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2024年2月7日【ESG】

トヨタ、ケンタッキー州に13億ドル(約1,900億円)を投資

坂上 賢治

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当地で電動車の生産体制を整えるべく新たに13億ドル(約1,900億円)を投資

 

北米トヨタは2月6日、3列シートを備えた北米市場向けピュア電動SUVの生産を2025年から開始する準備を整えるべく、ケンタッキー州ジョージタウンのトヨタ・モーター・マニュファクチャリング・ケンタッキー(TMMK)への投資を13億ドル(約1,900億円)増額する。( 坂上 賢治 )

 

この追加投資には、当該車両以外に生産計画を敷く新たなバッテリー駆動モデルのバッテリーパック組み立てラインを設置するための資金も含まれている。

 

またこれら組立対象のバッテリーパックのセルは、トヨタが別途21億ドルの追加投資を行う予定のノースカロライナ州の工場(トヨタバッテリーマニュファクチャリングノースカロライナ/TBMNC)から供給される。

 

上記も含めて北米トヨタは、2026年までにグローバル市場へ10車種のBEVモデルを投入するべく、年間150万台規模の車両販売目標を掲げており、これらに係る投資計画も加えると、北米エリアに投下する総投資額は100億ドル近くに到達するとした。

 

なお、そうした投資は、北米でEVを一貫生産する体制を整備する狙いと共に、当地での長期的な雇用安定を目指すトヨタの姿勢を示すものだともした。

 

今回のトヨタの発表は、我々を更なる未来へと導くものとなった

 

こうした北米トヨタの発表を受けて、ケンタッキー州のアンディ・ベシア知事(民主党)は、「もはやトヨタを抜きにしてブルーグラス地域とスコット郡を考えることはできない。

 

実際、トヨタは長年に亘ってケンタッキー州の自動車産業に不可欠な存在だったが、今回のトヨタの発表は、我々を更なる未来へと導くものとなった。

 

 

1986年以来、ケンタッキーは同社の北米事業の中心地となっており、今回の追加投資は、この先ケンタッキー州が、引き続きEV生産の中心地であることを、より確かなものにしてくれる素晴らしいニュースでもある。

 

今後も彼らが当地への投資を続け、市民に質の高い仕事をもたらし続けてくれることに心から感謝する。また併せて今回のケンタッキー州への13億ドルの追加投資にも感謝したい」と述べた。

 

トヨタは当地のチームメンバーに対して誠実であり続けることを誓う

 

一方でノースカロライナ州のロイ・クーパー知事(民主党)は、「トヨタによる総額60億ドルもの投資は本当に素晴らしいニュースで、これは今後もノースカロライナ州がクリーンエネルギー経済のリーダーであることを証明するものとなる。

 

トヨタは自社の将来の成功を目指す仲間として、我々を信頼し続けてくれており、今回の多大なコミットメントについても有り難く思う」と語った。

 

こうしたコメントを受けてトヨタ・ケンタッキーのケリー・クリーチ社長は、「本日の発表は、車両電動化に向けて米国へ更なる再投資を行うという当社の事業意欲を形として表したものとなっています。

 

私たちは当地のチームメンバーに対して、企業として誠実であり続けること誓い、今後、何世代にもわたって従業員を第一に考えつつ、更なる未来を目指し続けていきます。

 

またトヨタは当地への感謝の印として、主に教育を介した新たな労働力の創造に焦点を当て、当地に於ける事業投資に取り組んでいます。

 

その結果、我々が約40年前にケンタッキー州に本拠地を置いて以来、1億5,400万ドルを超える地元の皆様からの寄付が、このブルーグラス地域に良い影響をもたらし続けていることは、とても嬉しいことです。また、それが当社の将来に向けた我々の投資基盤の強化に役立っています」と話す。

 

 

確かな計画を敷き、北米の全事業をカーボンニュートラル化していく

 

そうした地域への良い影響についてトヨタ・ケンタッキーのグループリーダー、クリス・コヘリア氏は、「トヨタが行う全ての投資は、従業員達に真摯に向き合う気持ちを表しています。

 

私は26年前にチームメンバーとしてこの会社に入社しました。仕事の安定性、競争力のある給与、成長の機会、それらの全てが、私がここで働く理由です。また今回、北米に於いてトヨタ初のピュアBEV製造チームの一員になれることについても、期待で胸を膨らませています」とコメントした。

 

最後に、トヨタの北米統括会社トヨタ・モーター・ノース・アメリカ(TMNA)の小川哲男社長兼最高経営責任者(CEO)は、「カーボンニュートラルの実現に向け、できる限り早く、できる限り多くの二酸化炭素(CO2)排出量を削減することを目指しています。

 

当社は昨年5月24日、再生可能エネルギー会社サビオンと、ケンタッキー州マーティン郡の太陽光発電施設から電力を購入することで合意しました。それは2035年までに、北米の全事業をカーボンニュートラルにするという当社の計画に沿うものです。

 

トヨタは2021年以降、当地域の電動化への取り組みを推し進めるべく、米国の製造事業に総額170億ドルの新たな投資を発表しています。こうした北米地域でのBEV製造規模の拡大を介して私達は、米国での電動化に対する取り組みを着実に拡大させていきます」と結んでいる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。