NEXT MOBILITY

MENU

2021年3月31日【エネルギー】

トヨタ、ワクチン保冷輸送車で世界初となるWHOの認証取得

NEXT MOBILITY編集部

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

トヨタ ランドクルーザー78

 

 

豊田通商株式会社(以下「豊田通商」)は3月31日、トヨタ自動車、B Medical Systems(以下「B Medical」)と共に、3社が協業するワクチンを適切な温度で輸送するための保冷輸送車に対して、世界保健機関(以下「WHO」)が定める医療機材品質認証(以下「PQS」)を取得したと発表した。

 

認証登録会社は、豊田通商であり、ワクチン保冷輸送車でのPQS取得は世界初。なお、本件は、途上国における医療水準の向上への貢献が期待できるとして、厚生労働省の補助事業(WHO事前認証及び推奨の取得並びに途上国向けWHO推奨機器要覧掲載推進事業)の採択を受けている。

トヨタ自動車・ロゴ

ワクチン接種は、感染症予防に対して有効な手段の一つ。一般的な新生児用ワクチンは2~8℃での保管が必須といわれており、適切な温度管理の下でワクチンが保管されなければ使用することができない。途上国では、GAVIアライアンス(ワクチンと予防接種のための世界同盟)やUNICEF(国連児童基金)などの国際機関からワクチンの供給支援を受けられるものの、自国内の病院や診療所まで配送する際に、道路インフラが未整備であることに加え、適切な保冷輸送手段が無いために、輸送中の温度変化が原因でワクチン供給量の約2割(400億円相当)が毎年廃棄されている。そのことも原因の一つとなり、ワクチンで予防可能な感染症により、毎年150万人の子どもの命が奪われている。

 

WHO医療機材品質認証(PQS)は、国連の医療機材の調達において対象機材の開発を推進し、かつ品質水準を設けるべく定められた、WHO認可による医療機材の認証制度。PQSを取得した医療機材は、国連関係機関をはじめ、大手NGOや慈善団体の機材選定基準にもなる。これらの団体が自国で医療機材の認証制度がない途上国に対しても、PQSを認証基準とすることで輸送機材提供の支援がしやすくなり、ワクチンの有効利用の改善が期待される。

 

この取り組みは、ワクチン有効利用という途上国における社会課題解決への貢献とともに、新型コロナウイルス感染症用ワクチンを途上国へ公平分配する国際的枠組みであるCOVAXにおいても、PQS取得によりこのワクチン保冷輸送車が使用可能となり、新型コロナウイルス感染症用ワクチンの輸送手段としての活用も期待することができる。

 

 

ワクチン専用冷蔵庫 CF850

 

 

■ワクチン保冷輸送車の概要
・車両はトヨタ ランドクルーザー78を使用し、積載するワクチン専用冷蔵庫は、B Medical CF850を使用
・冷蔵庫容量は396L=ワクチンパッケージ400個分の容量
・冷蔵庫は独立のバッテリーにより電源無しで約16時間稼働
・冷蔵庫は走行中は車両から充電し、駐車中は外部電源から充電可能

 

■各社の役割
– 豊田通商:アフリカにおける事業で培った知見と課題認識力を生かし、PQS認証取得会社としてワクチン保冷輸送車を提供。
– トヨタ自動車:トヨタ ランドクルーザー78の車両を提供。
– B Medical Systems:ワクチン専用冷蔵庫 CF850を提供。
CFAO SAS(豊田通商グループ)・トヨタカスタマイジング&ディベロップメント(トヨタ自動車グループ):ワクチン保冷輸送車の架装を実施。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。