19年3月期決算はリコール関連費用、パワステ部品に伴う工場停止の影響などにより営業利益が約半減、米販売は堅調
スバルが5月10日発表した2019年3月期連結決算は、リコールによる品質関連費用や1月に発生した電動パワーステアリング装置の不良部品による工場の操業停止の影響で営業利益が前期に比べ48・5%減とほぼ半減した。
東京都内で決算会見した中村知美社長兼CEO(最高経営責任者)は「二度と不正検査問題を起こさないよう経営トップが自ら始めて、上から順に風土を変える」ことを最優先課題に掲げた。
事業面では、2019年4月まで89カ月連続して主力の米国市場で前年超えを達成するなど「稼ぐ力は落ちていない」との見方を示した。2020年3月期は一部工場の操業度を下期から通常に戻すことなどにより増収増益を目指す。
2019年3月期連結決算は売上高が3兆1605億円で前期比2・2%減、営業利益が1955億円、当期純利益が1478億円で同32・9%減となった。
車両販売台数は99万9千9百台で前期に比べ6万7千台の減少。完成検査の不正に伴い工場ラインの操業度を落としていることや群馬製作所の稼働停止が響いた。ただし、米国の小売り販売台数は新型「ASCENT」投入などが寄与し、68万4562台(前年65万939台)を達成。販売シェアも1ポイント・アップの3・9%となった。
常務執行得役員・経営企画本部長、早田文昭氏
同社は2019年度から会計基準を国際財務報告基準(IFRS)へ移行する。このため、日本基準で作成した前期までの決算数字と単純比較はできないが、2020年3月期は売上高3兆3100億円、営業利益2600億円、当期利益2100億円と増収増益を見込んでいる。
車両販売台数は105万8千3百台を計画。米国を中心に海外で5万台以上増やすほか、日本でも伸びを見込む。
取締役専務執行役員CFO、岡田稔明氏
中村社長は完成検査不正の再発防止に向け、完成検査員の再教育、完成検査に係る設備・人員の増強、完成検査部門を製造本部から品質保証部へ移管し検査業務の独立性を確報すると強調。
これにより「二度と不正を行わない組織風土」にし、スピードを落としている生産ラインも一部を下期から通常に戻すと表明した。この結果、営業利益でみると、4対6の割合で下期の方が高い計画にしていることを明らかにした。(佃モビリティ総研・松下 次男)