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2017年12月27日【オピニオン】

米調査組織KPMG、自動運転車の普及で13年後のセダン車販売は激減すると示唆

坂上 賢治

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これについて先のゲイリー・シルバーグ(Gary Silberg)氏は、「これは、今日の自動車メーカーにとって極めて複雑な問題を生じさせます。

なぜなら、自動車の開発において、従来の車種区分の方法論のみによって市場を区分化する手法では、すべてのユーザーのニーズを満たすことはできないからです。

百を超えるアイランドから得られる数十億にも上る個々の移動データの中から、適切な製品ポートフォリオを特定することのできる自動車メーカーだけが、将来、市場で成功を収めることになるでしょう」と畳み掛けている。

こうした調査により浮き彫りになった169のアイランド市場と、完全自動運転車並びに新たなモビリティサービス(MaaS: Mobility-as-a-Service)の誕生は、自動車市場の様相を一変させ、セダンを好んでいた層を中心に、自動車を所有したいという消費者の願望を低下させる。

この消費行動の変化をKPMG米国のインダストリアル・マニファクチャリング部門の戦略リーダーを務めるトム・メイヤー(Tom Mayor)氏は、「自家用セダンの所有意識の低下は、自動車メーカーが予想した以上に深刻な破壊を市場にもたらすことでしょう。

結果、複数の自動車メーカーが将来工場を閉鎖し、セダンの生産から撤退する可能性は極めて高いと考えられます。

 

 

自家用車を所有しない新たな消費者ニーズに応えるクルマが必要

こうした大規模な変化の結果、現在、米国市場に年間80万台以上のセダンを供給している自動車メーカー10社が、将来3~4社にまで減少すると我々は予測しています。

自動車産業のプロフィットプール(市場全体の利益の総和)は変化の過程にあります。

この変化に対して自動車メーカーにとっての好材料は、1兆ドル規模の新たな市場がモビリティを中心として生まれつつあるということです。

この潜在的な市場へのドアを開ける鍵は、アイランドごとの消費者のニーズを個々の移動ごとにより深く理解し、複数のアイランドにわたってデータを集計して規模の経済を見出すことです。

その上で自家用車を所有せず、配車サービスなどを移動手段として利用する消費者の移動ニーズに応える、新しいクラスの自動車を開発することに掛かっています」と結んでいる。

 

 

KPMGは、独立した別の組織として活動する国際団体

ちなみにこの調査を行ったKPMGは、監査、税務、アドバイザリーサービスを提供する国際組織である。

世界154ヵ国のメンバーファームに197,263名のプロフェッショナルを擁し、サービスを提供しているが、KPMGネットワークに属する独立した個々のメンバーファームは、スイスの組織体であるKPMG International Cooperative(“KPMG International”)に加盟している。

つまりKPMGの各メンバーファームは、法律上独立した別の組織体としてそれぞれの地域で活動している。

これに倣い日本のKPMGジャパンは、KPMGインターナショナルの日本におけるメンバーファームの総称として活動している。

その内容は、監査、税務、アドバイザリーの3つの分野にわたる7つのプロフェッショナルファームによって構成されている。

そうした日本におけるメンバーファームは以下の通りとなっている。有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人、KPMGコンサルティング株式会社、株式会社KPMG FAS、KPMGあずさサステナビリティ株式会社、KPMGヘルスケアジャパン株式会社、KPMG社会保険労務士法人。( MOTOR CARS  より転載 )

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。