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2024年2月14日【企業・経営】

住友ゴム、タイヤ事業が初の1兆円超えで利益も大幅増

山田清志

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住友ゴム工業の山本悟社長

 

住友ゴム工業が2月14日に発表した2023年12月期の連結決算は、売上高にあたる売上収益が前期比7.2%増の1兆1773億円と過去最高を記録し、事業利益が3.5倍の776億円、営業利益が4.3倍の644億円、当期利益が3.9倍の370億円と大幅な増益を達成した。特に主力のタイヤ事業はSUV(多目的スポーツ車)向けが北米で好調に推移し、創業以来初めて売上高が1兆円を超えた。配当も58円と前期よりも23円増配する。(経済ジャーナリスト・山田清志)

 

住友ゴム工業の決算会見の様子

 

値上げ効果と海上運賃の下落が追い風に

 

「2023年は利益水準が急回復し、事業利益率が6.6%まで改善。下期には過去最高益を達成することができた。特にタイヤ事業の売上高は創業以来初めて1兆円を超えた。またゴルフ事業において、昨年12月に発売した『ゼクシオ13』の好調な滑り出しもあって、スポーツ事業は過去最高益を達成した」と山本悟社長は決算説明会の冒頭、23年12月期決算を振り返り、現在進めている構造改革が着実に進んでいることを強調した。

 

セグメント別の業績を見ると、タイヤ事業は売上収益が前期比7%増の1兆64億円、事業利益が5.1倍の636億円だった。国内市販用タイヤは7月から冬タイヤの値上げ影響と暖冬により前期をわずかに下回ったが、国内新車用タイヤが半導体不足の緩和で新車メーカー各社の生産が回復して前期を上回った。

 

2023年度セグメント別業績

 

海外市販用タイヤでは、北米の主力商品であるファルケンブランドの販売が好調だったものの、中国やインドネシアの市場が低迷して前期を下回った。一方、海外新車用タイヤは欧米で増販となったことによって、中国とインドネシアでの販売減をカバーして前期並みとなった。特に事業利益では値上げ効果と海上運賃の下落によって前期を大幅に上回った。

 

もう一つの柱であるスポーツ事業は、売上収益が前期比9%増の1266億円、事業利益が40%増の125億円だった。ゴルフ事業は北米と韓国で好調に推移し、さらにゼクシオ13の販売好調も加わって増収増益を達成した。テニス事業は販売数量が減少したが、値上げと円安効果によって前期を上回ることができた。

 

産業品ほか事業は、売上収益が前期比5%増の444億円、事業利益は2.2倍の16億円だった。OA機器用ゴム部品や生活用品が前期を下回ったが、医療用ゴム製品や橋梁用などのインフラ関係で販売を伸ばした。

 

2023年度連結業績

 

事業利益は前期に比べて557億円の増額となったが、その要因が次の通りだ。原材料でプラス171億円、値上げ効果でプラス254億円、海上運賃でプラス414億円、数量・構成比ほかでマイナス191億円、人件費とエネルギーコストの上昇でマイナス85億円、固定費増でマイナス40億円、為替でプラス43億円、DXの推進費などの経費でマイナス53億円、そしてスポーツのプラス35億円、産業品ほかでプラス9億円となっている。

 

米国工場の立て直しはまだ道半ば

 

2024年12月期の業績見通しは、売上収益が前期比1.9%増の1兆2000億円、事業利益が3.0%増の800億円、営業利益が5.4%減の610億円、当期利益が0.1%減の370億円を見込む。上期(1~6月)については、売上収益が前年同期比2.5%増の5750億円、事業利益が倍増の345億円、営業利益が78.5%増の300億円、当期利益が2.8倍の235億円となっている。

 

うちタイヤ事業は売上収益が前期比3%増の1兆330億円、事業利益が5%増の665億円を見込む。スポーツ事業は売上収益が4%増の1315億円、事業利益が12%減の110億円、産業品ほか事業は売上収益が20%減の355億円、事業利益が55%増の25億円を見込む。

 

2024年度連結業績予想

 

「2024年の世界経済は物価上昇による金融引き締め策、ウクライナや中東における地政学的緊張の影響など、引き続き不確実性の高い状況が予想される。一方、当社グループを取り巻く環境については、原材料価格高やエネルギーコスト高に一服感があり、海上輸送コストの影響を限定的であると見ている」と山本社長は説明する。

 

住友ゴムは現在、構造改革に取り組んでいる。その一つが北米タイヤ事業の立て直しだ。2023年は値上げと円安効果によって、当初の計画以上に収益性が向上し、黒字化を達成した。文字通り、神風が吹いたわけだが、「米国工場の立て直しはまだ道半ば。24年は新製品の拡販など、さらなる収益向上を目指していく」と山本社長は話していた。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。