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2019年11月7日【カーリース】

トヨタの2020年3月期第2四半期円決決算、増収増益

間宮 潔

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トヨタ自動車・東京本社で11月7日開かれた決算説明会

トヨタ自動車・東京本社で11月7日開かれた決算説明会

 

 トヨタ自動車は11月7日、東京・水道橋の東京本社で2020年3月期第2四半期(2019年4~9月)の連結決算(米国会計基準)説明会を開催、売上高が前年同期比4.2%増の15兆2855億円、営業利益が同11.3%増の1兆4043億円、当期純利益が同2.6%増の1兆2749億円と「増収増益」になった発表した。中間決算で過去最高の売上高、当期純利益を上げた。昨年から投入したRAV4やカローラなどの新型車が日本だけでなく、北米、欧州などで好調な売れ行きを見せたからだ。(佃モビリティ総研・間宮潔)

 

年次決算時に「トヨタは大丈夫というのが一番危ない」と豊田社長が発言したことに触れる

 

 決算説明会に臨んだ河合満副社長は「ベター、ベターの精神で取り組んできたことが、多くのお客様にトヨタの車を選んでもらえた。形になって表れた」と指摘、「少しは、我々が継続的に体質強化に取り組んだ成果が表れたと思う」と評価する一方、豊田社長が年次決算時に「トヨタは大丈夫というのが一番危ない」と発言したことに触れ、「大変革時代に立ち向かうために、危機感を共有し、価値観を向上させ、未来に向かってプロ集団をつくることが大変重要である」と指摘、改めて現場主義、徹底した原価改善に取り組む姿勢を強調した。決算の詳細は同席した近健太執行役員が説明した。

 

質問に答える河合副社長(右)と今執行役員

質問に答える河合副社長(右)と今執行役員

 

 上期の連結販売台数は前年に比べ22万台多い463万9000台(前年同期比5%増)となった。日本では114万台(同10.6%増)、北米では144万6000台(同2.5%増)、欧州では52万4000台(同6.3%増)、アジアでは82万9000台(同2.2%増)、その他市場では70万台(同4%増)と増えた。グループ総販売台数(小売りベース)も同3%増の545万4000台となった。

 

ただ市場別営業利益をみると、日本が8278億円(前年実績に比べ761億円増)、北米が2226億円(同853億円増)、欧州が706億円(同87億円増)と共に増益を図ったが、アジアでは2307億円(同455億円減)、その他市場で473億円(同165億円減)となった。とくに中国事業は小売り台数が77万台と前年比12.2%増と好調だったにもかかわらず、営業利益は同13.5%減の785億円に低下し、元安による影響が大きかった。

 

執行役員、近健太氏

執行役員、近健太氏

 

減益を原価改善や営業面の努力などでカバーし、前期実績を1425億円上回る

 

 営業利益の増減要因では、為替変動による減益要素を900億円とした。輸出入に伴う為替差損は対ドルで400億円、対ユーロで300億円、その他通貨で900億円と合計1600億円、また海外子会社の営業利益換算差で200億円の減益としたが、これを外貨建て引き当てなどにより圧縮した。他の減益要因には労務費の増加、研究開発費などを挙げ、1200億円の減益としたが、これを原価改善や営業面の努力などでカバーすることができ、前期実績を1425億円上回る1兆4043億円を計上した。

 

通期業績見通しは税引き前利益で増額としたほか、売上高29兆5000億円(前年実績比2.4%減)、営業利益2兆4000億円(同2.7%減)、当期純利益2兆1500億円(同14.2%増)とそれぞれ据え置いた。ただ前回見通しに比べ、営業利益は為替変動による減益影響が3500億円から3800億円に膨らむ見通しで、加えて労務費など諸経費も300億円増える見込みため、これらを原価改善や営業努力でカバーする方針だ。

 

 なお通期の連結販売台数は、期初に比べ、5万台少ない895万台(前期比0.3%減)に下方修正した。日本は期初に比べ3万台多い224万台(同1.4%増)としたが、北米は269万台(同2%減)、欧州も103万台(同3.6%増)と期初見通しに据え置いた。アジアは163万台(同3.2%減)で期初に比べ10万台下方修正した。その他市場は136万台(同2.5%増)で2万台上積んだ。

