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2022年2月2日【事業資源】

パナソニック、4~12月期大幅な増益でも通期見通しを据え置く

山田清志

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パナソニックの梅田博和専務執行役員兼CFO

 

2022年4月から持株会社制に移行するパナソニック。昨年10月からは新たな体制でスタートし、今回2月2日が新セグメントとしての初めての決算となったが、幸先の良いスタートとなったと言っていいかもしれない。2021年度第3四半期累計(4~12月)の連結決算は、売上高が前年同期比11.3%増の5兆4233億円、営業利益が同20.9%増の2741億円、当期純利益が同50.3%増の1956億円だった。(経済ジャーナリスト・山田清志)

 

オートモーティブは自動車の減産で減収

 

「第3四半期(10~12月)は、前年の需要増の反動などにより、くらし事業の国内家電やオートモーティブの車載機器が減収となったが、インダストリーの情報通信向け事業やエナジーの車載電池などの販売が増加したことに加え、ブルーヨンダーの新規連結もあって増収となった。しかし、家電や空調などのくらし事業を中心に、原材料高騰が大きく影響したことに加え、ブルーヨンダー買収時の資産・負債の再評価に伴う影響など一時的なマイナス要因もあって減益となった」と梅田博和取締役専務執行役員兼グループCFOは第3四半期を総括した。

 

セグメントの変更

 

セグメント別に詳しく見ると、くらし事業は売上高が前年同期に比べて231億円(2%)減の9594億円、営業利益が366億円減の378億円と減収減益だった。洗濯機などの中国家電、北米の食品流通、欧州の空調は堅調だったが、国内で供給課題があった洗濯機や前年の巣ごもり需要の反動を受けた調理機器などに加え、テレビなどの他のセグメント商材の販売減を大きく、全体として減収となった。

 

オートモーティブは売上高が前年同期に比べて266億円(9%)減の2752億円、営業利益が96億円増の19億円と黒字転換を果たした。ただ、第3四半期累計(4~12月)では、27億円の営業損失で赤字のままだ。「第3四半期は、第2四半期から売り上げが増加したが、前年の自動車生産回復の反動があったことに加え、半導体や部材逼迫などによる自動車減産の影響が継続して減収となった」と梅田CFOは説明する。

 

コネクトは売上高が前年同期に比べて228億円(11%)増の2226億円、営業損益が122億円減で96億円の赤字に転落した。「実装機やプロジェクターの増販益があったが、部材調達課題によるノートPCの減販損やブルーヨンダー買収時の資産・負債の再評価に伴う一時的な影響があり、減益となった」と梅田CFO。しかし、第3四半期累計では前年同期の146億円の営業赤字から426億円の黒字になっている。

 

2021年度3Qセグメント別実績

 

インダストリーは売上高が前年同期に比べて243億円(9%)増の2930億円、営業利益が59億円増の193億円だった。産業用モーター、情報通信インフラや車載用のコンデンサー、EV用リレーなどの販売が好調だったうえ、合理化などにより増収増益となった。

 

エナジーは売上高が前年同期に比べて284億円(17%)増の1943億円、営業利益が43億円増の1630億円だった。欧州乾電池事業の譲渡影響があったが、EV向け車載電池やデータセンター向け蓄電システムを中心に販売好調で増収増益となった。

 

2021年度連結業績見通し

 

和歌山工場でEV向け新型電池の量産へ

 

梅田CFOによれば、21年度第3四半期は経営環境的にも大きな変化が見られたという。「コロナによる工場ロックダウンの影響は解消傾向だが、原材料高騰、半導体などの部材不足の影響が継続している」と述べ、価格高騰の影響について、当初は年間1000億円規模になると想定していたが、「銅や鉄が高止まりしており、1300億円の影響がありそうだ」と付け加えた。

 

原材料高騰は主にくらし事業とオートモーティブ事業で影響が顕著で、半導体などの部品不足に関しては、エナジーを除くセグメントで影響が出ているそうだ。そこで、価格改定に取り組んでおり、全体の3分の1程度の価格転嫁ができているとのことだ。

 

2021年度通期の業績見通しは、売上高が前期比9.0%増の7兆3000億円、営業利益が同43.1%増の3700億円、当期純利益が同45.5%増の2400億円と10月28日に公表した数値を据え置いた。ただ、調整後営業利益は、自動車生産の減少や原材料高騰など、足元の経営環境やブルーヨンダー買収時の会計処理の影響など、一時的なマイナス要因を踏まえ、350億円減少の3650億円に下方修正した。

 

2021年度セグメント別見通し

 

セグメント別の通期業績見通しは次の通りだ。くらし事業は売上高が前期比3%増の3兆6400億円、営業利益が130億円減の1270億円。オートモーティブは売上高が6%増の1兆800億円、営業利益が148億円増の30億円。コネクトは売上高が12%増の9200億円、営業利益が710億円増の510億円。インダストリーは売上高が13%増の1兆1100億円、営業利益が333億円増の740億円。エナジーは売上高が28%増の7680億円、営業利益が275億円増の610億円となっている。

 

また、質疑応答ではテスラ向けに開発している新型電池「4680」についての質問がいくつか飛んだ。それに対して梅田CFOは「すでに性能面を満たした試作品はできている。これから量産に向けた試作ラインを新設するために、和歌山工場(和歌山県紀の川市)の改修を始めている。2022年度の早いタイミングで試作ラインでの検証に入っていく」と話し、強い要請が来ているテスラを第一優先に考えていくそうだ。

 

長い間、経営の足を引っ張ってきた車載電池だったが、現在は5%を超える収益性を確保できるまでになっており、4680の量産でパナソニックの存在感が再び高まり、収益性もさらに上がって行きそうだ。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。