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2019年11月20日【トピックス】

ポルシェ、EV「タイカン」を日本初公開

松下次男

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ポルシェの伝統を受け継いだEVスポーツカー、来年9月から納車

 

 ポルシェジャパン(ミヒャエル・キルシュ社長、本社・東京都港区)は11月20日、電気自動車(EV)のスポーツカー「タイカン」を日本で初公開し、同日から予約を受け付けると発表した。タイカンは独ポルシェ初のEVで、一充電当たりの航続距離は最大463キロメートル(WLTPに準拠)。2020年9月から納車を始める予定だ。

 

今年8月にポルシェ日本法人社長に就任したキルシュ氏は、自動車産業のパラダイムシフトの只中にあり、タイカンはそこで「新たなスタンダードを築く。EVでありながら、エモーショナルであり、ポルシェの魂を持ったクルマだ」と表現した。日本公開はドイツ、オランダに次ぐ3番目で、それだけに力がこもっていた。

 

 

タイカンの最大の特徴は、EVであると同時に、ポルシェの伝統を忠実に引き継いだスポーツカーであること。前後に2基の電気モーターを搭載し、後輪用モーターには2速変速機を組み込む。これによりトップモデルの「タイカンターボS」は最大761馬力を発揮し、0-100加速を2・8秒で駆け抜ける。

 

2基の電気モーター、後輪用モーターには2段変速機を組み込む

 

 アレキサンダー・クワース・プロダクトマネージャーはそのデザインについて「初代911を彷彿させる」と述べ、ポルシェの代表的なスポーツカーをモチーフにしたシルエットであることを明かした。さらに過酷な条件でも安定して発揮できる信頼性を確保し、0-200キロメートル加速を26回繰り返した際のタイム差は1秒未満に抑えられているという。

 

 

充電は家庭用電源で可能なほか、日本規格のチャデモに対応。また、ポルシェジャパンは全国のポルシェセンターや公共施設に次世代チャデモに対応した急速充電器を順次、設置する計画で、その充電出力は最もパフルな150キロワットを採用。タイカンの車載バッテリーを30分以内に80%まで充電できるとしている。

 

走行面でもポルシェらしさを継続。実際に乗車すれば、ステアリングを通じて得られる安心感、安定性の高いハンドリング、快適な乗り心地はポルシェの各モデルに共通したものだ。これらは高剛性かつ軽量なボディ、低重心設計、卓越したエアロダイナミックス性能から生み出される。

 

 

自宅で充電でき航続距離は最大463km。チャデモの急速充電器に対応

 

 さらにタイカンには最先端のコネクテッド、デジタル技術を搭載。16・8インチの大型ディスプレーを採用したポルシェ初のフルデジタル方式のメータークラスターをドライバー正面の配置し、最良の視認性を確保するともに、ホーム画面からすべての機能に直接アクセスできるオペレーティングシステムを提供する。

 

コネクテッド機能の「ポルシェ・コネクト」では、音声を通じて多彩な機能を操作できるボイスコントロールを備えているほか、スマートフォンからドアの施錠状態や駐車位置の確認などが可能だ。加えて、アップルミュージックを車両機能として世界で初めて組み込み、サブスクリプション登録者であれば5000万以上の楽曲が車内で楽しめる。

 

 

EV本体だけでなく、ポルシェは生産面でも環境負荷を低減するという。タイカンを生産するツッフェンハウゼンの新工場はバイオガスで稼働するコジェネレーションを配置するほか、再生可能エネルギーを多用する。
ポルシェ日本法人は11月20日から「期間限定タイカン予約プログラム」」を開始し、ユーザーの希望に沿ったかたちで車両を提供していく予定だ。車両販売価格は現状、未定。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。