NEXT MOBILITY

MENU

2024年1月24日【企業・経営】

ニデック、中国でEV部品事業が低迷し、利益を下方修正

山田清志

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

ニデック(旧日本電産)は1月24日、2024年3月期の連結営業利益が1800億円になる見通しだと発表した。前期比80.1%増だが、従来予想の2200億円から1800億円と400億円下方修正した。中国で電気自動車(EV)の価格競争が激化している影響を受け、駆動装置事業で構造改革費用を計上する。売上高は前期比3%増の2兆3000億円、当期利益は同3倍の1350億円を見込み、売上高は従来予想を1000億円上回る一方、純利益は300億円引き下げた。そうした発表を受け、同社の株価は25日の東京市場で一時前日比6.2%安の5534円まで下落した。(経済ジャーナリスト・山田清志)

 

50年間経営してこんな事業は初めて

 

「結果的には反省ですね。中国で何が起きたか。価格がボンボン落ちていって、われわれが想定した価格とは全然違うところへ行ってしまった。私は50年間会社を経営していますが、自分のところも競争相手もお客さんも全部赤字なんですね。こんな事業は初めてです」と永守重信会長兼最高経営責任(CEO)は苦戦する中国市場について話し、こう付け加える。

 

FY23通期業績予想を修正

 

「中国のお客さんというのはちょっと異常ですわ。だから、200社ぐらいあったEVの会社がどんどん潰れていっている。それは利益が出るような価格設定になっていないですから、これからもどんどん潰れていく。われわれとしては、そういう会社とはお付き合いできない。技術的な価値を無視して、値段を付けられるからたまらない。だから、われわれはお断りすることにしている」

 

そのため、「イーアクスル」と呼ばれる駆動装置を軸とするEV部品事業はしばらく低迷する。23年10~12月期まで3四半期連続で事業売上高が100億円前後で推移していたが、24年1~3月期は45億円と半減する見込みだ。価格競争が激化して採算の合わない案件が増えるなか、受注を絞り込む。また、450億円の構造改革費用の計上により、今期の事業営業損益は600億円近い赤字になる見通しだ。

 

連結決算業績

 

構造改革では、受注制限と現地化推進を徹底していき、同時にステランティスとの合弁会社NPeへの万全なサポート体制を構築していくことで、将来の成長に向けた収益改善を実現していく。イーアクスル事業の来年度業績見通しによると、上期まで赤字が続き、10~12月期に黒字転換、25年1~3月期に45億円の営業利益を計上することになっている。

 

下落傾向に歯止めがかからない株価

 

イーアクスル以外の車載事業については、好調に推移しているそうだ。例えば、ブレーキモーターやパーセルモーターがそうで、しかもそれに制御回路を加えたシステムとして提案するケースも増えている。シェアも50%を超えるほどで、四半期ベースで100億円を超える利益を出しているとのことだ。

 

製品グループ別、四半期業績推移

 

同社の株価は25日に一時前日比6.2%安の5534円まで下落したわけだが、これは23年10月24日以来の下落率になった。日経平均株価がバブル期の史上最高値が視野に入るほど日本株が好調な中、ニデックの株価は下落傾向に歯止めがかかっていない。永守会長は今回の会見でも外部から招いた元経営者の悪口を言っていたが、その元CEOが退任した22年9月からの比較でも30%以上も下落している。

 

24日に発表した23年4~12月期の連結決算は、売上高が前年同期比3.2%増の1兆7546億円、営業利益が同36.1%増の1693億円、純利益が同40.2%増の1459億円だった。今後は需要拡大が見込まれるインド、アフリカに力を入れていく方針だ。インドでは、現在建設中の4番目の向上に加えて5番目の工場建設も検討している。また、アフリカでも同社グループ初となる工場をエジプトに建設し、25年に生産を開始する予定だ。

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。