写真は、CEO カルロス・タバレス氏とCOO エマヌエーレ・カペラノ氏
ステランティス.S.Aは3月6日(オランダ・アムステルダム発)、2025年から2030年まで総額56億ユーロ(300億レアル/約9000億円)の南米地域最大の投資計画を発表した。なお、これはブラジルおよび南米に係る自動車産業史上で最大の投資になると同社では謳っている。
計画されている投資内容は、期間中の40を超える新製品の発売の他、新しいバイオハイブリッド技術、自動車サプライチェーン全体に亘る脱炭素技術、戦略的な新たなビジネスチャンスの創出をサポートするものだという。
今投資は、ブラジルを中心とした南米地域でクリーンかつ手頃なモビリティを提供しているなかで、脱酸素戦略に係る自社のリーダーシップを維持・強化し、併せて地元産業の発展に寄与するものとしている。なお同施策は、ステランティスのDare Forward(デアフォワード)2030戦略計画の達成も同時に後押しするものだと説明している。
ステランティスのカルロス・タバレス最高経営責任者(CEO)は、「今回の発表は、南米自動車産業の将来へのコミットメントを強く打ち出したものです。
当社は、Dare Forward2030の達成のための〝第3のエンジン〟とも言える南米地域の従業員、サプライチェーンネットワーク、パートナーと共にモビリティの脱炭素化を加速するべく、今後も主導的な役割を果たしていきます。
また世界の自動車産業をリードする同地域の炭素中立化目標を共に達成させていくべく、今投資戦略に携わってくれたチームメンバーにも感謝したいと思います。
先のデア・フォワード2030戦略計画の一環としてステランティスは、今後10年間で電化戦略に500億ユーロ以上を投資しており、2038年までにカーボン・ネット・ゼロ企業になる道筋を順調に歩み続けています。
もとより南米は、中東とアフリカ、中国とインドを包括するアジア太平洋セグメントで〝第3のエンジン〟としての役割を果たしてくれており、北米・欧州外でのステランティスの収益目標の拡大に大きく貢献してくれています。
実際、ステランティスは、南米に於ける主要自動車産業3地域にあたるブラジル、アルゼンチン、チリの市場リーダーであり続けています。昨年、この地域に於けるステランティスの総販売台数は87万8,000台を超え、市場シェアは23.5%となりました。
また我々は、ブラジルで31.4%の市場シェアを誇り、南米全域の小型商用車販売で28.6%の市場シェアを確保。フィアットはブラジルと南米で最も売れているブランドであり、フィアット・ストラーダ・ピックアップはブラジルと、その他の周辺地域で最も売れている車です。
今日、そんな南米地域で最も注目すべき技術は、電動化とバイオ燃料 (エタノール) を動力源とするハイブリッドパワーを複合させる最先端のバイオ・ハイブリッド・テクノロジーにあります。
例えば当社のブラジル・ミナスジェライス州ベチンの研究開発拠点は、そのようなバイオハイブリッド技術の重要施設として長年、独自の技術を継承してきました。
そうした努力の積み重ねにより、当地のフィアット・ ブランドは、100%エタノールを使用するバイオ燃料エンジン開発の先駆者であり続けていますが、今後、将来的には、この地域ではバッテリー式電気自動車(BEV)も併せて生産される予定です。
バイオ ハイブリッド、バイオ ハイブリッド電動デュアル クラッチトランスミッション (eDCT)、バイオ ハイブリッドプラグイン、および BEV (100%ピュア電動)などの当社の南米地域のハイブリッド技術車両群は、その独特の複合技術だけでなく、生産面でも柔軟性があり、ステランティスが製造する多様モデルに適合できます。
こうしたバイオ ハイブリッド テクノロジーは今後、段階的に中南米の広域市場に導入され、2024年末までに各地位へ浸透させていく予定です」と述べた。
なおステランティスは、同投資を介して同地域の事業規模を拡大しさせつつ、同地域に適合させた自動車の設計・開発・生産体制を整えていく意向だ。
例えば先にステランティスは、同地域での電動化戦略をリードするべくアルゼンチンでリチウム資源の製品化を担うArgentina Litio y Energía SA(アルゼンチン リティオ イ エネルヒア社/アルゼンチン・リチウム・アンド・エナジー社)の株式19.9%を取得した。
更にステランティスは、自動車向け製品商社のNorauto・Argentina社と、ブラジル自動車部品流通のDPaschoal社の買収により、南米最大の自動車部品販売業者となって、アフターマーケット分野でも自社の存在感を強めている。