 

 

「大変革時代の人づくり」で河合満副社長がスピーチ
現場たたき上げの副社長として2017年4月に就任し、今年4月から総務・人事本部長に就いた河合満副社長(71)は決算説明会で、「大変革時代の人づくり」でスピーチ、現在の取り組みを以下のように語った。

 

河合副社長

河合副社長

 

生産現場は毎日、何が起こるか分からない。設備故障や部品の欠品など、まさに現場は生きている。即断即決、時には人海戦術でバックアップしてきた。トヨタは問題が起きると、まずラインを止める。問題を顕在化し、原因を追究し、再発防止に努め、カイゼンを繰り返していきている。今日のベストは明日のベストではない。毎日進化して欲しいと訴えてきた。次に新しい大きな波がきても、このカイゼンの精神がそれに順応できる体力となる。

 

現場は生産性、原価目標といった分かりやすい指標がある。カイゼンが即結果に表れるのに対して、事務系や技術系の職場では業務の細分化で自分たちの仕事の成果が見えづらい。カイゼンを日々、繰り返す風土が薄いのが現状だ。

 

 

今春から「創意くふう」の呼び名で、業務改善を提案する制度を再徹底している。労使交渉の場でも協力を要請しているが、部下だけでなく、上司の役割が大切だ。例えば、部下が6時間の工数低減を図ったら、これを上司は付加価値をどれだけ、つなげられるか。多くのカイゼンの積み重ね、これを改革につなげ、会社に貢献していくことが上司の役割だ。

 

生産はここ数年1000万台レベルで安定しているが、将来のために開発費を捻出するには徹底した原価低減をやり続ける覚悟だ。CASEの時代、トヨタはアライアンスを発表、競争力を高め、戦っていこうとしている。やはり大事なのは人です。東京モーターショーで豊田社長はキーワードをヒューマンとしたが、現場を預かるおやじとしてよくわかる。会社と会社が一緒になったら強くなるわけでなく、人と人が助け合い、一体感を持ってやるから強くなる。

 

 

昨年、グループ14社で「オールトヨタおやじの会」くぉつくり、電話一本で助け合える関係を作った。保全要員の育成など共通課題を話し合い、自然災害への対応、設備の復旧などの場面でも生きてくると思う。

 

アライアンスの時代、それぞれの企業文化の中で、異なる仕事のやり方をしてきた人たちが率直に意見を交わし、何ができるかを探っていく。そのためには一人ひとりがプロ人材にならないといけない。即断即決できる専門性、メンバーを束ね、即実行できる人間力を兼ね備えたプロ人材が必要だ。

 

 

「自ら考え、行動できる人財」「新分野に自ら挑戦し、やり切る、タフな人財」「職位はゴールではない、成長し続ける人財」を育成するため、拡大期にできた教育、人事制度を大きく見直していきたい。この変革期に、3割近い幹部職、基幹職、組合員が変わり切れていない人がいるのが実態だ。
年齢や資格に関係なく、頑張っている人を正しく評価できる「おてんとう人事」を進める。常に目指す人(先輩)を超える努力をし、自分を超える後輩を育てる風土を作っていきたい。

 

だからこそ、今のトヨタに現場主義を取り戻したいと考えている。大変革期を生き抜くためには、もう一度、創業期に立ち返り、全員が変化に立ち向かうプロになる必要がある。社員手帳を新たに配布したのも、豊田綱領やTPS、原価低減を従業員一人ひとりが深く理解し、業務に遂行して欲しいからだ。
どのような時代になっても、モノづくりにお中心は「人」です。トヨタが持続的に成長してくため、人財育成に全力で取り組んでいきたい。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域の取材活動を経て同社出版局へ。コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に環境&リサイクル紙、車両ケア&整備ビジネス専門誌等の創刊誌編集長を歴任。独立後は一般誌、Web媒体上でジャーナリスト活動を重ね30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。