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2023年12月12日【企業・経営】

SEMI、25年の半導体製造装置市場は過去最高額へ

坂上 賢治

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SEMI、世界半導体製造装置の2023年末市場予測を発表

 

SEMI(本部:米国カリフォルニア州ミルピタス)は12月12日(日本時間)、SEMICON Japan 2023開催にあたり、世界半導体製造装置の2023年末市場予測を発表した。(*当該予測は、最大手半導体製造装置メーカーの見解・世界半導体製造装置市場統計、World Fab Forecastデータベースに基づくもの)

 

それによると、2023年の半導体製造装置(新品)の世界販売額は1000億ドルに到達し、過去最高であった2022年の1074億ドルからは6.1%減少となる見込み。(※装置/新品には、ウェーハファブ装置、テスト装置、組み立ておよびパッケージング装置が含まれており、装置合計額はウェーハ製造装置を除いている。また数字を丸めているため、合計値が一致しない場合がある)

 

2024年には半導体製造装置市場は成長を回復し、2025年には前工程と後工程の両分野の増進により新記録となる1240億ドルに到達することが予測されている。

 

この市場予測についてSEMIのプレジデント兼CEOであるAjit Manocha氏(アジット・マノチャ)は、「半導体市場には周期性があり、2023年には短期的に落ち込む見込みです。

 

2024年は回復への転換期となり、2025年は生産能力拡大と新規ファブ建設、そして先進テクノロジーおよびソリューションからの需要増によって、力強い回復を見せるでしょう」と述べた。

 

写真は、SEMIジャパンが「SEMICON Japan 2023」開催概要を発表した12日、半導体装置の予測とファブ投資など市場の展望を説明した市場情報担当 シニア・ディレクターのName: Clark Tseng氏(クラーク・ツェン)

 

また分野別販売額では、ウェーハファブ装置分野(ウェーハプロセス処理装置、ファブ設備、マスク/レチクル製造装置)の販売額が2022年に940億ドルの過去最高額を記録した後、2023年は3.7%減の906億ドルになると見込んだ。

 

但し、同減少率は、SEMIが今年年央に予測していた18.8%減からは大幅な改善を意味するという。この修正は、主に中国の旺盛な装置支出によるもの。

 

2024年はメモリ生産能力の拡大が限定的であり、また成熟テクノロジーの生産能力拡大も一時休止するため、情報修正された2023の金額からは3%の穏やかな成長となるとしている。

 

加えて2025年は、新規のファブ計画、生産能力拡大、テクノロジーアップグレードによって、投資額は1100億ドル近くまで増加することが予測される。

 

2022年から始まった後工程装置分野の販売額減少は、マクロ経済ならびに半導体需要の軟化によって2023年も継続。2023年の半導体テスト装置の販売額は、前年比15.9%減の63億ドル、また組み立ておよびパッケージング装置分野の販売額は、31%減の40億ドルとなる見込み。

 

この結果2024年には、テスト装置が13.9%、組み立ておよびパッケージング装置が24.3%の増加に転じることが予測されています。後工程分野の成長は2025年にも持続し、テスト装置の売上高は17%増、組み立て及びパッケージング装置の売上高は20%増が予測されている。

 

一方でアプリケーション別販売額は、ウェーハファブ装置の販売額の半分以上を占めるファウンドリおよびロジック分野で最終製品市場が軟調であるにも関わらず、2023年の販売額が6%増の563億ドルを記録する見込み。

 

2024年は、成熟テクノロジーの生産能力拡大が減速し、最先端テクノロジーの投資が改善する結果、全体では2%減となることが予測される。次ぐ2025年には、生産能力投資の拡大と新しいデバイスアーキテクチャーの導入により、15%増の633億ドルが予測されている。

 

これを踏まえて2023年のメモリ関連の設備投資は、最も大幅な減少となる。NAND装置の販売額は、2023年に49%減の88億ドルとなる見込み。しかし2024年は21%の急増を示し107億ドルへ、また2025年はさらに51%増加して162億ドルへと成長することが予測される。

 

対してDRAM装置の販売額には変化が見られず、2023年は1%増、2024年は3%増となる見込み。2025年には、テクノロジーマイグレーションの継続と超広帯域メモリ(HBM)需要の拡大にけん引されて、DRAM装置の販売額は20%増の155億ドルとなることが予測される。

 

最後に地域別販売額では、中国、台湾、韓国に於ける2025年までの期間は、設備投資の上位3カ国に留まる。

 

この間、中国の装置購入額は上昇を続け、首位を維持。中国への装置出荷額は、2023年に過去最高の300億ドルを超え、他地域との差を広げる見込み。

 

2023年の設備投資額は、殆どの地域が、2023年に減少した後、2024年に上昇するが、中国は2023年に多額の投資をした後、2024年は若干の縮小となる。なお次のグラフに、上記に係る状況を踏まえた分野別およびアプリケーション別の市場規模(十億米ドル単位)を示されている。

 

(出典:SEMI半導体製造装置市場統計レポート年間購読、2023年12月)

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。