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2023年11月8日【事業資源】

ルノーと日産、改訂アライアンスの基盤契約が発効

坂上 賢治

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ルノー グループと日産自動車は11月8日、先の2023年2月6日及び2023年7月26日に発表された内容に係る規制当局の承認を受け、両社の新アライアンス契約が発効・置き換えられた(改訂アライアンス基本契約、アライアンス及び資本参加契約及び2019年3月12日の覚書)事を発表した。

 

その結果、ルノー グループと日産は、ロックアップ及びスタンドスティル義務を伴う15%の株式を相互に保有することになった。

 

これにより両社は、保有する株式に付随する15%の議決権が行使可能に。具体的にはルノー グループ及び日産双方の議決権行使の上限が、行使可能な議決権の15%と定められ、両社はこの範囲内で自由に議決権の行使が可能となる。

 

なおルノー グループは、保有する日産の株式(全体43.4%)のうち28.4%をフランスの信託会社に信託。一部の例外を除き、同株式に関する議決権は中立的に行使されることになる。

 

またルノー グループは、当該株式が売却されるまでの間、信託した日産の株式の全てに付随する経済面での権利(配当金と株式売却収入)を有する。

 

今後、ルノー グループは、信託会社に信託した日産株式の売却を指示する事が可能になると共に特定の期間内に売却する義務は負わない。

 

加えてルノー グループは、日産と協調的で秩序あるプロセスに於いて自由に信託内の日産株式を売却でき、日産もしくは日産が指定した第三者は、筆頭の売却候補として優先的な地位を有することになる。尚、信託会社への信託に伴うルノー グループの財務諸表への減損影響はない。

 

このアライアンスの新たな章は、これまでの長年に亘るパートナーシップを基にアライアンス各社の価値創造を最大化し、バランスのとれた公正で効果的な新しいガバナンスを基盤とする。引き続き、アライアンス各社は、様々な市場に於いてウィン・ウィンで大規模、そして実現可能なメリットが期待できるプロジェクトを追求していく。

 

 

アライアンス会長のジャンドミニク スナール氏は、「本日、2023年7月下旬に締結した新たなアライアンス契約の発効を発表できた事をうれしく思います。

 

これはルノー・日産・三菱自動車にとって極めて重要な一歩であり、アライアンス各社そして全てのステークホルダーに価値を創造する公正で長期的かつ効果的な新たなパートナーシップの基盤となります。」と述べた。

 

 

日産自動車社長兼CEOの内田誠氏は、「このリバランスされたパートナーシップにより、日産は得意とする分野を生かしながら更なる機敏性を持って、『Nissan Ambition 2030』や電動化をはじめとする我々の事業戦略を支える取り組みで、新たな成長機会を追求することが可能となり、結果としてそれはアライアンス全体の価値を高める事に繫がります。今後も、ルノー グループとのパートナーシップがもたらす可能性に期待をしております」と語っている。

 

 

ルノーグループCEOのルカ デメオ氏は、「私たちは今、現実的で実務指向のアプローチに基づくアライアンスの新しい時代に実質的に入りました。

 

欧州、ラテンアメリカ、インドにおける我々の共同プロジェクトは、我々のパートナーシップを強化し、各社に何億ユーロにのぼる価値を生み出し、イノベーションの分野に於いて相互に有益なものとなります。

 

また当社のEVとソフトウエア事業となるアンペアに日産と三菱自動車を強力なパートナーとして参画することを歓迎します。

 

これはこのアセットの魅力が認められた証です。最後に、ルノーグループは日産株の収益化の可能性を背景に、資本配分方針に更なる柔軟性をもたらすことになります」と話している。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。