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2023年8月31日【トピックス】

ステランティス、アルファロメオ33ストラダーレを復活させる

坂上 賢治

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ステランティス傘下のアルファ・ロメオは8月30日(欧州中央時)、1960年代を象徴する伝説のクルマ「33ストラダーレ(Stradale)」を、現代に相応しいパワートレインを搭載した上で自動車史の世界から蘇らせることに成功した。( 坂上 賢治 )

 

元々の源流である1967製の33シリーズは、当時、社長を務めたジュゼッペ・エウジェニオ・ルラーギ氏と、同時期に新しく設立されたレーシング部門〝アウトデルタ〟を率いるカルロ・キティ氏にの手により、アルファ・ロメオの国際レース復帰を記念して作られた。

 

 

このTipo(ティーポ)33レーシングと名付けられたクルマのデビュー戦に選ばれた檜舞台は、ベルギー東部ワロン地域のリエージュ近郊にあったフレロンでのタイムトライアル。ステアリングを握ったのはアウトデルタの主任テスター、テオドロ・ゼッコリ氏であった。

 

それ以降は、 当時最も権威があった1975年と1977年のワールド・チャンピオンシップ・フォー・メイクスで勝利を収め、その後、その名声を糧に快適性と運転性を両立させたカスタムビルト車として〝33ストラダーレ〟の限定生産に着手した。

 

つまり、かつての33ストラダーレは、当時のモータースポーツシーンで車名を轟かせたティーポ33から派生したもの。そのボディフォルムは、今日も多くの自動車コレクターから最も美しい車の1つであると評されているが、新たな33は、そんな50年以上の時を遡った1967年製33ストラダーレのスタイルを忠実に解釈。それと同時にアルファ ロメオの未来を示すクルマとして再登場した。

 

初代33ストラダーレ(1967年)

 

但し車両生産は僅か33台生産という超レアな習作であり、昨今のラグジュアリィ・カーと同じく、顧客の趣味や思いの通りの希望に添ってカスタマイズを加えたフオリセリエ(カスタムビルト)・プログラムを介して送り出された。それゆえ、エアインテーク、ホイール、そして特徴的なフロントシールドに至るまで、世界中に同じ車は2台となく、また既にそれらの車両の全てが販売済み(車両価格は装備により異なり300万ユーロ以上/4億8000万円超)となっている。

 

そんな現代の33ストラダーレは、サーキットで最も鋭い切れ味を見せるハイ・パフォーマンスカーであるのだが、快適性と使い易さという面でも充分以上に配慮され、通常モデルの場合、V6ツインターボ エンジンや電動モーターが用意され、日々の通勤にさえ使える程の快適性とドライバビリティ性能を備えているという。

 

一方で、現代のマエストロであるアルファ・ロメオの専門家チームが手作りで構築した車体各部は、正真正銘のオーダーメイド品質であり、細部への徹底した拘りが感じられるユニークな芸術作品の域に達するクルマとして、アルファ・ロメオが心血を注いで設計・開発・製造されたクルマとしている。

 

 

そんなマエストロ達が丹精込めて造り込んだ〝33ストラダーレ・プロジェクト〟について、アルファ・ロメオ ブランドを率いるジャン・フィリップ・インパラートCEOは、「新しい33ストラダーレは、ブランドの価値に何よりも拘り、世の熱狂的なアルフィスティ達に誇りを持ってご購入頂くために手掛けたクルマです。

 

その原動力となったのは、アルファ・ロメオブランドの歴史の変遷を忠実に辿ること。そうし道筋を歩みつつ、未来のブランドの行く末にも貢献すると決めたアルファ・ロメオの経営陣。そして果敢に現代の33ストラダーレの復活に取り組んだ技術チームの専門知識、そして何よりもアルファ・ロメオを愛する情熱があってこそ、達成することが可能にになりました。

 

これは1969年から奇跡の復活を果たしたアルファ・ロメオブランド初のカスタムカーでありますが、我々のクルマづくりヘの道程はまだまだ未来へと続きます。従って夢のクルマづくりは、このクルマが最後の到達点ではないこととお約束します。

 

なお先の通りで、新たな33ストラダーレは、かつて歴史を刻んだ1967年モデルからインスピレーションを得ており、そこにアルファ・ロメオの新しいスタイル言語を統合させています。

 

 

例えばエクステリアは、かつての33ストラダーレを踏襲したプロポーション、ボリューム感、独自のフォルムを忠実に再現したことが特徴で、クルマは〝アルファ・ロメオらしい美しさとは何か〟を体現しています。

 

ボディ全体は前方に突き出た前のめり姿勢で、これらはアルファ・ロメオらしい典型的な表現に、現代に相応しい安全基準が盛り込まれてモデル化されたものです。

 

