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2023年11月24日【新型車】

ポルシェジャパン、新型パナメーラ(第3世代)の予約受注を開始

坂上 賢治

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ポルシェジャパンは11月24日、第3世代の新型パナメーラとパナメーラ4の予約受注を同日より全国のポルシェ正規販売店を介して開始した。

 

生産体制は大きく刷新されたライプツィヒ工場で行われることになった。これにより、直近の数か月間、同工場では第3世代のパナメーラの生産に対応するための最適化が行われてきたという。価格と仕様は以下の通り。

 

車種/トランスミッション/ハンドル/希望小売価格(消費税込)
パナメーラ/8速PDK/右/¥14,240,000
パナメーラ4/8速PDK/右/¥14,790,000
※パナメーラターボEハイブリッドの予約受注開始日と価格は未定。

 

 

新型パナメーラには、ポルシェアクティブサスペンションマネージメント(PASM)を備える2チャンバー、2バルブ技術のエアサスペンションが標準装備される。

 

この2バルブ技術は、ダンパー制御の伸長段階と圧縮段階を分離することで快適さとスポーティさの幅を拡大させるもの。同システムは、路面の損傷や横方向に伸びる路面の継ぎ目による衝撃を緩和すると同時に車体の安定性には寄与する。

 

シャシーは、サスペンションがピッチングやローリングの傾向を強く打ち消すように補正を行い、乗員にかかる加速力を低減させる。更にダイナミックなドライビングシーンでは、ポルシェアクティブライドサスペンションシステムがホイール荷重をバランスよく配分することで路面との理想的なトラクションが可能になるという。

 

 

このモードが作動していれば、新型パナメーラはまるでバイクのように傾いてコーナーに入り、加速時にはフロントを、減速時にはリアをそれぞれ下げ、静止時は、ポルシェアクティブライドサスペンションシステムが快適な高さまで車体を持ち上る。

パワーユニットは、Eハイブリッドパワートレインが設定される。パナメーラターボEハイブリッドのパワートレインの心臓部となるのは、根本から改良された4リッターV8ターボエンジン。

 

新開発の電気モーターの出力は140 kW(190 PS)と合わせるとシステム出力は500 kW(680 PS)になり、システムトルクは930 Nmに達する。

 

 

これに設計を見直した8速PDKデュアルクラッチトランスミッションを組み合わせる。同ハウジングには電気モーターが組み込まれており、独立したEモーターハウジングを廃止することで約5 kgの軽量化を実現した。

 

またトランスミッションのオイル回路にユニットを組み込むことで電動ユニットのヒートバランスが最適化され、電気モーターからより高い出力を得ることができるようになった。

 

その結果、パナメーラターボEハイブリッドは、3.2秒で100 km/hに加速し、最高速度は315 km/hに。バッテリー容量は25.9 kWh。このバッテリーによりWLTP複合サイクルでは91 km、市街地サイクルでは83~93 kmの電気走行が可能になる。新しい11 kWの車載AC充電器も搭載した。

 

併せて今回はパナメーラ4も発売される。2.9リッターのV6ターボエンジンは、ブースト圧、燃料噴射流量、点火時期の変更によりパフォーマンスを最適化。

 

これにより最高出力は260 kW(353 PS)、最大トルクは500 Nmとなり、先代モデルよりも出力が17 kW(23 PS)、トルクが50 Nm向上した。その結果、パナメーラの100 km/hまでのスプリントタイムは5.1秒に短縮され、最高速度は272 km/hに向上。全輪駆動のパナメーラ4は、4.8秒で270 km/hに達する。

 

 

ボディプロモーションでは、車両全長は5,052 mm、幅は1,937 mm、高さは1,423 mm。フロントのナンバープレート上部にはエアインテークを追加し、駆動システムに必要な空気が補われるようにした。

 

サイドビューのウィンドウラインは一新され、4ドアスポーツカーのセダンらしさを強調。リヤウィンドウの外縁はボディの輪郭と面一になっており、車体後部の調和のとれたラインを生み出す。

 

コックピットは、デジタル操作要素とアナログ操作要素の理想的なバランスを取り、ドライビングに不可欠な入力要素と出力要素がドライバーの軸線上に配置される。

 

ギアセレクターレバーはステアリングホイールの左側に。ドライバーは、ノーマル、スポーツ、スポーツプラスの各ドライビングプログラムのモードスイッチや、アシスタンスコントロールストークにも直接アクセスできるため、ドライブプログラムやアシスタンスシステムを調整しようとして、道路から目を離す必要がない。

 

オプションのパッセンジャーディスプレイで、パッセンジャーもドライビングエクスペリエンスに関わることが可能となる。10.9インチのスクリーンには操作に応じて車両性能データが表示される。また走行中のインフォテイメントシステムの操作やビデオストリーミングにも対応。運転席からは助手席のディスプレイを見ることができない設定だ。

 

 

ターボの名を冠したパナメーラターボEハイブリッドは、シリーズにおける位置付けを強化した。エクステリアは、塗装仕上げのディフューザーパネルを持つ個性的なリアエプロンと、ボディカラーのユニークなフロントエプロンが設けられている。またダークブロンズのクロームメッキテールパイプや、他のモデルでもオプションで設定できるセンターロックホイールも装備される。

 

ウィンドウストリップとテールゲートにあるターボロゴ、そしてボンネット、ホイール、ステアリングホイールにあるポルシェクレストには、モデルの独自性を強調するものとして、ターボ専用カラーであるターボナイトが採用される。インテリアでは、ターボナイトとカーボンエレメントを組み合わせることで、スポーティな雰囲気を醸し出す。

 

 

新型パナメーラは、ドライバーのデジタルエコシステムの中で欠かせない存在となる。個人のポルシェIDでのログインは、PCMに表示されるQRコードをスマートフォンで読み取るだけ完了する。

 

併せてパナメーラにもマトリックスLEDヘッドライトも標準装備した。1つのヘッドライトで32,000ピクセルを超える、高解像度HDマトリクスLEDライティングシステムもオプションとして設定されている。照射距離は最大で600メートルとなる。

 

 

アシスタンスシステムも大幅に改善され、アクティブレーンキープアシストとアダプティブクルーズコントロールも標準装備となった。また自動駐車の際にドライバーが車内にいる必要もなくなり、新機能のリモートパークアシストによりスマートフォンから駐車プロセスの確認が可能(ただし、ドライバーには操作責任がある)になっている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。