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2020年11月5日【イベント】

スズキ、21年3月期第2四半期連結決算会見

松下次男

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スズキ自動車・ロゴ

21年3月期通期業績見通しを公表、売上高3兆円、営業利益1600億円目指す

 

 スズキが11月5日発表した2021年3月期第2四半期(4~9月)連結決算は、日本や主力市場のインドで販売回復の兆しが出てきたことにより利益が第1四半期段階から大きく改善した。また未定としていた2021年3月期の通期業績見通しもあわせて公表し、「売上高3兆円を目指す」と表明した。(佃モビリティ総研・松下次男)

 

 主力のインドでの販売台数は7~9月期に急回復。新型コロナウイルス感染症拡大に伴うロックダウンの影響で4~6月期、前期比8割強の大幅減だったところから一転し、7~9月期は同19・6%増と伸びた。通期では「前期比80%水準」を算定する。
日本についても7~9月期は前年を上回る実績を達成した。こうしたインドや日本での第2四半期の収益改善から、収益が持ち直してきた。

 

 2020年度第2四半期累計の連結業績は売上高が1兆2702億円で前年同期比27・6%減、営業利益が749億円で同36・8%減、純利益が543億円と同31・5%減となった。
また、収益回復に加え、原価低減や研究開発費など経費削減に取り組んだが、販売台数減をカバーするまでに至らなかったという。第2四半期段階での売上高営業利益率は5・9%(前年同期6・8%)水準となった。

 

 グローバルの四輪車販売台数は96万6千台で同31・4%減。四輪車生産台数は96万3千台で同34・1%減の実績となった。四輪車販売を地域別にみると、インドは43万2千台で前年同期比36・1%減。ロックダウンの影響で4月の販売数ゼロに落ち込んだが、7月以降は前期を超える水準に回復。9月には15万台の販売台数を達成した。

 

ちなみにマルチ・スズキ・インディア社の業績も第1四半期は最終利益が赤字だったが、第2四半期は円換算で165億円(前年同期432億円)へと黒字転換した。ただし、営業利益は60億円の赤字(同283億円)を余儀なくされた。売上高は3056億円(同5438億円)だった。
またインドでは新工場であるグジャラートC工場を来年4月に稼働開始することも公表した。

 

インドネシアとパキスタンはコロナ禍の影響が長引き厳しい状況が続く

 

 日本の四輪車販売は28万2千台で同15・3%減の実績。内訳は、軽自動車が23万4千台で同14・1%減、登録車が4万7千台で同20・8%減だ。ただし、7~9月期では軽自動車14万6千台で同7・1%増、登録車3万台で同0・8%増とそれぞれプラスを達成した。

 

欧州は9万5千台で同36・3%減となった。インドを除くアジアは9万6千台で同40・3%減。うちインドネシア、タイ、フィリピン、ミャンマー、ベトナムのASEAN(東南アジア諸国連合)5か国での四輪車販売台数は5万4千台で同38・5%減の実績だ。
中でも、インドネシアとパキスタンは新型コロナの影響が長引いており、依然、同5割以上の落ち込みと厳しい状況が続いている。

 

 二輪車は生産台数が60万台で同32・1%減、販売台数が67万5千台で同23・2%減となった。
前回まで未定としていた通期業績見通しもインドや日本で回復に兆しが見えてきたことから公表した。売上高3兆円(前期比14%減)、営業利益1600億円(同25・6減)、当期純利益1100億円(同18・0%減)を見込んでいる。
通期の生産、販売計画も算定。四輪車は生産台数が252万9千台で前期比14・7%減、販売台数が237万8千台で同16・6%減を予想。

 

四輪車の地域別販売台数見通しは、日本が63万6千台で同5・4%減、欧州が22万1千台で同15・6%減、アジアが138万3千台で同20・6%減、その他が13万8千台で同21・2%減を見込んでいる。
二輪車は生産台数が135万6千台で同21・6%減、販売台数が147万8千台で同13・5減の計画となっている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。