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2020年2月16日【アフター市場】

日産自動車、2020年モータースポーツ活動概要

坂上 賢治

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 日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:内田 誠 以下、日産)とニッサン・モータースポーツ・インターナショナル株式会社(本社:神奈川県横浜市鶴見区、社長:片桐 隆夫 以下、ニスモ)は2月16日、日産グローバル本社ギャラリーでファンイベントを開催し、日産/ニスモの2020年のモータースポーツ活動概要を発表した。(坂上 賢治)

 

 日産/ニスモの両者は、FIAフォーミュラE選手権とSUPER GTをモータースポーツ活動の二本柱として取り組む。またNISSAN GT-R NISMO GT3や日産車、日産エンジンで活動を行うチームへの支援を自動車系企業のカスタマーレーシング活動として引き続き実施していく。

 

日産グローバル本社で行われた発表会の壇上でニスモ社長 兼 CEOの片桐 隆夫氏は「日産/ニスモはフォーミュラEとSUPER GTを二本柱として、今年も全力でモータースポーツ活動に取り組みます。

 

私たちは様々なテクノロジーを駆使し、そしてチーム全員の情熱とファンの皆さまの熱い応援を力に変えて、参戦、サポートするあらゆる選手権に於いて、熱い戦いをお見せしていきたいと思います」とコメントした。各参戦カテゴリの内容とチーム体制は以下の通り。

 

 

1. FIAフォーミュラE選手権
初参戦となった昨シーズンに続き、FIAフォーミュラE選手権(FE)のシーズン6に日産e.damsチームとして参戦。日産は現段階でフォーミュラE選手権に参戦している唯一の日本メーカーとしてニッサン インテリジェント モビリティが提供するパフォーマンスを訴求していくという。

 

参戦体制は、昨シーズンと同様でチーム監督はオリビエ・ドリオ氏とグレゴリー・ドリオ氏が務め、フォーミュラE史上最多勝のセバスチャン・ブエミ(スイス)選手が23号車を、昨シーズンにルーキーオブザイヤーを獲得したオリバー・ローランド(英国)選手が22号車のステアリングを握る。

 

さらにチームのリザーブ兼テストドライバーとして高星 明誠選手、シミュレータードライバーにヤン・マーデンボロー選手を設け、第5戦マラケッシュe-Prixの後に行われるテストに参加する。
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【日産e.damsチーム体制】
_チーム_監督
No._チーム_ドライバー
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__日産e.dams__オリビエ・ドリオ/グレゴリー・ドリオ
23__同__セバスチャン・ブエミ(スイス/FE史上最多勝ドライバー)
22__同__オリバー・ローランド(英/18/19_ルーキーオブザイヤー)
– __同__高星 明誠(リザーブ兼テストドライバー)
– __同__ヤン・マーデンボロー(英_シミュレータードライバー)
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参戦あたって日産グローバルモータースポーツダイレクターのマイケル・カルカモ氏は、「フォーミュラEの人気はますます高まり、スリリングなEVモータースポーツの世界に新たなファンを惹きつけています。

 

今シーズンも激しい戦いが続きますが、その中で私たちはフォーミュラEに参戦する唯一の日本メーカーとして、電気自動車の楽しさや高いパフォーマンスを訴求していきます」と話している。

 

またセバスチャン ブエミ選手のコメントは以下の通り :
「シーズン6はシーズン5の勢いをさらに増していきたいと考えています。

シーズン6にはいくつかの新しいメーカーが参加しますが、私たちはチームとして多くの経験を積んだので、競争力はさらに高まっています。ローランドが再び私のチームメイトになるのは素晴らしいことです。

継続性が重要ですからね。1シーズンともに戦ってきた経験は、大きな力になるでしょう。チームが前進するためには2人のドライバーがともに速いことが重要ですが、ローランドは昨シーズンでその速さを証明しました。速いチームメイトは私を進歩させてくれます」

 

 

さらにオリバー ローランド選手のコメントは以下の通り
「フォーミュラEドライバーとして最初のシーズンは素晴らしいものでした。今は2年目に向けた適切な準備と、さらに強くなることに集中しています。

シーズン5はほとんど経験がないままスタートしましたが、十分に順応できたと思います。ブエミとのチームは最高で、彼から多くのことを学びました。今後もお互いに高めあい、チームをさらに前進させることができると思います。

チームの皆からも多くのサポートをもらいました。シーズン6に向けて、自分の好みに合わせてマシンをセッティングする方法を学ぶ時間がたくさんあります。シーズン6ではさらに競争力を高め、勝利を手に入れたいですね」
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2. SUPER GT GT500
 日産/ニスモは、今シーズンも4チーム、4台のNISSAN GT-R NISMO GT500でSUPER GTに参戦する。各チームの体制及び車両名は以下の通り。

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【SUPER GT GT500クラス チーム体制】
No._チーム_車両名
_監督_ドライバー_エンジニア_タイヤ
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23_NISMO_MOTUL AUTECH GT-R
_鈴木 豊_松田 次生/ロニー・クインタレッリ(伊)_中島 健_ミシュラン


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3_NDDP RACING with B-MAX_CRAFTSPORTS MOTUL GT-R
_田中 利和_平手 晃平/千代 勝正_宮田 雅史_ミシュラン


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12_TEAM IMPUL_カルソニックIMPUL GT-R
_星野 一義_佐々木 大樹/平峰 一貴_大駅 俊臣_ブリヂストン


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24_KONDO RACING リアライズコーポレーションADVAN GT-R
_近藤 真彦_高星 明誠/ヤン・マーデンボロー(英)_根岸 圭輔_ヨコハマ


