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2020年6月2日【テクノロジー】

三菱商事とNTT、HEREへの出資完了

坂上 賢治

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 三菱商事と以下、NTT(日本電信電話)は、2019年 12月に新設した在蘭持株会社(出資比率50%:50%)を通じ、2020年5月29日付でHERE(HERE Technologies)の株式30%の取得を完了した。(坂上 賢治)

 

この取引完了に伴い、三菱商事の常務執行役員コンシューマー産業グループCEOの京谷裕氏、NTTの常務取締役新ビジネス推進室長の栗山浩樹氏 の2名がHEREの監査役会に加わった。現在、HEREの直接的・間接的な株主は、Audi、Bosch、BMW Group、Continental、Intel Capital、三菱商事、Mercedes-Benz、NTT、パイオニアの9社となっている。これによりHEREはアジア太平洋地域での成長を加速させていく構え。

 

 HERE社は、位置情報サービス分野のリーディング企業として自動車業界で確固たる地位を築いてきた。また近年は、運送、物流、メディア、通信等、幅広い分野へ位置情報プラットフォームを提供している。

 

 HEREへ出資した三菱商事とNTTは、2019年12月にデジタルトランスフォーメーション(DX)による産業バリューチェーンの変革と新たな価値創出を目的に業務提携。両社が進めるDXに於ける中核技術のひとつとして、HEREが有する技術基盤を活用して物流・都市 交通・リテイル・金融等におけるロケーションサービスの展開を進めていく構え。

 

 具体的な一例としては、HEREが有する世界最大規模の位置情報データベースを活用、車両の位置・運行状況等を可視化した上で、物流時の最適ルートを提供するサービス開発に取り組む。

 

これにより今後需要が高まる宅配(ラストマイルデリバリー)、幹線輸送(ミッドマイルデリバリー)に携わる物流業者等との提携検討を目指す。より具体的には年度内に複数の実証事業の開始を視野に入れている。

 

その他、地方都市のスマートシティプロジェクトでも新たなモビリティサービス(オンデマンドバス等)が注目されているなか、HEREの持つ位置情報を集積。同事業者・利用者にとって最適な交通輸送手段の展開にも取り組む方針だ。

 

 三菱商事とNTTの両社は「今後も双方の強みである産業知見とICT技術を活かし、HERE社との協業を加速させ、HERE社の企業価値向上や提供サービス拡充に努めてまいります」と話している。

 

一方、HEREのエザード・オーバーベック(Edzard Overbeek)は「三菱商事とNTTを当社の長期的な成長を支援する戦略的投資家として新たに迎えることができ、嬉しく思います。位置情報データテクノロジーが、イノベーションを促進し、効率性と持続可能性を高め、最終的には世界をより良い場所にする大きな可能性を秘めていることを両社が認識した結果だと考えています」と結んでいる。

 

出資のスキームは以下の通り

 

1.三菱商事株式会社 概要
本社所在地:東京都千代田区丸の内 2-3-1
創立:1954年
事業内容:天然ガス、総合素材、石油・化学、金属資源、産業インフラ、自動車・モビリティ、食品産業、コンシューマー産業、電力ソリューション、複合都市開発の10グループ体制で幅広い産業を事業領域として多角的なビジネスを展開
代表者:代表取締役社長 垣内威彦

 

2.日本電信電話株式会社 概要
本社所在地:東京都千代田区大手町1-5-1
創立:1985年
事業内容:移動体通信事業、地域通信事業、長距離・国際通信事業及びデータ通信事業、不動産事業、建築・電力事業等(子会社919社・関連会社123社)
代表者:代表取締役社長 澤田 純

 

3.HERE Technologies(HERE International B.V.)概要
本社所在地:オランダ・アムステルダム
創立:1985年
事業内容:カーナビ用、BtoB事業者、自治体向け、デジタル地図及び位置情報サービスの提供
代表者:Edzard Overbeek、CEO

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。