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2023年2月2日【企業・経営】

村田製作所、中国のスマホ低迷で今期2度目の下方修正

山田清志

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村田製作所は2月2日、2022年度第3四半期累計(4月~12月期)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比2.9%減の1兆3392億円、営業利益が同19.0%減の2722億円、純利益が同15.4%減の2118億円と減収減益となった。中国でスマートフォンの売れ行きが低迷し、電子部品の需要が落ち込んだのが響いた。今期の業績予想も下方修正し、22年10月に続いて2度目の下方修正となった。(経済ジャーナリスト 山田清志)

 

2022年度第3四半期の業績概況

 

業績予想比で売上高が11.4%の未達に

 

「当社グループが属するエレクトロニクス市場の部品需要は、半導体需給の緩和により自動車向けで増加したが、スマートフォンやPCの市場低迷と在庫調整の長期化により、全体として減少した」と村田恒夫会長は第3四半期を振り返り、特にスマートフォンなどの民生用は想定以上の需要減だったそうだ。そのため、業績予想比で売上高が11.4%の未達になった。

 

直前四半期(7月~9月期)に比べて売上高が13.4%も減少して4190億円だった。樹脂多層基板や高周波モジュール、コネクティビティモジュールがスマートフォン向けで減少したほか、コンデンサーがコンピュータや通信向けで減少。また、リチウムイオン二次電池がパワーツール向けで減少したのが響いた。

 

営業利益は前年同期に比べて638億円減少したが、その変動要因を見ると、合理化効果で250億円、為替変動で950億円のプラス要因があったものの、操業度損1200億円、売価値下げ140億円、減価償却費の増加44億円、固定費の増加190億円、品種構成差など263億円のマイナス要因があった。

 

2022年度第3四半期の用途別売上高

 

用途別の売上高については、通信用途が前年同期比11.0%減の5368億円だった。スマートフォン向けで樹脂多層基板が増加したものの、表面波フィルターや高周波モジュール、コネクティビティモジュール、積層セラミックコンデンサーが減少したためだ。特に10月~12月期の落ち込みが大きく、7月~9月期に比べて20.7%も売上高が減少して1626億円だった。

 

モビリティ用途の売上高は、円安による増収効果や自動車生産台数の回復もあり、積層セラミックコンデンサーやEMI除去フィルターの売り上げが増加し、前年同期に比べて19.3%増の2924億円となった。「車載向けは地域的な偏りはなく、全地域で伸びている」と村田会長は話し、電動化やADASの進展が部品の需要増につながっている。

 

コンピュータ用途の売上高は、前年同期に比べて18.8%減の1841億円だった。PC向けでインダクターや積層セラミックコンデンサーが大きく減少、また、周辺機器向けでもコンデンサーと機能デバイスが減少したのが響いた。通信用途と同様に、10月~12月期の落ち込みが大きく、7月~9月期に比べて22.2%も売上高が減少し、507億円となった。

 

家電用途の売上高は、パワーツール向けでリチウムイオン二次電池が大きく増加し、前年同期比13.9%増の1588億円となった。ただし、10月~12月期だけを見ると、パワーツール向け、ゲーム機向けでリチウムイオン二次電池は減少しており、7月~9月期に比べて26.4%も減少して456億円だった。

 

産業・その他の売上高についても、4月~12月期が前年同期比1.2%増の1669億円だったのに対し、10月~12月期は同8.1%減の538億円。第3四半期累計ではヘルスケアや産業向けで売り上げが増加しているが、第3四半期だけを見ると、両分野向けは売り上げが減少している。7月~9月期に比べても5.7%減となっている。

 

2022年度の業績予想

 

電動車は21年度実績の1.5倍の2400万台を予想

 

このように第3四半期になって、モビリティ向け以外のセグメント業績は一気に悪化した感じだ。当然、この状況は通期業績見通しに大きな影響を及ぼす。

 

「業績見通しについては、世界経済の景気後退への懸念が継続する中で、スマートフォンやPCの市場低迷と在庫調整の長期化などにより、通信およびコンピュータ向けでの部品需要の減少が予想されることから、売上高は前回予想を下回る見込みだ。

 

営業利益についても、生産高の減少に伴う操業度損の発生により、前回予想を下回る見込みである」と村田会長は厳しい表情で話し、10月31日に下方修正した通期業績予想をさらに下方修正した。

 

売上高が前回予想から1400億円減の1兆6800億円(前期比7.3%減)、営業利益が850億円減の2950億円(同30.4%減)、当期純利益が710億円減の2260億円(同28.1%減)と大きく引き下げた。

 

同様に2022年度の部品需要予測値も引き下げた。例えば、スマートフォンは10月の予想値10億9000万台から10億7000万台にした。その数字は2021年度実績の13億6000万台から21%も落ち込むものだ。しかも、モデルミックスが変化してきているという。

 

オンライン会見の様子

 

「主に中華圏ではハイエンドスマートフォンの落ち込みが大きく、ローエンドスマートフォンが伸びている」と村田会長は話し、春以降に発売される新機種に期待しているが、需要が回復するのは夏以降になると見ている。

 

PCについても、10月の予想値4億4000万台から4億2000万台に引き下げた。21年度実績が5億台だから約16%減少することになる。一方、自動車については、10月の予想値8200万台を据え置いた。特に電動車については、21年度実績の1.5倍となる2400万台を予想する。

 

村田会長は「2030年に向けてエレクトロニクス市場が拡大するシナリオに変化はない」と常々話しているが、今期2度の下方修正を行ったことを考えると、経営は踊り場に入ったと言っていいかもしれない。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。