NEXT MOBILITY

MENU

2023年11月29日【企業・経営】

トヨタ、更なる事業成長を見込むため、デンソー株の一部売却

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

トヨタ自動車は11月29日、自社保有のデンソーの株式の一部を売却することを決定した。売却の理由は、自社事業の更なる成長を見込むための資金を確保するためとみられる。( 坂上 賢治 )

 

最終的な売却規模は、トヨタグループ全体での協議を踏まえて資本効率を高める目的があるとされ、トヨタ(現行保有比率の24から20%)・豊田自動織機(9から5%)・アイシン(2%を全売却)などのグループ保有株割合の約10%程度が目安(デンソー側の29日付け臨時報告書による売り出し株式は2億5637万3400株)。

 

このうち半分がトヨタの売却割合と見られ、売却総額は実施時期(売り出し価格は12月13日に明らかになると見られる)にもよるが、おおよそ7,000億円程度になる見込み。デンソー側は自社株買いなどの資本政策を検討中。

 

売却益は、当面の課題となっている電動化シフト施策(2030年までに5兆円規模の投資を見込む)の一部資金として投下される。なおデンソー株の廃却後もトヨタは2割程度の株式保有比率を維持することから、デンソーの筆頭株主であることは変わらない。

 

トヨタ側からの説明では、「モビリティ・カンパニーへの変革に向けて、今まで以上に専門性の高いグループ各社と協力・切磋琢磨していくため、2016年より「ホーム&アウェイ」の視点でグループ全体の事業の再構築を進めております。

 

そうした中、グループの中核会社であるトヨタ、デンソー、豊田自動織機、アイシンと議論を重ね、まずは、デンソー株式の一部を売却することについて合意しました。

 

これまでの良好な関係を保つことができる資本関係を維持しつつ、売却によって得られた資金を有効活用することにより、トヨタグループの更なる成長を実現でき、資本効率の向上にも繋がるためです。

 

デンソーには、引き続きトヨタグループにおけるソフトウェアの牽引役として、グループ全体の競争力強化に貢献していただきます。

 

また今回当社が得た資金は、〝電動化〟〝知能化〟〝多様化〟の取り組みを始めとした成長投資に活用する予定です」と話している。

 

なお、その他グループ各社との資本関係の見直しについては、各社の人材、オペレーション、風土、事業関係等の現状を確認しつつ、今後の競争力強化について1社1社オーダーメイドで丁寧に検討を進めたいとしている。

 

デンソー株式売却の概要
売却予定株式数 :124,868,100株(予定)
保有比率 :売却前 24.2%=売却後 20.0%(予定)
※ 直近の発行済株式総数(自己株式除く)(2,995,373,516株)に対する保有株式数の割合

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。