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2023年11月29日【事業資源】

いすゞ、藤沢工場内に電動開発実験棟を新設

坂上 賢治

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藤沢工場内に新設される電動開発実験棟「The EARTH lab.」(イメージ)

 

2030年のCN対応車フルラインアップに向け、2026年に稼働開始へ

 

いすゞ自動車(本社:神奈川県横浜市、社長COO:南真介)は11月29日、2030年のカーボンニュートラル(CN)対応車フルラインアップに向けた車両開発を加速させるため、藤沢工場内に電動開発実験棟を新設したことを明らかにした。

 

同社は、商用電動車に最適なシステムやコンポーネントを開発するための実験・評価設備を導入する計画で、2026年6月の稼働開始を目指す。いすゞはCN社会の実現に貢献するため、いすゞグループは、2030年までに全車種に電動化商品を展開することを掲げている。

 

その主力を担うと期待されるバッテリー電気自動車(BEV)や燃料電池自動車(FCEV)は、従来の内燃機関車と大きく異なるコンポーネントで構成されており、今後、商用車に最適な電動車両の開発を更にスピーディーに進めるためには、いすゞが自らシステムやコンポーネントを評価・開発し、より高い次元の車両開発へとつなげることが不可欠となる。

 

そこで今回、藤沢工場内に電動コンポーネント開発のための新たな実験・評価設備を導入することにしたという。

 

新設する電動開発実験棟には、バッテリー・モーター・EVシステム・熱マネジメントなどの実験・評価設備を採用。バッテリーの特性を詳細に把握することにより、最大限のパフォーマンスを発揮させるバッテリーマネジメントを実現。

 

更にバッテリー・モーターなどのEVコンポーネントを組み合わせた状態で機能を最適化すると共に、システム全体の熱マネジメントの最適化が実現可能としていく。

 

加えてFCEVシステムの実験・評価設備の活用により、システムレベルで高度なエネルギーマネジメント及び熱マネジメントの最適化を行い、航続距離と走行性能の改善にも寄与する拠点とし、これらの機能を電動開発実験棟に導入することで、よりスピーディーな電動車両の開発を実現させていく構えだ。

 

今回の電動開発実験棟についていすゞグループは、「今年5月に、CNや物流DX(デジタルトランスフォーメーション)を積極的に推進するため、1兆円のイノベーション投資を公表。今回の電動開発実験棟の新設もその一環と位置付けています。

 

来るべきCN社会に向け、電動開発実験棟の新設と最新鋭の実験・評価設備の導入を通じて、CN対応車の開発体制強化およびその普及・促進を図ってまいります」と話している。

 

電動開発実験棟の概要は以下の通り
名称:電動開発実験棟「The EARTH lab.」
(「EARTH」は「Electric Automotive Research and Test Headquarters」の略)
場所:藤沢工場 第1・第2実験棟跡地
面積:建築面積;約5,700㎡、延べ床面積;約27,000㎡
高さ:約40m(地上5階建)
投資総額:約400億円
稼働開始時期:2026年6月(計画)
主な実験・評価設備:バッテリー・モーター・EVシステム・熱マネジメントの各実験・評価設備ほか
主な仕様・特徴
– 屋上および側壁に太陽光パネルを設置
– 実験棟内の各設備から回収した排熱を空調に利用することによりCO2排出量を削減
– バッテリーの実験・評価設備の電力回生により、同設備の消費電力を削減

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。