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2019年11月15日【アフター市場】

ウサイン・ボルト、電動キックボードで再び世界に挑む

山田清志

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「世界最速の男」ウサイン・ボルトが電動キックボードで日本市場に殴り込み

 

 100メートルの世界記録保持者のウサイン・ボルト氏が出資・創設者の一人である米ボルト・モビリティは10月15日、超小型モビリティに関する日本での事業展開について会見を行った。米国やフランスに続き、日本でも電動キックボードのシェアリングサービスを計画しており、まずは2020年までに大学構内など私有地を中心に約40カ所での展開を目指すという。(経済ジャーナリスト・山田清志)

 

「ボルト チャリオ」(左)と「ボルト ワン」

「ボルト チャリオ」(左)と「ボルト ワン」

 

「私が最初のデザインから関わった」

 

「全部が魅力。私は最初のデザインから関わっていて、人の目に入る最初の色といわれる黄色を採用し、しっかりとしていて安定しており、バッテリーの交換も可能。それに加えて、カップホルダーや充電用のポートも付いていて、荷物を載せるスペースもある。また、両側に足を乗せるパネルがついているので、誰でも乗りやすい」

 

ボルト氏は電動キックボードについてこう紹介した。名前は「ボルト チャリオ」と「ボルト ワン」で、両方とも大きさやモーター出力(250W)、最高速度(24.1km/h)は同じで、最大傾斜15度の坂を登ることができる。

 

違うのは、ボディの形状、バッテリー、総重量、1充電当たりの走行距離。チャリオのほうがワンよりも少し大きく、チャリオが48Vバッテリー、ワンが36Vバッテリーを搭載し、それぞれ走行距離が55km、40kmとなっている。

 

ウサイン・ボルト氏と「ボルト チャリオ」

ウサイン・ボルト氏と「ボルト チャリオ」

 

ボルト・モビリティは現在、米国のフロリダ州、カリフォルニア州、バージニア州などの14カ所と、フランスのパリで電動キックボードを使ったモビリティサービスを展開している。

 

電動キックボードは欧米を中心に普及が加速しており、自動車よりも近距離をカバーする移動手段として注目されている。日本では、米国のライムが福岡で実証実験を始めるほか、ループ(本社・東京都渋谷区)やモビーライド(本社・福岡県福岡市)なども自治体と組んで実証実験に乗り出している。

 

ただ日本で公道を走るには、原動機付き自転車免許が必要で、ヘルメット着用が義務づけられている。また、ナンバープレートを取得し、ミラーやウインカーといった保安部品を装着しなければならない。しかし、私有地ならこれらのものは必要ないが、ヘルメットの着用が推奨されている。

 

ボルト モビリティ共同CEOで共同創設者のサラ・ヘインズ会長

ボルト モビリティ共同CEOで共同創設者のサラ・ヘインズ会長

 

第2弾は「ボルト ナノ」というEV

 

共同CEOで共同創設者のサラ・ヘインズ会長は「移動や街づくりで革命を起こしていくために新しいモビリティを投入することを思いついた。公共交通機関を降りた後のラストワンマイルの利便性を確保することと、乗り手の意思を可能な限り尊重できる自由な乗り物を実現したい」と電動キックボードを使ったサービスを始めた理由を話し、こう付け加えた。

 

「これからわれわれが新たな業界基準を確立し、クリーンで効率的な移動を提供しながら、社会のラストワンマイル問題を解消していく」

 

こんな思いに賛同して、ボルト氏は創設者のメンバーに加わったわけだ。「人々の移動を変えていくという、自分のモビリティビジネスにワクワクしている」とボルト氏。そして、2020年の発売を視野に「ボルト ナノ」という電気自動車(EV)の開発を進めていることを明らかにした。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。