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2023年8月2日【新型車】

マクラーレンが日本初公開したスーパーカー750Sの凄さ

山田清志

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750S

 

マクラーレン・オートモーティブは8月2日、東京・有明のマクラーレン・クオリファイド東京で新型スーパーカー「750S」の披露会を開催した。今年4月にグローバルローンチをし、今回日本で初めての公開となる。価格はクーペが3930万円で、スパイダーが4300万円。デリバリーは2023年最終四半期の予定だが、すでに2024年の春頃まで販売枠は埋まっているそうだ。(経済ジャーナリスト・山田清志)

 

新たな頂点を目指して生み出されたクルマ

 

「マクラーレン750Sは、マクラーレンの新たな頂点を目指して生み出され、そのブランドのDNAを忠実に具現化したマクラーレン史上、最も軽量で最もパワフルなシリーズモデルだ。

 

60年の歴史を持つマクラーレンの血統が生み出した、クラス最高峰でかつ最新のスーパーカーである750Sは、軽量化という当社のスーパーカーづくりに共通するアドバンテージを維持しながら、マクラーレンのドライビング・エクスペリエンスをさらに進化させ、より一体感のある運動性能やクラストップのパワーウェイトレシオ、そして高性能エンジンならではのピュアなパフォーマンスを実現した。

 

そしてエアロダイナミクス・デザインにさらなる磨きをかけ、そのすべてを技術的に進歩させ、実用性の高いパッケージとしてまとめ上げたのが、このマクラーレン750Sなのだ」

 

シェーン・ハーマン氏と750S

 

ジャパン・プレミアムに来日したプロダクト・プランニング・マネージャーのシェーン・ハーマン氏は750Sについてこう説明する。

 

「720S」の後継として生まれた750Sは、720Sを徹底的に分析したうえで設計、開発を行い、コンポーネントの約30%を刷新あるいは変更を行った。ボディには可能な限りカーボンファイバーを使用して徹底的な軽量化が図られ、720Sからさらに30kg軽量の1277kgという乾燥重量を達成した。ボディサイズは全長4569mm、全幅2059mm、全高1196mmで、ホイールベースは2670mmとなっている。

 

搭載エンジンはV型8気筒4.0リッターツインターボエンジンで、720Sと比べて最高出力が30PS、最大トルクが30Nm高められた、最大出力750PS/7500rpm、最大トルク800Nm/5500rpmを誇る。0-100km/h加速は2.8秒、0-200km/h加速は7.3秒、最高速度は332km/hだ。

 

レーシングテクノロジーを積極的に投入

 

足回りは油圧リンク式サスペンションのPCC(プロアクティブ・シャシー・コントロール)をさらに進化させた新世代の「PCCIII」を搭載する。また、サスペンションスプリングは720Sよりフロントが柔らかく、リアが硬くなっている。さらにストラット内のアキュムレーターを調整するなど、750Sで初めて採用された新手法のサスペンションチューニングも実施して、乗り心地、ロール制御、ステアリングのフィードバック、コーナーリング時のバランスも向上させたそうだ。

 

エクステリアは720Sのデザインをさらに洗練させた。例えば、ノーズ下部はフロント・スプリッターが拡大し、ヘッドライトを挟む「アイソケット」インテークは細くなり、シルのエア・インテークとリア・ホイールアーチのベントも刷新。リアのエアロダイナミクスも見直された。リアデッキは再設計で延長され、そこから空気が送られる特徴的なカーボンファイバー製アクティブ・リアウィングはより高く長くなり、その下方にセンター出しのエグゾーストを配している。

 

750S

 

インテリアはよりドライバー中心のデザインとなり、新インストゥルメント・ディスプレーでは、ステアリングコラムにマウントされ、これと一緒に動く。ディスプレイを覆うピナクルには、パワートレインとハンドリングのモードを選択するスイッチが両サイドに配置され、ドライバーはステアリングに手を置き、目の前の道路に完全に集中したまま、アクティブ・ダイナミクスのコンフォート、スポーツ、トラックの各設定に容易に変更ができる。

 

「最新のF1を中心とするレーシングテクノロジーを積極的に投入すると同時に、720Sと比べてさらなる徹底的な軽量化を図った、まさに究極のドライバーズエンゲージメントを提供する、マクラーレン最新の、そして最強のモデルである」とアジア日本代表の正木嘉宏氏。

 

750S

 

その日本法人では現在、ネットワーク戦略を強化している最中で、今年度中に6店舗目となるマクラーレン広島を立ち上げ、さらに2024年度には首都圏で3店舗目となるマクラーレン横浜をオープンする計画だ。また、認定中古車も強化しており、クオリファイド東京、大阪に続き、今秋には3店舗目となるクオリファイド名古屋もオープンする予定である。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。