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2023年4月27日【企業・経営】

独ボッシュ、米TSIセミコンダクターズを買収へ

坂上 賢治

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独ロバート・ボッシュGmbHは現地時間の4月26日、米カリフォルニア州ローズビルに本拠を置くチップメーカーTSIセミコンダクターズ( TSI Semiconductors )の資産を取得する方針を発表した。( 坂上 賢治 )

 

 

この買収によりボッシュは、EV市場の拡大が必至の重要市場に於いてSiCチップの製造能力を確立させると同時に、世界規模での半導体製造事業拡大を視野に据えたことになる。

 

なおボッシュは同投資に関し、規制当局からの承認条件として取引の財務上の詳細を開示しないことに合意している。

 

 

今回の買収先であるTSIセミコンダクターズは250人の従業員を擁し、特定用途向け集積回路 (ASIC) の開発・製造を手掛ける当地の受託製造ファウンドリーだ。

 

TSIセミコンダクターズは現在、主にモビリティ、テレコミュニケーション、エネルギー、ライフサイエンス業界向けの200ミリ シリコンウエハーを開発・製造しており、他方で炭化ケイ素チップの開発事業を拡大している。

 

ボッシュは今買収に伴い、今後数年間で米ローズビルのTSIセミコンダクターズの拠点に15億米ドル以上を投資し、最先端の製造施設へと刷新していく構え。これにより来たる2026年からシリコンカーバイド (SiC) をベースにした200ミリウェーハの製造を開始する意向という。

 

 

同買収と一連の投資施策について、ボッシュ取締役会会長のステファン ハルトゥング博士は、「このTSIセミコンダクターズの買収により、ボッシュの国際的な半導体製造ネットワークを強化し、我々グループは、新しい製造能力を獲得することになります。

 

このローズビルの拠点は1984年から稼働しており、40年近くに亘って半導体製造に係る専門知識を蓄積して来ました。この専門知識をボッシュの半導体製造ネットワークに統合する予定です。

 

そんなローズビルでは今後、EV用のSiC チップをより大規模に製造出来るようになります。より具体的には来たる2026 年から、最初のSiC チップ製造の原資となる200ミリウエハーを製造します。

 

翻ると、そもそもボッシュは、早い段階でSiC チップの開発と生産に投資して来ました。2021年以降は、独自開発為た半導体製造プロセスを用いて、シュトゥットガルト近くのロイトリンゲン拠点で半導体チップを大量生産していますが、将来的にはこのロイトリンゲンでも200ミリウェーハを製造する予定です。

 

そのために2025 年末までにロイトリンゲンのクリーンルームスペースを約35,000 平方メートルから44,000平方メートル以上に拡張します。

 

SiCチップはEVにとって最重要コンポーネントであり、当社はこの取り組みを拡大させることで、各国ででのプレゼンスを強化していきます」と述べた。

 

 

またボッシュ取締役会役員でモビリティ・ソリューション・ビジネス セクターの会長を務めるマルクス・ハイン博士は、「私たちは、半導体の幅広い専門知識を持つTSIセミコンダクターズが当社グループに加わることを嬉しく思います。

 

今日、自動車産業向けチップの需要は依然として高いままです。ボッシュは、2025 年までに、すべての新車に平均25個のチップが組み込まれると予想しています。

 

これに伴いSiCチップ市場も急成長しており、その速度は年平均30%のペースで成長しています。この成長の主な原動力は、世界的なEV需要の拡大にあります。

 

SiCチップは最大50%少ないエネルギーで稼働するため、EVの航続距離延長と充電プロセスの効率化を推し進め、当該車両は1回のバッテリー充電で6%長い距離を走行できます」と語っている。

 

 

一方、TSIセミコンダクターズのオデッド・タルCEOは、「この投資施策より我々は、重要な国際市場でSiCチップの製造能力拡大を果たす共に、EV用のSiCチップ製造を伸張させることで、半導体製造に於いて国際戦略を大きく拡大していくことになります」と結んでいる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。