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2021年3月1日【MaaS】

オリックス自動車、ワンウェイカーシェアの実証を開始

NEXT MOBILITY編集部

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オリックス自動車は3月1日、スマートシティ宣言を行った福島県会津若松市で、ワンウェイ(乗り捨て)方式のカーシェアリングサービス実証を開始したと発表した。

 

このワンウェイ方式カーシェアリングは、車両の借受場所とは違う目的地で、車両を乗り捨て(返却)可能とするフレキシブルなカーシェアサービス。これまでのラウンドトリップ方式と比べ、利用者の利便性が高いことが大きな特徴だ。

 

実証実験では、会津若松市にあるICT(情報通信技術)オフィスビルである「スマートシティAiCT(アイクト、以下「AiCT」)」内と、郡山駅周辺に計8台分の専用駐車場を設置。そこからAiCT入居企業の従業員および関係者に利用者を限定し、ワンウェイ方式カーシェアリング実施の際の事業の可能性やシステムの検証、利用者ニーズなどを蓄積していく構え。

 

こうした取り組みを行うに至った経緯は、他都市との往来が発生するAiCT入居企業から「AiCTと郡山駅間の柔軟な移動手段を確保したい」というニーズが顕在化したことが契機となった。そこで会津若松市は、ステーション(駐車場)として会津若松市AiCTと郡山駅周辺に各4台、計8台分を配備。

 

車両には、AiCTに入居する三井住友海上火災保険株式会社が実験用に提供している専用ドライブレコーダーを搭載することで、走行する道路の画像データを収集。AIによる画像分析技術により、道路の損傷箇所を適時に検知する実証実験も兼ねて実証実験の実施に取り組んだ。まず当面は、ワンウェイ方式カーシェアが公共交通機関の補完となり、移動に関する課題解決となるのかを精緻に検証していく。

 

ちなみに会津若松市は、目下「スマートシティ会津若松」を掲げ、国や企業などと連携してICT関連事業や環境技術などを活用したまちづくりに取り組んでいる。そうしたなかオリックス自動車は、2020年9月よりAiCTに入居し、会津若松市役所に「市民共有型公用車(平日は市役所専有、土日祝日、年末年始など市役所が閉庁日には一般が利用可能な官民共用仕様)」を設置するなど、モビリティの有効的な利活用を推進中だ。

 

会津若松市は今後、AiCT入居企業との協業やスマートシティの都市データとの連携などデジタル技術の活用などにより、カーシェアリングサービスをさらに進化させることで、地方都市が抱える移動に関わる課題解決を模索していく。

 

また将来的には、ICT関連企業との協業や都市のデータの活用を通じて、「いつ・どこで車両需要があるか」を分析し、乗り捨て可能なシェアリング車両を市中に配置。「市民や観光客が、乗りたいときに乗り捨て可能な車両が近くにあり、より自由に柔軟に移動できる世界」を実現するなどで移動に関する利便性の向上も視野に入れている。

 

この取り組みにあたって室井照平会津若松市長は、「会津若松市ではスマートシティ会津若松としての取組の一環として、スマートシティAiCTを開設するなど、ICTや環境技術などを活用したまちづくりを推進しています。

 

このスマートシティAiCTを一つのハブ機能と捉えて、本市で事業を展開する企業の視点に立った新たな移動サービスは、利用者の利便性向上をはじめ、地域の周遊性の拡大にも繋がるものと確信しています。

 

この実証実験の開始で本市、会津大学、スマートシティAiCTに入居されている各企業及び地域企業等との産学官連携を通して、ICTに関する様々なノウハウが本市に蓄積され、スマートシティの先駆的な取組や先端実証プロジェクトの進行がより加速することを大いに期待しています」と述べている。

 

またアクセンチュアのイノベーションセンター福島センター共同統括を務める中村彰二朗氏は、「オリックス自動車様が、会津を舞台に次世代モビリティサービスに関する、課題解決・利便性向上に向けた実証を開始されることを歓迎いたします。

 

市民の移動ニーズに柔軟に対応するモビリティサービスは、まさに市民が主役となるスマートシティ会津若松の考え方に合致するものであり、全国のモデルになるような新しいまちづくりの在り方をともに築いていけることを期待します」と語った。

 

一方、オリックス自動車は、2002年に国内で初めてカーシェアリング事業を開始して以来、さまざまな施策を通じて、市場の開拓に取り組み、現在は全国35都道府県、約2,000拠点でカーシェアリングサービスを展開。今後も、より便利な移動や生活を実現する交通サービスの提供を目指し、レンタカーやカーリースを筆頭にクルマの利活用における多様なサービス開発に取り組んでいく構えだという。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。