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2024年3月13日【SDGs】

バイデン政権、貨物車両のゼロエミッション回廊策を打ち出す

坂上 賢治

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バイデン・ハリス政権は3月12日(ワシントン DC発)、運輸部門の大気汚染削減のための12億ドル(約1,800億円)の資金申請を行うと共に、国家ゼロエミッション貨物回廊戦略( National Zero-Emission Freight Corridor Strategy )を発表した。

 

同戦略は、米運輸省と米エネルギー省(DOE)が運輸省(DOT)および環境保護庁(EPA)と協力して練り上げたもので、ゼロエミッションインフラと同エネルギーの導入を主導するもの。

 

この大型公共投資により民間部門の経済規模を高め、排気ガスの影響を大きく受けている地域社会の大気の質を改善させていく構え。

 

米国エネルギー省長官のジェニファー・M・ケネディ氏は、「1世紀以上に亘り、貨物輸送は米国市場へ資源や食料などを運んできたが、同時にこれらの運輸車両は人口密集地域の公衆衛生の低下にも影響を与えてきた。

 

今後、バイデン・ハリス政権は、アメリカ企業の活動や市場を支えるだけに留まらず、将来世代の環境を守るべく、貨物輸送の変革に正面から取り組んでいく」と述べた。

 

 

また気候顧問のアリ・ザイディ氏は、「これは各地域に於ける環境改善を実現するための大きな動きだ。現在、交通網の4%で大型トラックの75%が走行する環境下にあり、この影響を受ける最も脆弱な地域社会を危機をもたらしている。

 

これらの交通量の多い道路と、それらが接続するハブ地域に対するゼロエミッション投資は、米国内の貨物輸送を変革し、きれいな空気の恩恵を受ける地域社会のみならず、同戦略により数百万ドルもの燃料費を節約できる企業にとっても、地域社会に貢献できる自らの取り組みを訴求できるチャンスだ」と説明した。

 

更にアレックス・パディラ上院議員は、「この画期的な戦略により、地域社会にきれいな空気を提供し、クリーン技術に係る産業育成に資するゼロエミッション社会の実現に一歩近づくことができる。

 

政府を挙げてこの取り組みを推進し、大型車両のインフラ構築を加速する私の呼び掛けに耳を傾けてくれたバイデン・ハリス政権に感謝する。

 

連邦政府と業界パートナーによるこの総力を挙げたアプローチにより、カリフォルニア州と連邦政府のゼロエミッション目標がようやく実現できるようになるだろう」と歓迎の意を示した。

 

 

なお米国内の貨物輸送路、輸送施設、利用頻度の高い港へEV・FCVに適した投資を集中させることは、2030年までにZE- MHDV販売を30%へと拡大させたい政府目標実現のための鍵にもなる。

 

それを前提に国家ゼロエミッション貨物回廊戦略では、主要な貨物回廊とハブを組み合わせたインフラ投資を優先順位付けを、以下4つのフェーズに沿って展開していくものとしている。

 

– 貨物量に基づいて優先ハブを確立(2024~2027年)
– 重要な貨物輸送ルートに沿ってハブを接続 (2027 ~ 2030 年)
– 回廊接続を拡大し、ネットワーク開発を開始 (2030 ~ 2035 年)
– ユビキタスアクセスのための地域回廊を結び、全国ネットワークを実現する(2035~2040年)

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。