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2019年10月10日【テクノロジー】

トヨタ自動車、MIRAIコンセプトをメガウェブで公開

松下次男

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 トヨタ自動車は、2020年末に市販する燃料電池自動車(FCV)の次期「ミライ(MIRAI )」のコンセプトモデルを10月24日からの東京モーターショー開催期間中、メガウェブ会場のFUTURE EXPO(フューチャー・エクスポ)で初公開する。(佃モビリティ総研・松下 次男)

 

次期FCVの「ミライ・コンセプト」を東京モーターショー期間中公開

 

「ミライ・コンセプト」で、次期モデルはエモーショナルなスタイリングを追求するとともに、FCシステムを一新し、航続距離を現行モデルに比べ約30%延長した。第2世代となる次期ミライの市販モデルは日本、北米、欧州などで順次、発売する予定だ。

 

 次期モデルのミライ・コンセプトは、現行モデルに比べてホイールベースを140ミリメートル、全長を85ミリメートルそれぞれ拡大。車高は65ミリメートル低く、エコカーの枠を超えた走りを予感させるダイナミックなデザインを採り入れた。車体の主な諸元は全長が4975ミリメートル、全幅1885ミリメートル、全高1470ミリメートル、ホイールベースが2920ミリメートル。乗車定員も現行の4人から5人へと増やした。

 

 

 デザインでは、TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)プラットフォームの採用により、低重心で伸びやかなプロポーションを実現。また、20インチの大径タイヤを搭載し、ダイナミックさ、軽快感を持たせる。インストルメントパネルには12・3インチのワイドモニターを取り込んだセンタークラスターにより、「運転する楽しさ」「先進もくつろぎ感」を併せ持つシンプルで、モダンな空間を追求したという。次期モデルは普及期にむけ、より「日常に溶け込めるデザイン性」を打ち出す。

 

 

量産性を進化させた新FC搭載で2020年末発売。航続距離30%延長

 

FCシステムもゼロベースから全面的に見直し、水素搭載量を拡大したほか、量産のしやすさを追求。これにより部品レベルから製造コストを大幅に引き下げ、購入しやすい車両価格へ反映させる方針だ。現行モデルでは、発売当初、購入まで1年以上必要としたユーザーが少なくなかったが、次期モデルではこのような「長期間の納期待ち」を解消する。

 

 次期FCVの開発に当たってトヨタは2013年から独BMW(ビーエムダブリュー)とパワートレインの共同開発を進めており、BMWも今年のフランクフルトショーでFCVの最新コンセプトカーを披露した。トヨタ、BMWの次期FCVコンセプトの双方に共同開発が生かされている。また、前後して発売することでFCV普及への相乗効果が期待される。

 

 

 FCVの燃料となる水素は、様々な物質から生成でき、液体にして移動することも可能だ。また、航続距離が長く、燃料充填時間も数分で完了するなど取り扱いが簡単。再生可能エネルギーを活用すれば、ウエル・ツー・ホイールでCO2(二酸化炭素)排出量がゼロとなる。普及のカギとなるインフラ面をみても、水素ステーションの設置数が徐々に拡大しつつある。次世代車の本命の一つとして、量産型のFCVを投入することにより、本格的な普及期へ向け弾みをつけることを目指す。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。