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2023年6月13日【企業・経営】

アウディ、サステナビリティプロジェクトアワードを獲得

坂上 賢治

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アウディのガラスリサイクルを目指す「GlassLoop」プロジェクトは、同施策を共に進めるパートナー企業のReiling Glas Recycling、Saint-Gobain Glass、Saint-Gobain Sekuritと協力。リサイクルされた素材の生産車両への反映を目指して来た。

 

彼らは約1年を掛けて、ダメージを受けた使用済み自動車用ガラスから新しいフロントガラスを製造する方法を模索。その結果、遂に同プロセスを本格稼働させる準備を整えた。

 

 

ちなみに、このガラスのリサイクルプロセスは、まず最初に車両に組み込まれたウインドウを小さな破片に粉砕することから始まる。その後、接着剤の残留物などガラス以外の素材を全除去。そして綺麗になったガラス顆粒を溶解して新たな自動車用板ガラスの製造プロセスへ投入し再商品化を実現させる。

 

この方法で製造されたガラス製品で、リサイクル材の二次含有量は最大30%。同プロセスで生産されたフロントガラスは、来たる2023年9月からAudi Q4 e-tronに使用される。

 

 

アウディのサプライチェーンでサーキュラーエコノミーのプロジェクトマネージャーを務めるフィリップ・エーダー氏は「修理出来なくなった車両のウインドウを、再び生産に適した状態に加工することで、自動車生産に係る必要な原材料の量が削減されて、特に今回の場合、ウインドウ素材はダウンサイクルを回避することが出来ます。その結果、石英砂などの主要な素材の採掘量を減らすことになるのです」と話している。

 

なお同プログラムを実施する目的は、自社のサプライチェーンが人々と環境に可能な限り負荷を与えないようにするためだ。その結果、アウディは他のパートナー企業と共に「リサイクルコンセプト」部門でドイツのサステナビリティ・プロジェクト・アワードを獲得している。

 

 

同賞は、Deutsches Institut für Service-Qualität(ドイツ サービス品質研究所)、ntvニュース ネットワーク、およびブリギッテ ツィプリース(ドイツの元経済エネルギー相)が支援している『DUP UNTERNEHMER』誌によって授与されるもの。

 

しかしアウディは今後も、更なる素材リサイクルの確立を目指している。アウディAGのマルクス・ドゥスマン最高経営責任者は「私たちの目標は、出来るだけ多くの素材を高品質な状態でリサイクルし生産過程で再利用することです。これにより貴重な一次素材が節約され、製品が環境に与える負荷を軽減することが出来ます。

 

循環型経済の目標は、素材の品質とグレードを可能な限り長く維持することです。これは素材を自動車産業内で再び使用できるようにして、品質要件の低い用途に使われることを避けるためにも重要です。

 

こうした取り組みはアウディが注目している分野の1つであり、ライフサイクルを終えた車両からの回収素材が、その第一歩です。その目的はリサイクルプロセスによる素材の品質低下、つまりダウンサイクルを可能な限り減らすことにあります」と結んでいる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。