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2018年1月5日【テクノロジー】

米Toyota Research Institute、次世代の自動運転実験車をCESで公開

NEXT MOBILITY編集部

 

トヨタ自動車の子会社で、米国で人工知能等の研究開発を行うToyota Research Institute, Inc.(TRI)は、次世代の自動運転実験車「Platform 3.0」を、CESに出展する。

 

Lexus LS600hLをベースとしたこの自動運転実験車は、1月9日火曜日から、ラスベガスコンベンションセンター北館で始まるCESの開幕に合わせ、トヨタのCESブースで展示される予定だ。

 

 

TRIは、新しい自動運転実験車の開発に当たり、以下にあげる3つの主要なテーマを掲げている。

 

1) 外部認識能力を向上させ、数ある自動運転車両の中でも業界をリードする性能を持つこと。

 

2) センサー類をクルマのデザインと調和させ、スマートで美しい外観とすること。

 

3) 自動運転技術に関する装備類を一体のパッケージとしてまとめ、複数の実験車を容易に製作できるようにすること。

 

 

 

1)外部認識技術

 

「Platform 3.0」では、テストを通じて自動運転技術の装備をコンパクトにパッケージ化し、センサーの設定をより明確化。車両周囲の認識能力を大幅に引き上げることにより、自動運転のパフォーマンスレベルを引き上げたと云う。

 

具体的には、米Luminar社製の200mの監視が可能なLIDAR(*)システムにより、従来のTRI実験車で前方のみの認識だったものを、外周360度の認識を可能な仕様とした。4つの高解像度LIDARにより、非常に見にくい、暗い色の物体を含めて、車両の周囲の物体を正確な検知が可能になった。

 

また、短距離LIDARを車両の下部(フロントフェンダーの両側、また前後バンパーの四隅)の全周に配置。これらLIDARにより、小さな子供や道路上の障害物など、低く小さい対象(物)を検知することを可能とした。

 

この新しい実験車では、将来画期的な技術が導入可能になった際に取り込むことが出来るよう、フレキシブルな設計としている。

 

 

2)デザイン

 

TRIはミシガン州アナーバーのCALTY Design Research(CALTY)のメンバーとToyota Motor North America Research & Development(TMNA R&D)のエンジニアのノウハウを取り入れ、センサーやカメラ類をコンパクトにまとめ、外観からは見えないようにした。

 

また、新たに耐候性・耐温性のあるルーフトップカバーを製作し、サンルーフの収納部分のスペースを使って、高さも最小にとどめた。

 

このようなデザインにより、ボルト止めの装置を見えないようにして、これまで自動運転実験車につきものであった、回転型のLIDARも、このカバー内に収納可能な部品に置き換えている。

 

また、従来トランクスペースのほとんどを占領していた自動運転実験車用コンポーネンツをコントロールするトランク内のコンピュータシステムも、小さくまとめられTRIロゴ付の小さなボックスに収納された。

 

 

3)実験車の製作

 

「Platform 3.0」の本格的な製作は、ミシガン州ヨークタウンシップに所在するTMNAの試作車開発センターで、2018年春からLexus LS(旧型モデル)をベースに開始。機構のアップデートをよりすばやく実施できるフレキシビリティを重視し、製作台数は少数にとどめられ、ペースの速い開発を続けていく予定だと云う。

 

また、新型実験車の一部は、昨年夏、TRIが公表した、「デュアルコックピット・コントロール・レイアウト」(左右席双方にハンドルがある実験車)として製作。

 

このタイプの車両はTRIの「ガーディアン」モード(高度安全運転支援)に基づき、実際のテストドライバーと、バックアップ用の「安全なドライバー」として控える自動運転システムの間の移行を効率的に行う方法について、テストするためのものだ。

 

一方、CESに展示するシングルコクピットの車両は、「ショーファー」モード(自動運転)についてテストを行う車両となる。

 

なお、ガーディアン、ショーファー、双方の実験車ともに、センサー・カメラ・ソフトウェアなどは同じテクノロジーが採用されている。

 

*LIDAR(ライダー) LIght Detection And Rangingの頭文字を取ったもので、レーザー光線を用いて、周辺環境の立体的な様子を捉える技術、または機器。

 

 

CES 2018(英語オフィシャルサイト):https://www.ces.tech/

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松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。