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2023年11月1日【事業資源】

両備グループ、台湾EVバスメーカーと日本で車両販売目指す

坂上 賢治

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写真左から、王経済部長、呉董事長、HD小嶋、陳交通部次長

 

日本国内取り扱い1,000台を目指しMASTER社製EVバスの独占ディーラーに

 

両備ホールディングス(両備HD/本社:岡山県岡山市、代表取締役社長:松田敏之)は11月1日、台湾の大手EVバスメーカーの成運汽車製造有限公司(MASTER社/Master Bus Manufacturing Ltd.|マスター・トランスポーテーション・バス・マニュファクチュアリング)と同社製EVバスの独占販売に関する基本合意書(MOU)の締結をした。

 

同締結は、シェラトングランド台北ホテル (台北喜来登大飯店|台湾台北市)に於いて、王美花 経済部長(=経済大臣)、陳彥伯 交通部次長(=交通副大臣)両氏臨席のもとで行われ、両備HDはMASTER社の日本国内での独占販売権を取得した。

 

これまでも両備HDは、社内カンパニーの両備テクノモビリティーカンパニーがEVコンバージョンを手掛けており、今後は輸入EVバスを取り扱うことでもスピード感を以て販売から、設備・装備のカスタマイズ、アフターサービスが提供可能になるという。また同社は、2025年までにMASTER社車両1,000台以上の取り扱いを目指す。

 

調印者、写真左からMaster Bus Manufacturing Ltd.(成運汽車製造有限公司)董事長 Mr. TingFa Wu (呉定發 氏)/両備ホールディングス株式会社 代表取締役会長(両備グループ代表兼CEO) 小嶋光信(こじま みつのぶ)

 

覚書締結に至る経緯は、これまで両備テクノモビリティーカンパニーによって旧車のEVコンバージョンを中心に脱炭素化に向けて事業を推進。同事業を通じて優れた急速充電技術を有するMASTER社のEVバスに出逢った。

 

この際、生産車両は右ハンドルで日本のレギュレーションに合致した車両提供が可能であるとの説明を受けた。そこで両備HDは、グループ外のバス会社からのEVバスの問い合わせ増を踏まえ、MASTER社の急速充電技術が国内の市場発展のプラットフォームになると確信、今回のMOU締結に至ったという。

 

日本での販売が予定されているMASTER社製9メートル右ハンドルEVバス

 

この締結にあたりMaster Bus Manufacturing Ltd.董事長のMr. TingFa Wu(呉定發 )氏は、「弊社は、政府が2030年までにバスの完全なEV化を実現するという目標に真摯に取り組んでおります。

 

現在、彰化県二林に新工場を建設中で、年間6,000台の完成車両と20,000台のKDパーツを生産する予定です。

 

台湾の主要な都市で、現在350台の急速充電式EVバスが運行しており、市民の為によりクリーンで環境にやさしい交通サービスを提供しています。

 

両備グループは国際的に有名な和歌山電鐵の〝たま〟駅長を有する企業グループで、小嶋会長は多くのファンを魅了しました。私もその一人です。

 

2023年9月、私は日本の両備グループを訪問し、小嶋会長の「真心からの思いやり」に満ちた経営哲学に触れ、小嶋会長と初対面にもかかわらず、お互いが100年来の友人のように感じました。

 

私たちは共に協力し、都市に最適なゼロエミッション実現に向けて、台湾の急速充電EVバスが日本を走り、日本のEVバスビジネスの急成長を目指します」と語った。

 

MASTER社呉董事長(右)と両備HD会長,小嶋(2023年9月撮影)

 

一方、両備ホールディングス代表取締役会長の小嶋光信(こじま みつのぶ)氏は、「日本と友好な関係にある台湾が、世界のEVバスのサプライチェーンに於いて確固たる地位を確立するべく呉定發董事長が尽力されている中で、日本市場での展開に向けて両備グループと手を繋いで頂きありがとうございます。

 

車両の安全維持に呉董事長ご自身が先頭に立って取り組まれていることに感銘を受け、安全を第一に考える両備グループとして大いに共感できました。

 