更に細かく見ていくと、フロントは力強く筋肉質なボリュームを持ち、象徴的なシールドと楕円形のベースを持つライトの複雑な形状が際立った特徴となっています。

 

 

またフロントノーズから後ろのプロポーションは、ダイナミックでありながらもスリムさを失わなわず、大きな開口部を備えたドアと、その側面に2つの大きな吸気口が付いています。

 

ボンネットとドアの開閉によって独特の視覚効果を与えるボディスタイルは、このクルマが何よりも特別な製品であることを示しています。ルーフに掛けてのフォルムは、独特のラップ・アラウンド・サンルーフのお陰で、ドライビングポジションについて運転者は、飛行機のコックピットの中からの長めにも似た独特の景色を楽しむことができます。

 

 

なおこの33ストラダーレで、最も車高が低い部分は他の一般的なスポーツカーのフロントガラス部とは異なり、ルーフの中央部が最も低いユニークなスタイリングを持っています。

 

そこから視線をリア周りに移すと、切り詰められたテールやV字型のグラフィック、丸いリアライトクラスターなどにより、歴史に裏打ちされたこのクルマらしい力強さが表現されています。

 

インテリアは、ミニマリズムさをデザインコンセプトの基調に据えており、それはドライビングエクスペリエンスの最大化を目指して構成されたものです。

 

特にコックピットデザインは、センターコンソールに運転のために必要なインターフェイス要素だけを盛り込み、ドライバーの気を散らす要素は最小に抑え込まれています。

 

 

ステアリングホイール周辺のに無駄なボタン類も一切廃して、純粋に運転の楽しさを満喫できる環境作りに拘りました。採用した素材は、アルミニウム、カーボンファイバー、レザー、アルカンターラに限定しています。

 

シートは、ポルトローナ・フラウ研究開発センターチームが開発したレザーコレクションで仕立てられたもので、これは源流となった先代モデルのシートコンセプトを踏襲したものです。結果、総じて1967年製33ストラダーレの美しさと技術的伝統を維持しながら、高級で魅力的な環境を作り出すためにあらゆる細部が再設計されています。

 

 

ドライビングエクスペリエンスでもアルファ・ロメオ チームは、サーキットカーとしての絶対性能を、日常の運転感覚と安全性を犠牲にすることのないモデルに仕立て上げるという野心的な目標を設定しました。

 

 

そこではアクティブ・ショックアブソーバーを備えたダブルアームサスペンションや、 2.9V6のツインターボエンジンを進化させるなど、アルファ・ロメオ独自の技術の粋を焼結させたものとなっています。

 

なお実際のパワーユニットについては、先のような最高出力620馬力超のV6ツインターボエンジンを搭載することもできる他、 750馬力を超える純電動のBEV構成を選択することもできます。どちらのバージョンでもパフォーマンスに妥協はありません。最高速度は333 km/hで、0から100 km/hまでを3秒未満で駆け抜けます。

 

コーナリングもアクティブショックアブソーバーを備えたダブルアームサスペンションとフロントアクスルリフトにより、心躍るハンドリング性が保証されます。

 

 

またブレーキシステムは、ブレーキバイワイヤーシステムを組み込んだブレンボのカーボンセラミックブレーキであり、アルミニウム製のH型のベースフレームにカーボンファイバー製のモノコックを組み合わせたボディは、高い剛性感と共に常識を超えた軽量さを保証します。

 

ウィンドウフレームもカーボンファイバー製で、リアウィンドウはポリカーボネート製です。車体のチューニングではF1ドライバーのバルテリ・ボッタスがサポート。F1の運転感覚をドライビングキャラクターに取り入れ、アルファ・ロメオらしい独自のハンドリングテイストを保証します」と、このクルマの魅力を語った。

 

 

これに対してアルファ・ロメオでデザイン責任者を務めるアレハンドロ・メゾネロ・ロマノス氏は、「33ストラダーレプロジェクトは、限られた少数精鋭のチームの情熱と献身の結果として生まれました。

 

デザインはフランコ・スカリオーネの1967年の傑作からインスピレーションを得ており、将来に於けるアルファ・ロメオのモデルラインの未来を大胆に表現しています。

 

その官能的で魅力的なデザインは、歴史に裏打ちされた本物のアイコンとして孤高の立ち位置を示しながらも、新生アルファ・ロメオらしさと、現代的なプロポーションラインとの調和に腐心した成果です。

 

その結果として綿密なCFD解析(Computational Fluid Dynamics/流体解析)とその後の風洞テストにより、アクティブな空気力学システムの支援なしで0.375という優れた Cx (空気力学的抵抗係数) を達成することができました」話している。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。