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2023年12月14日【ESG】

マツダ、炭素中立施策の「中間目標」を公表

坂上 賢治

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30年度に国内自社工場等で炭素排出7割削減と非化石電気使用率7割超へ

 

マツダは12月14日、2050年のサプライチェーン全体に於けるカーボンニュートラル(CN)に向け、2035年を目処とする中間目標に係る具体策を明らかにした。

 

具体的には、2035年にグローバル自社工場でのCNを実現するべく、グローバルの二酸化炭素(CO2)排出量で約75%を占める国内自社工場と事業所(広島県安芸郡および広島市の本社・本社工場、山口県防府市の防府工場、広島県三次市の三次事業所を含む全17拠点)を統括した中間目標と、そのロードマップを具体化した。

 

 

その中間目標は、2030年度にCO2排出量を2013年度比で69%削減することを目指す。またこの中間目標の達成に向け、これまでの施策を含めたロードマップに沿った取り組みをこれからは着実に実行していくと記している。

 

より詳細な施策内容についてマツダでは、「2030経営方針における主要施策の一つとしてCNに向けた取り組みを掲げ、グローバル自社工場のCN実現に向けて、〝省エネルギーの取り組み(省エネ)〟、〝再生可能エネルギーの導入(再エネ導入)〟、〝CN燃料の導入等(CN燃料導入等)〟の三本柱で進めています。

 

 

そこで今回は、CN実現への効果が高い国内の自社工場と事業所に於けるロードマップや各柱の取り組みを具体化しました。

上記を踏まえてまず〝省エネ〟としては、設備投資判断の基準にインターナルカーボンプライシング(企業内で定めた炭素価格による低炭素投資や対策を推進する仕組み)を導入することによって将来の炭素価格を考慮。

 

 

これによりCO2排出量削減の効果が高い施策への投資を加速させます。また、これまで実施している生産及び、インフラ領域と間接部門を含めた全社領域での取り組み、設備の高効率化、技術革新についても引き続き進めていきます。

 

続く〝再エネ導入〟では、本社工場宇品地区(広島県広島市)にあるMCMエネルギーサービス株式会社(広島県広島市)の発電設備の燃料を、石炭からアンモニア専焼(発電の燃料としてアンモニアのみを活用する)に燃料転換します。

 

 

また上記実施と共に、各拠点で地域と連携したコーポレートPPA(発電事業者が電力需要施設と離れた場所に太陽光等発電設備を設置。小売電気事業者が電力系統を経由して発電された再生可能エネルギー電力を長期間供給する電力購入契約)の活用や、電力会社から再生可能エネルギー等非化石電源由来電力の購入を推進。

 

 

これらの施策により、2030年度時点での非化石電気使用率は75%となる計画です。最後の〝CN燃料導入等〟では、社内輸送などで使用する車両の燃料を軽油から次世代バイオ燃料などへの転換を進めていきます。

 

 

なお燃料転換が困難とされるエネルギー源については、中国地域をはじめとする地域のCO2吸収を促進する森林保全や再造林などのJ-クレジット(省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用によるCO2等の排出削減量や森林管理によるCO2等の吸収量をクレジットとして国が認証する制度)を活用していきます」と説明した。

 

 

以上の発表にあたって向井 武司(むかい たけし)取締役専務執行役員(品質・購買・生産・物流・カーボンニュートラル統括、コスト革新統括補佐)は、「当社は自動車製造業の中核的責務として、クルマの〝つくる・はこぶ・つかう・もどす〟の其れ其れの過程の〝CO2排出量削減〟と〝地球温暖化抑制に貢献するCNの取り組み〟を着実かつ計画通りに進捗させています。

 

そのため前述の三本柱の取り組みを通じて、2035年のグローバル自社工場でのCN化。更には2050年のサプライチェーン全体でのCN化に向けた挑戦を進め、豊かで美しい地球と永続的に共存できる未来の実現を目指します。

 

なお海外工場でのCN化では、国内での取り組みをモデルに各地域での最適なアプローチを検討し実施します。更に〝CN電力推進部会〟や、〝ひろしま自動車産学官連携推進会議〟など地域との連携を通じて、2035年のグローバル自社工場でのCN達成に挑戦していきます」と述べた。

 

(参考)2022年度
マツダ国内自社工場・事業所CO₂排出量:648千トン、
MCMエネルギーサービス株式会社 マツダ 本社供給向け電力・蒸気供給 CO₂排出量:364千トン
(2022年度 本社MCM比率:56%=本社MCM:364/マツダ国内自社工場・事業所:648)

 

2022年度
マツダ国内自社工場・事業所電力使用量:578GWh、
MCMエネルギーサービス株式会社 マツダ 本社供給向け電力供給量:270GWh
(2022年度 本社MCM比率:47%=本社MCM:270/マツダ国内自社工場・事業所:578)

 

*3 発電の燃料としてアンモニアのみを活用すること。マツダでは「波方ターミナルを拠点とした燃料アンモニア導入・利活用協議会の設置」を実施(2023年4月14日発表)、同協議会に参画済み
*4 発電事業者が電力需要施設と離れた場所に太陽光等発電設備を設置し小売電気事業者が電力系統を経由して発電された再生可能エネルギー電力を特定の需要家に長期にわたって供給する電力購入契約。マツダでは太陽光発電によるオフサイトコーポレートPPAの契約を締結(2023年3月27日発表)
*5 省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用によるCO2等の排出削減量や森林管理によるCO2等の吸収量をクレジットとして国が認証する制度で、経団連カーボンニュートラル行動計画の目標達成やカーボン・オフセットなどへの活用が可能。マツダでは三井物産と「おかやまの森整備公社 森林管理プロジェクト」で創出されたJ-クレジットの売買契約を締結(2023年12月14日発表)
*6 Scope1:燃料の使用や工業プロセスにおける直接排出
Scope2:購入した熱・電力の使用に伴う排出(エネルギー起源の間接排出)
*7 マツダではユーグレナ社のバイオ燃料製造事業のサポート(2023年1月19日発表)などを実施

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。