製造現場を見学させて頂いた際、最先端の素晴らしい技術を保有していることを感じ、弊社としても高性能のEVバスを日本へ輸入することが、日本国内の公共交通や高速バスだけでなく、環境対応に取り組んでいる地方自治体、大手企業様へ向けてもお役に立てることであると確信しました。

 

9月に呉董事長、黄副總経理に来日いただいた際、我々の技術と人材育成、環境づくりへの取り組みを高く評価してくださり、呉董事長に初めてお会いした時、まるで100年来の友人に再会したような不思議な感じがしました。

 

本日のMOU締結には、両社手と携え心を一つにして、日本市場にEVバスの新しい風を吹かせるために共に力を合わせていくことを誓い合う意味も含まれていると思っております」と述べている。

 

参画各社の企業概要は以下の通り

 

Master Bus Manufacturing Ltd.(成運汽車製造有限公司) 
MASTER社は2003年に設立。電気自動車、具体的には電気バスおよびそれに関連する部品を製造しており、製造業、運送業、アフターサービス部門、サービスパーツ提供の4部門で構成されている。

 

2021年には政府から2社のみに与えられたEV大型バスモデル計画への参加業者としての資格を得た。EVバスは、12メートルの3扉や9メートルの1扉、12メートルの2扉の市内EVバス、12メートルの中距離および長距離高速バスがある。

 

BMS(バッテリーマネジメントシステム)も自社開発しており、安全性を最優先としたLTO(リチウムチタン酸電池)を使用した高速充電を搭載している。

 

会社名:Master Bus Manufacturing Ltd.(成運汽車製造有限公司)
所在地:台北市敦化南路一段25號10樓 
10F., No.25, Sec. 1, Dunhua S. Rd. Songshan Dist., Taipei City 105408 , Taiwan (R.O.C.)
代表者:呉定發 董事長
設立:2003年4月
資本金:30億台湾元
主要製品:EVバス

 

両備ホールディングス株式会社
トランスポーテーション&トラベル部門、くらしづくり部門、まちづくり部門、ICT部門、社会貢献部門の5部門からなる両備グループの中核企業で、本社を岡山県岡山市に置く。1910年に軽便鉄道会社として創立し、以来、交通運輸観光業を中心として、ストア業、不動産業、空港地上業務など多岐にわたる業務を展開する。

 

両備テクノモビリティーカンパニーは両備ホールディングス株式会社の社内カンパニーで、自動車整備事業を中心に、トレーラー製造、EVコンバージョン、車両販売などの事業を展開している。

 

同社は約100人の整備スタッフを擁し、メーカー機能を備えた整備事業者であると謳っている。2021年にロンドンタクシー(1969年製)のEVコンバージョンで蘇らせたことを切っ掛けに、2022年にEVリバーストライクを自社開発し販売を開始。近年はEV車メーカーとしての第一歩を踏み出した。

 

本社:岡山県岡山市北区下石井二丁目10番12号 杜の街グレース オフィススクエア5階
創立:1910年7月
資本金:4億円
代表者:代表取締役会長 小嶋光信   代表取締役社長 松田敏之
従業員数:約2,100名
主な事業:交通運輸業、不動産業、倉庫通関業、スーパーマーケット事業、整備業、製造業

 

両備テクノモビリティーカンパニー(両備ホールディングスの社内カンパニー)
カンパニー本部所在地:岡山県岡山市南区西市570
カンパニー長:木内直人(両備ホールディングス株式会社 常務執行役員)
事業内容:自動車整備事業、重機整備事業、部品製造事業、建設機械販売、産業設備販売、車両販売、セキュリティ、産業用蓄電池販売、クリーンエアーシステム販売等、トレーラー事業(開発・製造・販売)など
従業員数:313名(2022年6月現在/ アルバイト・パート含む)

 

両備グループ
事務局:両備ホールディングス株式会社本社内
代表者:両備グループ代表 小嶋光信
主なグループ企業:両備ホールディングス株式会社、株式会社両備システムズ、岡山交通株式会社、和歌山電鐵株式会社、株式会社中国バスなど
従業員数:約8,300人

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。