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2018年6月8日【経済・社会】

SUBARU(スバル) 新たな検査不正発覚

松下次男

 

道路運送車両の保安基準細目を逸脱

 

SUBARU(スバル)は、完成検査時の燃費・排出ガスの抜き取り検査に関する再調査で新たな不正が判明したと去る6月5日発表した。測定試験の際の「トレースエラー」および「湿度エラー」を有効な測定とした車両があり、その台数は927台にのぼった。国土交通省から、事実関係を調査し報告するよう指示を受けたあと、記者会見した吉永泰之社長は相次ぐ不正発覚について「企業風土の問題] と捉え、こうした問題が二度と起こらないよう「膿を出し切る」と述べるとともに、販売面などへ影響を及ぼすブランドの失墜を食い止める決意を強調した。

 

 

 また、一連の問題の責任を取るかたちで吉永社長の処遇についても6月22日の株主総会後に就く予定だった代表取締役会長兼CEO(最高経営責任者)の当初の人事案を撤回し、代表権を返上するとともにCEO職を新社長候補の中村知美氏に委譲することを決めた。

 新たな不正発覚は、以前の測定値の書き換え問題に伴う国交省の立ち入り検査で指摘を受け、社内調査した結果、わかったものだ。これにより抜き取り調査の不正車両台数は、調査対象の2012年12月以降の6530台のうち、前回発表分とあわせて1551台となった。対象車種は、量産車両を含む多車種に及ぶ。

 

不正をなぜ有効な測定としたのか今はわからない

 

 今回の不正行為は、JC08モードの燃費・排出ガス測定試験で保安基準の規定から逸脱した速度運転や試験室内の湿度を範囲外でも有効な測定として処理していたもので、前回の書き換えとはやや不正内容が異なる。実際、逸脱した速度運転では警告音が鳴るとし、「なぜ、それを有効な測定としたかは、今後の調査をみなければわからない」(大崎篤常務執行役員)とした。

 

 

 不正検査車両の品質問題、リコールの可能性については、「不正測定を無効とする本来のかたちで再チェックしたところ、数値は基準内を満たした」(同)とし、現状、問題ないとの見方を示した。 また、昨年末以降は検査工程に監視員をたてるとともに、設備を更新し、システム上、不正ができない仕組みに切り替えたという。

 

 

 課題は、こうした一連の不正発覚が更なる「スバル」ブランドの毀損につながりかねないことだ。水平対向エンジン、四輪駆動のAWD(4WD)に加え、近年は自動ブレーキ装置の先駆者として高性能、安全性の高いメーカーとして内外で評価を得ていただけに、販売面への影響が懸念される。

 これに対し吉永社長は「外部の専門家から、現場の意見が上に上がらないということや、古い体質が残ったままという指摘を受けており、根底に企業風土の問題があると捉えている。これらを時代に即した態勢に変えていく必要がある」と強調。外部の専門家を増やし、検査工程にとどまらず、全社的な規模で企業風土を刷新し、ブランドの回復につなげる考えを示した。( 佃モビリティ総研・松下 次男 )

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域の取材活動を経て同社出版局へ。コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に環境&リサイクル紙、車両ケア&整備ビジネス専門誌等の創刊誌編集長を歴任。独立後は一般誌、Web媒体上でジャーナリスト活動を重ね30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。