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2023年8月29日【事業資源】

大手&新興4社、〝レンタル移籍〟を使い事業革新を目指す

坂上 賢治

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ENEOS第一生命保険の2社は8月25日、既存組織に在籍しつつ期間を定めて他社で働く〝レンタル移籍〟の仕組みを通じて、4月から新興企業のパスファインダー社へ、大手双方の社員各1名を移籍させる取り組みを始動させていることを明らかにした。( 坂上 賢治 )

 

この〝レンタル移籍〟とは、そもそも、もうひとつの新興ローンディール社が発案し、ENEOSと第一生命保険に対して、パスファインダー社への人材の一時的な移籍を働き掛けたもの。

 

その核心はコーンディール社によると、国内を支える大手企業のトップ人材を、異なる(新興企業の)企業文化の下に置くことで、外部環境の変化に適応できる次世代リーダーを逸早く育成させることが目的だという。

またパスファインダー社は、持ち前の柔軟な発想力で、レンタカー事業に於ける最適配置プラットフォームを大手企業へ提供する企業だ。

 

今回、ENEOSと第一生命保険の両人材が、パスファインダー社内で得た知見によって新たな発想と異次元のスピード感を生み出す原動力を獲得。それがENEOS・第一生命保険双方の新規事業の創出に貢献することに大手2社は期待を寄せている。

 

実際、この試みを推し進めたことについてENEOSと第一生命では、「ENEOSは、脱炭素・循環型社会への移行やデジタル革命の進展。人々のライフスタイルの変化などを受け、社会ニーズを的確に捉えた革新事業の創出や、新たな価値創造を模索している最中であるとした。

 

対して第一生命でも、従来からの顧客との対面を介したコミュニケーションに加えて、デジタル技術を活用したサービスの拡充に取り組んでおり、このような事業創出を担う人材育成と環境整備を、今後、取り組んでいくべき課題として捉えていた。

 

従って両社は、MaaS社会のインフラである〝最適配置プラットフォーム〟を作るパスファインダー社からの知見を取り入れることで、新たな事業を加速させていきたい考えだ。

 

そこで4社で、今回ローンディール社が提案した人材の〝レンタル移籍〟を検討し、人材育成と事業加速の双方を素早く推し進めることができる試みとして本格的に乗り出すことにした。

 

一方、人材を受け入れた側のパスファインダー社では、レンタル移籍した2名に対し、異業種での経験を通じて0から1を生み出す創造力、スピード感、そして積極的に社外と連携する突破力を身に付けて貰う機会を提供。加えて自社が取り組むレンタカー事業についても、双方の利益となるべく、事業拡大への道筋を敷いていきたい」と述べている。

 

左から(敬称略)、松村(第一生命)、坂見(取締役)、小野崎(代表取締役)、横井(ENEOS)

 

なお今回のレンタル移籍者と、移籍受入れ担当者のコメントは以下の通り

 

 

横井 大輔氏(ENEOS和歌山製油所 工務部門 設備検査グループより出向)、「移籍を通じて完全自動運転社会に於けるモビリティの最適配置と稼働率の向上の実現を目指しています。

 

より具体的には、緻密に組まれたビジネスモデルの構造と実現させたい未来に惹かれ、この度パスファインダー社に参画させて頂くことになりました。

 

大企業とは異なる企業文化や組織構造、そして何より圧倒的なスピード感を肌で感じながら、事業拡大に貢献したいと思います。」

 

 

松村 光一朗氏(第一生命 人事部より出向)、「自身の知識や経験をアップデートしたいと思い、レンタル移籍に応募をしました。

 

具体的には、シード期かつ異業種の中から移籍先候補を探し、パスファインダー社が掲げるMVVや、ユニークなサービス、メンバーに魅力を感じ、この度参画させて頂くこととなります。

 

スタートアップの環境下で、自身の力が試されるマーケティングや未経験の事業開発など様々な業務を経験しながら、事業成長に貢献できるように取り組みたいと思います。

 

 

小野崎 悠介氏 (パスファインダー代表取締役)、「この度は4月より横井さん、松村さんの出向を受け入れ、一緒に働けて毎日ワクワクしています。

 

私自身は起業前にスタートアップ社員も大企業社員も経験しましたので、やり方の違いを知っていますが、お二人は始めてのスタートアップ生活で不慣れな事も多い事でしょう。

 

そんな中、既にお二人は自分のメイン担当だけでなく、新規事業から社外のピッチイベントへの登壇まで、まさに八面六臂の大活躍をされています。

 

この経験を通じて、大きな会社とのやり方の違いや異なるスキルを身に着けてご本人と会社共々成長することを期待しています。

 

また本プログラム導入にあたりご尽力頂いたENEOS人事部様、第一生命人事部様、ローンディール社には大変お世話になりました。感謝いたします。引き続き期間中もよろしくお願いいたします。」

 

最後に4社は、「今後も、このような企業間連携を通じてスタートアップと大企業が連携をしイノベーションを起こす社会の構築に貢献していきます」と話している。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。