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2024年5月11日【事業資源】

アルティリウム、バッテリーリサイクルの技術的進捗を報告

坂上 賢治

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英国でグリーンエネルギー技術に取り組むアルティリウム( Altilium )は5月10日( 英国イングランドデヴォン州プリマス発 )、車載蓄電池からのリチウムの回収とカソード活物質 (CAM) の製造を行う湿式冶金リサイクル技術「EcoCathode™の進捗過程について報告した。

 

それによるとアルティリウムは独自のプロセス技術を経て、LFPバッテリーから97%以上のリチウムを回収し、持続可能なバッテリーのリサイクルに向けた第一歩を踏み出した。このリチウムを高効率で回収する技術は、2030年段階で世界市場の40%以上を占めるLFPバッテリーのリサイクルを推し進めるための重要な鍵となる。

 

また併せて古い三元系正極材(ニッケル・マンガン・コバルト)のNMC111バッテリーから回収したリサイクルCAM(Cathode Active Material:カソード活物質)を、電気化学的性能試験と化学分析のためにインペリアル カレッジロンドンでのテスト用に納入した。

 

これらは自社が高度なNMC622高ニッケル化学物質を初生成した事例となり、原材料生成に係る炭素排出量の60%、コストを 20% 削減して、より効率的で環境に優しいバッテリーの製造に貢献するという。

 

 

イングランド北部ティーズサイドにあるアルティリウムの大規模リサイクル施設は、年間 150,000台のEVから出るバッテリー廃棄物を処理することで、国内の持続可能な電池原材料源を構築し、中国からの輸入材料への依存を減らし、英国の運輸部門の脱炭素化に貢献する。

 

アルティリウムでCOOを務めるクリスチャン・マーストン博士は、「我々は、バッテリー材料の国内サプライチェーンの構築を目指して取り組んでいます。そうしたなかで近年、正極材料としてリン酸鉄リチウムを使用するLFP電池は、ニッケルやコバルトなどの希少材料への依存を減らすことを目指す自動車OEMや電池メーカーの間で急速に人気が高まっています。

 

しかし鉄とリン酸塩はニッケルやコバルトよりも抽出時点での価値が低く、リサイクル過程に於ける経済性の確保が課題で、今後のLFPバッテリーの拡大はバッテリーリサイクル事業上の大きな障壁になっています。

 

そこで我々は、これに対処するべく新しいCAMの製造過程で再利用できるリチウムをより多く取り出してバランスを取るべく、リサイクル効率80%の目標を掲げて取り組んでいます。

 

また当社は、グラファイトをリサイクルして新しいアノードの製造に再利用することもできるため、今後拡大するであろうLFPバッテリーからの原材料回収に係る稼働コストとの相殺に挑戦しています。

 

ちなみに英コベントリー・ウォリック大学内にある非営利の資金提供団体Advanced Propulsion Centre(APC/先端推進システム技術センター)によると、英国のバッテリー需要は 2030年までに年間91GWh に達し、年間120万台のEVの生産を支えるようになると予測されています。

 

そのためにはバッテリー廃棄物の黒い塊からCAMを生成し素材の価値が倍増させる必要があります。しかし現段階に於いて英国内から生まれる黒塊は、加工のためにアジアに輸出され、それは重要な資源の損失に繫がっているのが現状です。

 

そうしたなか当社のティーサイドリサイクル工場は、年間30,000トンのCAMを生産でき、これは2030年までに英国で予測される需要のほぼ(年間163KTのCAMの)20%を満たす量となります。我々は今後も、中国からの輸入資材への依存を減らし、英国の運輸部門の脱炭素化を支援していきます」と話している。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。