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SUPER GT GT500クラスの総監督は、ニスモCOOの松村 基宏が昨シーズンに引き続き務め、本山 哲氏とミハエル・クルム氏がエグゼクティブアドバイザーとして日産系チームの競争力アップに尽力する。

新車となる2020年型NISSAN GT-R NISMO GT500は、ドイツツーリングカー選手権(DTM) との共通技術規則「クラス1」に沿った車両として開発された。

 

新規採用となる両シリーズ共通のサスペンションを最大限に活かす車両セットアップ、安定して高いダウンフォースを発生する新空力デザイン、新エンジン「NR20B」によるエンジン出力の向上とパワーカーブの最適化を目標に開発。さまざまなサーキットに対応し、シーズンを通して参戦チームの競争力を高めていくことに努めるという。
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3. カスタマーレーシングプログラム
3-1)カスタマーレーシング – GT3 プログラム
 ニスモはSUPER GT GT300クラス、ニュルブルクリンク24時間レース(ドイツ)、スーパー耐久シリーズをはじめとする世界各地で開催されるレースにFIA GT3規定のNISSAN GT-R NISMO GT3で参戦するチームに引き続き技術支援を行う。

 

– SUPER GT GT300クラス
 SUPER GT GT300クラスには、5台のNISSAN GT-R NISMO GT3が出場。GT3オフィシャルパートナーチームであるGAINERから引き続き2台、同KONDO RACINGから1台のNISSAN GT-R NISMO GT3がエントリーする。また、NILZZ Racing、TOMEI SPORTSが参戦する。

 

KONDO RACINGは、日産・自動車大学校の学生や販売会社のテクニカルスタッフが参加する。これはレース活動を通じた人材育成プロジェクト「NISSAN MECHANIC CHALLENGE」で、昨年に引き続き今シーズンも実施していく。

スーパー耐久シリーズより開始した本活動は、9年目へ突入。今年も日産圏全体の人材育成プログラムとして活用していく構えだ。
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【SUPER GT GT300クラス チーム体制】
No._チーム_車両
_監督_ドライバー_タイヤ
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10_GAINER__GAINER TANAX ITOCHU ENEX with IMPUL GT-R
_藤井 一三_星野 一樹/石川 京侍_ヨコハマ
11_同_____GAINER TANAX GT-R
_藤井 一三_平中 克幸/安田 裕信_ダンロップ
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56_KONDO RACING_リアライズ日産自動車大学校 GT-R
_近藤 真彦_藤波 清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(ブラジル)_ヨコハマ
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– ニュルブルクリンク24時間レース
 3か年計画を掲げニュルブルクリンク24時間レースに挑戦しているKONDO RACINGが、トップクラスであるSP9クラスにNISSAN GT-R NISMO GT3で2年目のレースに挑む。(ドイツ 決勝:5月23日~24日)参戦初年度だった昨年は、総合9位に入賞しており、今年はさらなる上位を目指す。

 

また、ニスモパフォーマンスセンター(NPC)*のテクニカルスタッフから選抜された数名が、今年もKONDO RACINGに合流してプロのレースメカニックと共に24時間レースを戦う。

 

*NISMOロードカー、NISMOパーツを常時展示し、専門トレーニングを受けた認定スタッフ「NISMOマイスター」が常駐する日産販売店
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【ニュルブルクリンク24時間 チーム体制】
チーム_監督_
ドライバー_チームアドバイザー_タイヤ
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KONDO RACING_近藤 真彦
_松田 次生/高星 明誠/平峰 一貴/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(ブラジル)
_ミハエル・クルム_ヨコハマ
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– スーパー耐久シリーズ
 スーパー耐久シリーズでは、ST-XクラスにMP RacingとTAIROKU Racing with B-MAX Engineeringから各1台、合計2台のNISSAN GT-R NISMO GT3が出場し、日産/ニスモは、今年も技術支援を行う。なおST-3クラスには、OKABEJIDOSHA motorsportからFAIRLADY Z NISMO RCが出場を予定している。

 

3-2)カスタマーレーシング – エンジンサプライプログラム
 カスタマーレーシング – エンジンサプライプログラムとして日産/ニスモは、プロトタイプカー向けのレースエンジンを引き続き供給し、技術支援を行う。

 

今シーズンは、世界各地で開催されるLM P3クラスのレースに出場するチームに2015年から供給してきたVK50エンジンに加え、2020年シーズンから導入されるLM P3規則に対応してVK56エンジンを新規開発し、オレカ社を通じて供給していく。

 

なおVK56エンジンは、ヨーロピアン・ルマン・シリーズやミシュラン・ルマン・カップなど欧州でのシリーズ参戦チームに供給される。
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4. グラスルーツ支援及びその他の活動
 最後に国内外で行われる参加型モータースポーツでのパーツ供給や技術支援等を通じて、日産車ユーザーのグラスルーツモータースポーツ活動も支援していく。

 

海外では、カナダでマイクラ(日本名:マーチ)によるワンメイクレース、マイクラカップが行われる。

 

ニスモドライビングアカデミー:
ニスモドライビングアカデミーはロードカーユーザーとモータースポーツとをつなぐ活動として、NISMOロードカーやNISSAN GT-R、フェアレディZのユーザーを対象としたドライビングレッスン。

 

これを本年度も実施する。具体的にはミハエル・クルム氏が校長、ニスモ契約ドライバーが講師を務める形の同活動は、日本各地のサーキットで開催を予定している。

 

加えてシーズンオフの恒例となったファン感謝イベント「NISMO Festival」は23回目の開催となり、今年は12月6日(日)に富士スピードウェイで開催される。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。