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2021年10月28日【企業・経営】

ソニーG、2021年度通期の営業利益が1兆円超えに

山田清志

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十時裕樹副社長兼CFO

 

ソニーグループが相変わらず好調だ。10月28日に発表した2021年度上半期(4~9月)の連結業績は売上高が4兆6262億円(前年同期比13.7%増)、営業利益が5985億円(同11.5%増)、当期純利益が4249億円(同34.8%減)だった。通期見通しを上方修正し、営業利益が1兆円を超える見込みだ。2020年度は当期純利益が1兆円を超えたが、今度は営業利益が1兆円超えとなる。もちろん営業利益が1兆円を超えるのは初めてだ。(経済ジャーナリスト・山田清志)

 

2021年度上半期連結業績

 

79月期は売上高、営業利益とも過去最高を更新

 

「第2四半期(7~9月)は、売上高が前年同期比13%増の2兆3694億円、営業利益が32億円増の3185億円となり、第2四半期の実績としてはいずれも過去最高を更新した。コロナ禍でアジアでの生産や物流の影響が大きくて苦慮したが、うまくマネージできたと考えている。ゲームビジネスは巣ごもり需要の影響が薄らいでいる」と十時裕樹副社長兼CFOは第2四半期を総括した。

 

そのセグメント別の業績を見ると、増収増益がエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)で、増収減益がゲーム&ネットワークサービス(G&NS)、音楽、映画、減収増益が金融、減収減益がイメージング&センシング・ソリューション(I&SS)だった。

 

それでは順番に詳しく見てみよう。EP&S分野は売上高が前年同期比485億円増の5819億円、営業利益が同193億円増の727億円。為替の影響やスマートフォンの販売台数増加などがプラスに働き、テレビやデジタルカメラ、オーディオ・ビデオの製品ミックスなどの改善もあって増収増益となった。

 

2021年度第2四半期業績

 

「東南アジア圏でコロナ感染再拡大により当社工場の稼働や部品供給に制約が発生し、一部の商品で充分な需要に応えることができなかったものの、価格維持と高付加価値モデルへのシフトにより、高い収益性を維持することができた」と十時副社長は説明する。

 

懸案のテレビについては、第2四半期でも製品価格が維持できていたが、今後パネル価格の急激な下落による製品価格への影響が表れると見ており、市場の推移を見極めながら、在庫とマージンのコントロールに注力していくという。また、足元で半導体を中心にデバイスの供給制約が顕在化しているので、そのリスクを通期の見通しに織り込むことにしたそうだ。

 

ソニー・ミュージックは5年連続で過去最高を更新

 

G&NS分野は、売上高が前年同期比1388億円増の6454億円、営業利益が同227億円減の827億円だった。主にプレイステーション5(PS5)のハードウェアや自社製作以外のソフトウェアの好調で27%増と大幅に増収になったが、ハードウェアと周辺機器での損益が悪化して大幅な減益になってしまった。

 

PS5については、販売台数が第2四半期330万台と想定よりも少なくなっているが、2021年度の販売計画1480万台超に変更はないと強調。「全世界的な物流の混乱や半導体を中心としたデバイスの供給制約などの影響が大きくなっているが、PSプラットフォームのモメンタムを維持し、PS5を待っているユーザーの期待に添えるように、引き続き最大限の努力を続けていく」と十時副社長は述べた。

 

2021年度第2四半期セグメント別業績

 

音楽分野は、売上高が前年同期比407億円増の2716億円、営業利益が同37億円減の506億円だった。ストリーミングサービスの高い成長もあって18%増と大幅な増収となったが、前年同期に海外での事業譲渡に伴う一時的な利益があり減益となった。

 

「第2四半期におけるストリーミング売り上げは、前年同期比で音楽製作が38%増、音楽出版が47%増と引き続き高い成長を続けている。特にストリーミング市場の拡大が顕著な海外の音楽事業を束ねるソニー・ミュージック・グループの当年度の営業利益は、5年連続で過去最高を更新する見込みだ」と十時副社長は説明する。

 

アーティストの発掘、育成に強化してきたことで、断続的にヒット曲が出てきているそうで、第2四半期では、スポティファイのグローバル楽曲ランキング上位100曲に、平均して38曲がランクインしている。シンガーソングライターのアデルが10月14日リリースした「Easy on Me」は1日当たりのストリーミング再生回数が過去最高を記録した。

 

映画分野は、売上高が前年同期比742億円増の2607億円、営業利益は同12億円減の316億円だった。テレビ番組製作やメディアネットワークで増収を果たしたものの、劇場公開に伴う広告宣伝費の増加などによって減益になった。

 

2021年度連結業績見通し

 

ただ、10月に入って米国を中心に大型作品の劇場公開が徐々に再開されていて、「ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ」は公開3日間での米国内での興行収入が約100億円を達成。今後も「ゴーストバスターズ:アフターライフ」や「スパイダーマン:ノーウェイ・ホーム」などの劇場公開を予定しており、下期に収益が大きく伸びる見込みだ。

 

TSMCの国内半導体新工場へ出資か?

 

I&SS分野は、売上高が前年同期比288億円減の2783億円、営業利益が同10億円減の497億円だった。モバイル機器向けのイメージセンサーが減少したことと、製品ミックスの悪化により減収減益となった。

 

「モバイルセンサーについては、足元での軟調な中国スマホ市場や、半導体全般の需給逼迫、東南アジアでのスマホの完成品や部材の生産遅延などの影響はあるが、為替の好影響と費用の抑制効果が出ている。2022年度に向けては、数量の拡大と高付加価値化の実現に必要なロジックウェハー確保が大きな課題となってくる」と十時副社長は説明。

 

そんなこともあり、質疑応答では台湾積体電路製造(TSMC)が日本で計画している半導体工場建設への出資などに関する質問が続いた。それに対し十時副社長は次のように言及した。

 

2021年度セグメント別業績見通し

 

「ソニーは、ロジックウェハー生産のほとんどを外部委託しており、長期にわたる世界的な半導体不足が予想されるなか、ロジックウェハーの安定的な調達は重要な事業課題となっている。TSMCの工場建設は、この課題の解決策になることから、TSMCおよび経済産業省と協議し、新工場立ち上げに協力していくことなどについて検討を進めている。半導体の安定供給は日本の産業界全体にプラスになり、協力できることは協力したい」

 

しかし、出資などについては「現在、協議中であり、決定していることはない」とそれ以上のことは語ろうとしなかった。

 

2021年度通期業績見通しは、売上高が8月公表値に比べて2000億円増の9兆9000億円(前期比10.0%増)、営業利益が600億円増の1兆400億円(同8.9%増)、当期純利益が300億円増の7300億円(同29.1%減)とそれぞれ上方修正した。

 

セグメント別では、売上高で音楽分野が300億円、映画分野が600億円、金融分野で900億円の上方修正をしたのに対し、EP&S分野が400億円の下方修正をした。また、営業利益では、音楽分野が100億円、映画分野が180億円、EP&S分野が200億円、I&SS分野が100億円の上方修正をした。G&NSは8月の公表値を売上高、営業利益とも据え置いた。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域の取材活動を経て同社出版局へ。コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に環境&リサイクル紙、車両ケア&整備ビジネス専門誌等の創刊誌編集長を歴任。独立後は一般誌、Web媒体上でジャーナリスト活動を重ね30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。