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2020年9月29日【エネルギー】

プジョー新型SUV2008で人気のコンパクトSUV市場へ攻勢

松下次男

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 グループPSAジャパン(アンジェロ・シモーネ社長、東京都目黒区)は9月29日、プジョーブランドのBセグメントコンパクトSUVである新型「SUV 2008/SUV e-2008」のオンライン発表会を開いた。市場が拡大するコンパクトSUV市場に向け、攻勢をかけるモデルとし、シモーネ社長は「若々しく、街中でも、郊外でも気軽に運転できるクルマだ」と強調した。(佃モビリティ総研・松下次男)

 

 

ガソリン車とEVは総コストをほぼ同等に、EVの航続距離は385km(JC08モード)

 

 新型SUV 2008および100%電気自動車(EV)である新型SUV e-2008の日本向けは9月16日に発表、発売。これにあわせて今回オンラインプ上でプレビューした。車両のデリバリーは、SUV 2008については10月中旬以降、SUV e-2008については11月以降の開始予定だ。

 

 日本に投入するガソリン・エンジン車とピュアEVは「パワー・オブ・チョイス」のフィロソフィーのもと、機能、装備、スペースなど自動車としての基本部分を統一。先に日本で販売開始した新型208と同様の価値観を提示し、ライフスタイルや使用状況、好みに応じて選べるスタイルを取り入れている。

 

 

シモーネ社長は、重要度が増している「モビリティの多様性へ、対応できる一台だ」と述べ、トレンドに先行する姿勢を示した。また、「プジョーならではの3D i-Cockpit(3次元i-コクピット)という極めて特徴的な運転席も魅力的に映るだろう」と訴えた。

 

ガソリン車とEVを対等にという考えは、費用負担にも現れている。車両価格に、エネルギー代や保険、メンテナンス、税金、補助金などの所有コストを加えたトータルコストでみると、EVとガソリン車の月々の負担費用はほぼ同程度に設定し、この点でも利用者の好みに合わせ「選択の自由度」を高めている。

 

 

SUV 2008は10月中旬以降、SUV e-2008については11月以降にデリバリー開始予定

 

 2代目となる新型SUV 2008は、グループPSAの最新世代小型車用プラットフォームCMP(コモン・モデュラー・プラットフォーム)を採用。これにより居住空間、ラゲッジスペースなどを限りなく同一にし、BEVや内燃機関のすべての動力源に対応可能となった。

 

また、新型車はプラットフォーム比で前モデルに比べて30キログラムの軽減を達成し、CO2(二酸化炭素)削減にも寄与。さらに設計の柔軟性も備えており、新型SUV 2008は前モデルに比べ、ボンネットを低く、タイヤをより四隅に配置した力強く、安定したプロポーションを実現した。

 

外観は、彫刻的な造形を採用することにより、パワフルで個性的な存在感を醸し出す。サイドビューはボンネットを水平基調に伸びやかさを出させることで、SUVらしくより安心感を与えるスタイルに仕上げたという。

 

 

EVのSUV e-2008には、ボディカラーにあわせて塗装したラジエータグリルや色調が見る角度によって変化するダイナミックライオンなどを外観に施して、見分けをつけた。
ボディサイズは全長4305ミリメートル、全幅1770ミリメートルと、それぞれ前モデルより145ミリメートル、30ミリメートル拡大。全高は1550ミリメートルと同20ミリメートル低く、ホイールベースは2610ミリメートルと同70ミリメートル伸ばした。国内の大半の立体駐車場に適合しながらも、ボディサイズを拡大してユーティリティを向上させたという。

 

 パワートレインは、ガソリン車が1・2リットル・ターボエンジンの新型を搭載し、最高出力130馬力、最大トルク230ニュートンメートルを発揮する。
BセグメントSUVながら電子制御8速オートマチックトランスミッションと組み合わせることで、燃費は国際規格に準じたWLTCモードで1リットル当たり17キロメートル、JC08モードで19・2キロメートルを達成。

 

ピュアEVのSUV e-2008は最高出力136馬力(100キロワット)、最大トルク260ニュートンメートルの電気モーター、能力50キロワット時のバッテリーを搭載し、一充電当たりの航続距離はJC08モードで385キロメートルとなっている。
100%電動パワートレインを搭載したBセグメントコンパクトSUVの投入は日本で初めて。
充電方法はコンセント型普通充電、ウォールボックス型普通充電、チャデモ急速充電の3充電モードが設定されており、チャデモ急速充電ならば約50分で80%の充電が可能だ。

 

先進技術や安全性も進化。アクティブセーフティブレーキ、アクティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付き)、レーンキープアシストなどの最新の先進運転支援システム(ADAS)を全車に標準装備し、追加オプションが不要だ。

 

また、SUV E-2008はスマートフォンアプリで充電予約、エアコン作動などができる。
グレードはAllureとGT Lineの2タイプを設定。車両価格(税込価格)はAllureのSUV 2008が299万円、SUV e-2008が429万円。GT LineはSUV 2008が338万円、SUV e-2008が468万円。 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。