そうしたなか今回導入を決めた電脳交通のクラウド型タクシー配車システムの優位点は以下の4点があるとしている。

 

 

・タクシー業界未経験者でも使いこなせる操作性の良い配車システムである。
・クラウド型配車システムによって、最新の機能が常にアップデートされる。
・法改正やトレンドへの拡張性が高く、臨機応変に対応できる。
・近隣事業社との「共同配車」を視野に、他社の配車業務も請け負える。

 

そもそも尾花沢タクシーは、先の通りタクシー不足の解決策として全国で注目が集まる「共同配車」事業を視野に据えており、実際、近隣のタクシー事業者との協議を精力的に進めている。

 

この共同配車事業とは、タクシー会社内で配車オペレーション業務を行う「配車室」を複数会社跨って統合。これにより配車先にタクシー車両を素早く急行させるもの。

 

結果、顧客側で「タクシーが捕まるまで1社1社に電話する」という手間がなくなり、1度の電話で、参画する全てのタクシー会社に対して配車リクエストが可能になる。

 

こうした新しい配車システム導入により、尾花沢タクシーは、タクシー業務をデジタルトランスフォーメーション(DX)化。地域の公共交通の持続を目指し、近隣の事業者と協力する体制構築に動きたいと話している。

 

そんな取り組みが目下、加速化できていることに尾花沢タクシーの渡会友補社長は、「数年前から考えていた電脳交通のシステムを、ようやく導入することができました。

 

その導入理由は、いつまでもアナログな体制下で業務を処理していては、サービス品質の向上が難しいと感じていたことにあります。

 

 

また、地方では休みの日や夜間帯に電話の鳴る回数が少なくなるにも関わらず、常時1名以上の窓口要員を配置しなければならず、そうしたコストが業績を圧迫します。

 

そこで他社と電話対応をまとめられたら助かると考えいたところ、電脳交通のシステムに出会い、それが切っ掛けとなって昨年、中小企業庁の第七回事業再構築補助金に採択されたことで本格導入に至りました。

 

但し社内で高齢なドライバーが多いことから、新しいシステムに対応できないのではないかと不安していた面もありました。しかし実際には、数日で操作に慣れ円滑に動き出し一安心しています。

 

今後は、県内の多くのタクシー会社を募った共同配車体制を構築し、その分でドライバー1人当たりの所得の向上や、働きやすい環境整備に力を注ぎたいと思っています」と話している。

 

一方、電脳交通の近藤洋祐CEOのは、「この度、尾花沢市の地域交通を支える尾花沢タクシー様に当社システムを導入頂けることになりました。当社システムにより、タクシー業界の最新トレンドに対応する配車環境を構築することが可能になるものと喜んでおります。

 

渡会社長という若きリーダーが支える尾花沢タクシーが、推し進める共同配車プロジェクトを介して、タクシー業界の未来へとつながる施策を実現させていきたいと考えております」と話している。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。