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2022年9月7日【エネルギー】

建設技術研究所、AIによる大気汚染物質濃度情報を提供

坂上 賢治

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半閉鎖空間での汚染物質滞留のイメージ

 

局地的、短期的な大気汚染物質濃度の情報提供サービスの開始へ

 

1945年に創立された財団法人・建設技術研究所が前身の国内最初の建設コンサルタントである建設技術研究所(本社:東京都中央区、代表取締役社長:中村哲己)は9月7日、AIを用いた再現性の高い大気汚染予測モデルの作成に成功。同社は、これに基づく高精度な局地・短期的な大気汚染物質濃度の情報提供サービスを開始すると発表した。( 坂上 賢治 )

 

これまで自動車から排出される大気汚染物質濃度の予測計算では、従来手法のプルーム・パフモデルを用いて開放空間に於いて大気汚染物質が充分に拡散する事を前提としていた。しかしそれでは道路両側に高層ビルが連担している半閉鎖空間では適用が困難だ。

 

また、プルーム・パフモデルの代替手法として考えられる数値流体力学CFD(Computational Fluid Dynamics)モデルでは、あらかじめ現地条件を3次元的に精緻に再現する必要がある。従ってCFDモデルでは、局地的な気象状況の反映や濃度拡散の再現に課題がある。

 

これまでの大気汚染物質濃度予測を覆すAIによる予測精度

 

そこで建設技術研究所は、より容易に大気汚染の予測濃度を捉えられる手法を開発するべく、常時観測されている大気汚染物質濃度等の公表データをベースに用いて独自のAI予測モデルを構築させ、局地的な大気汚染物質の将来濃度の時変動を精度よく再現させる手法を開発した。

 

AI予測モデルのinputとoutput

 

この新しい予測モデルは、大気汚染物質濃度を観測・公表している全地点の汚染物質の発生と、拡散傾向等を19時間先まで定量的に予測でき、12時間先までの1時間値で平均誤差0.01ppm以内、早朝5時までの実測値と19時間先までの予測値を組み合わせた日平均値では平均誤差0.005ppm以内の予測精度を確保出来ている。

 

今後は大気汚染物質の将来濃度を弾力的に運用する事が出来る

 

予測値と同時刻の実測値との比較結果(NO2)【12時間先の予測の例】

 

今後は、この新たに開発したAIモデルを用いて市街地の交差点等での局地的かつ短期的な大気汚染物質の将来濃度の提供サービスを開始していく構えだ。

 

今後は、この技術をサービスとして用いる事により、道路交通管理者側は交通需要マネジメントを大気汚染物質の将来濃度に基づいて弾力的に運用する事ができ、高濃度発生日に的を絞った効果的な沿道環境対策が行える可能性がある。例えば、迂回誘導などの交通転換施策を計画的に多くのドライバーへ対して周知する事を可能となる見込みだ。

 

株式会社建設技術研究所

〒103-8430

東京都中央区日本橋浜町3-21-1 日本橋浜町Fタワー

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。