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2022年1月20日【イベント】

TGR、3台の「GRヤリスラリー1」でWRC2022に挑む

NEXT MOBILITY編集部

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TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamは1月20日より、モナコおよびフランスで開催される2022年FIA世界ラリー選手権(WRC)第1戦「ラリー・モンテカルロ」に、セバスチャン・オジエ/ベンジャミン・ヴェイラ組(GR YARIS Rally1 1号車)、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)の、3台のGR YARIS Rally1で参戦。

 

ハイブリッドユニットを搭載する新開発のトップカテゴリー・ラリーカーで、90回目の開催を迎える伝統のラリー・モンテカルロに挑み、二年連続優勝を目指す。

TOYOTA-GAZOO-Racing・ロゴ

2017年にデビューしたヤリスWRCは、昨シーズンの最終戦ラリー・モンツァ(イタリア)で通算26勝目を飾り、ドライバー選手権、コ・ドライバー選手権、そしてマニュファクチャラー選手権を制し、三冠を達成した。それからわずか8週間後、チームは新たに開発したGR YARIS Rally1を、2022年シーズンの開幕戦ラリー・モンテカルロに投入する。1997年から2021年まで25年間WRCのトップカテゴリーを支えてきたWRカーに替わり、2022年からはハイブリッドユニットを搭載するRally1が最上級カテゴリー車両となる。3.9kWhを発生するバッテリーとモータージェネレーターユニット(MGU)からなるハイブリッドユニットは、加速時に最大で100kw(134PS)のハイブリッドブーストを発生。それに組み合わされるエンジンは、ヤリスWRCで実績を積んできた1.6リッター4気筒直噴ターボを最適化したものとなり、システム全体では500ps以上の最高出力を発生する。また、FIAの世界選手権として初めて、100%サスティナブルな燃料を使用することもRally1車両の大きな特徴としている。

 

シャシーに関しては、新たに専用開発のスペースフレームを採用し、ドライバーおよびコ・ドライバーの安全性を従来よりもさらに高めている。その他にもエアロパーツの簡素化、メカニカルギアシフトの採用、アクティブセンターデフの廃止など、新しいRally1レギュレーションに準拠したシンプルな設計がなされており、これまで以上にドライバーのテクニックの差が出やすいクルマとなった。また、ステージ中にハイブリッドブーストをいかに上手く扱うかもRally1では重要な要素となり、ドライバーだけでなく、エンジニアにとっても大きなチャレンジとなる。

 

2021年の春に走行試験を開始したGR YARIS Rally1は、その後テストを重ねて進化を続け、ここ数週間は2022年の開幕戦であるラリー・モンテカルロにフォーカスしたテストを行なってきた。1911年初開催の、WRCで最も長い歴史を誇るラリー・モンテカルロは、基本的にはフレンチアルプスを舞台とするターマック(舗装路)ラリーだが、山間部のステージには降雪路面や凍結路面もあり、天気に大きく左右される非常に難しいイベントとして知られている。そのため、新設計のクルマで戦いに臨む選手たちにとって、2022年のモンテカルロは例年以上に大きなチャレンジとなる。また、今年はラリーの中心がフランス南部のギャップからモナコへと移り、2021年大会と比較すると、約85%が新しいステージとなる。しばらく使われていなかったステージや、新しいステージが増えることも、ラリーの難易度を高める要素となる。

 

 

 

 

ラリーは20日(木)の午前中にシェイクダウンが行われ、その夕方、モナコ中心部カジノ広場でのセレモニアルスタートで開幕する。その後選手たちはモナコの北側エリアに広がるフランスの山岳地帯を目指し、夜8時過ぎから2本のステージが行われる。そのうち2本目のSS2は、2013年以降実現していなかった、夜のチュリニ峠を走るステージ。この、初日の2本のステージに、2021年8回目のドライバーズタイトルを獲得したオジエは1番手の出走順で挑む。これまでに8回ラリー・モンテカルロを制しているオジエは、長年コンビを組んできたコ・ドライバーのジュリアン・イングラシアが昨シーズンをもって引退したため、新たにベンジャミン・ヴェイラをコ・ドライバーに迎え、昨年に続く優勝を狙う。ただし、今シーズンの出場はモンテカルロを含む数戦に限られ、オジエはエサペッカ・ラッピとクルマをシェアすることになる。また、昨年ドライバー選手権2位のエバンスと、同4位のロバンペラは全戦に出場し、ドライバーズタイトルの獲得を目指す。なお、昨年のサファリ・ラリーで総合2位を獲得した勝田貴元と、コ・ドライバーのアーロン・ジョンストンは、新たに創設されたTOYOTA GAZOO Racing WRT Next Generationからシーズン全13戦に出場し、4台目のGR YARIS Rally1をドライブする。

 

競技2日目の21日(金)は、モナコの北西エリアに広がるフランスの山岳地帯で3本のステージを各2回走行。今大会最長のステージ距離を走る一日となるが、日中のサービスがなくピュジェ=テニエでのタイヤフィッティングゾーンしか設定されないため、新開発のクルマをドライブする選手たちにとっては非常に難しいチャレンジとなる。

 

翌22日(土)は、前日よりもさらに遠く西に離れた、ディーニュ=レ=バン周辺の山岳地帯が戦いの舞台に。5本のステージを走るこの日もまた日中のサービスはなく、クルマに大きなダメージを与えないドライビングが求められる。

 

最終日の23日(日)は、金曜日のステージに近いアントルヴォーの周辺で2本のステージを各2回走行。最終のSS17は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されている。ステージは全部で17本、合計296.03km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1511.47kmが予定されている。

 

 

セバスチャン・オジエ / ベンジャミン・ヴィエラ

エルフィン・エバンス / スコット・マーティン

カッレ・ロバンペラ / ヨンネ・ハルットゥネン

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。