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2023年12月6日【経済・社会】

アリックスパートナーズ、ADAS関連の調査レポート発表

坂上 賢治

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ADAS への消費者の信頼度は高く、2030年までに1,910億ドルの市場規模に

 

グローバル・コンサルティング・ファームのアリックスパートナーズの日本オフィスは12月6日、米国・ドイツ・中国の消費者を対象とした「ADAS(Advanced driver-assistance systems、先進運転支援システム)に関する調査レポート」を発表した。

 

アリックスパートナーズは、1981年設立。ニューヨークに本社を構える結果重視型のグローバルコンサルティング会社。企業再生案件や緊急性が高く複雑な課題の解決支援を強みとしている。

 

民間企業に加え、法律事務所、投資銀行、プライベートエクイティなど多岐にわたるクライアントを持ち、世界20都市に事務所を展開。日本オフィスの設立1981年となっている。

 

同日本オフィスによると、米国・ドイツ・中国の消費者を対象(対象の詳細は後述)は、ADASの利用経験の有無に関わらず、サブスクリプション(月額提供)を含む様々な支払いモデルに関心を持ち、対価を払う価値があるとみていることが明らかになったという。

 

より具体的には、今後数年間に新車購入を考えている幅広い消費者の間でADASは大きな需要がある。同社の調査によると、自動車メーカーによるADAS関連ビジネスも加速的に拡大する傾向にあり、2030年までにはグローバルベースで1,910億ドル近くの市場規模になり、このうち37%がサブスクリプションからの収益となることが予想されると述べている。その当該の調査概要は以下の通り、

 

ADAS(先進運転支援システム)に関する調査
時期: 2023年上半期
実施: アリックスパートナーズ
対象: 米国、ドイツ、中国の18歳以上の消費者3,239名(米国1,016名、中国1,220名、ドイツ1,003名)
内容: ADAS機能に関する認知度、普及率、利用状況、満足度、購入意思決定への影響、他の消費者への推奨度など。

 

上記、延べ3,200人以上の消費者を対象に実施した同調査では、ADASを利用したことがない層、または過去にADASで不快な経験をした層を含め、回答者の多くがADASの機能を信頼すると回答した。

 

信頼する機能は、自動車技術会(SAE)の定める自動運転レベルの衝突警告などに対応する「レベル1」から、ステアリング、ブレーキ、緊急時の自動運転の完全制御などの最上位の「レベル4/5」まで広範囲に亘る(図-1)。

 

図1:自動運転機能への信頼度合い/アリックスパートナーズ

 

また、消費者はADASの技術がそれほど高度でない「レベル2」に2,800ドル、「レベル2+/レベル3」には4,300ドルを支払う価値があると考えている(図-2)。

 

図2:自動運転技術への許容価格(USD)/アリックスパートナーズ

 

更に、回答者の多くが、次回の購入時に重視するADAS機能として、アダプティブ・クルーズ・コントロール、自動緊急ブレーキ、高速道路でのハンズフリー走行、渋滞時の車線追従や自動駐車を挙げた。ADAS体験者は、ADASを経験したことがない層と比べてこれらの機能への期待値が12〜52%ほど高くなった(図-3)。

 

図3:次回購入時に重視するADAS機能/アリックスパートナーズ

 

アリックスパートナーズによると、消費者がADASを積極的に採用したいとする傾向は、同社の「グローバル自動車業界見通し」レポートを含む最近の自動車業界調査でも明らかになっているとしており、特に中国市場に於いては、消費者は馬力やハンドリング、その他、目に見えない車両属性よりも、「CASE」(コネクテッド、自動化、シェアリング、電動化)技術を重視する傾向にあるという。

 

同調査についてアリックスパートナーズのマネージング・ディレクターで自動車・製造業プラクティス日本チームリーダーである鈴木智之氏は、「本調査の結果では、消費者はADASによって実現する安全性やコネクティビティに対価を払う意思があることが明らかになりました。

 

自動車メーカーにとっては、正しく対応することで消費者の満足度を満たすだけでなく、サブスクリプション・プランの実現による定期的な収益源の確保や、保証コストの削減等につながる絶好の機会といえます。

 

業界の未来は、安全志向であれコネクティビティであれ、日常運転に必要な機能を重視する消費者がリードする形で、最新のテクノロジーの重要度が一段と高まります。

 

消費者が深く関心を寄せるADAS技術についてはできる限り先手を打つべきであり、今後は、新機能や革新的な価格モデルで主導権を握る企業こそが成功の軌跡を辿るでしょう」と述べている。

 

その他に、同レポートで明らかになったポイントは以下の通り。

 

  • ・ADAS体験者は、完全自動運転の「レベル5」に対しての消費意欲が、未体験者と比べ平均で31~40%ほど高い。
  • ・60%の消費者が、安全性と利便性を重視した機能のサブスクリプションを検討している。
  • ・「レベル2」および「レベル3」のADASシステムのコストは、ハードウェアコストの削減により2030年までに38%減少する。
  • ・高度なADASシステム(「レベル3」以上)については、消費者の43%が都度払いまたはサブスクリプションを好み、41%のみが前払いを選択している。

 

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。