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2024年5月6日【MaaS】

ダイムラートラック、大型貨物BEVで欧州テストを敢行

坂上 賢治

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電動長距離トラックを用いた自社史上最大規模の走行テストを実施

 

ダイムラートラックは5月6日( 独バーデン=ヴュルテンベルク発 )、自社ブランドのメルセデス・ベンツ・トラック( Mercedes-Benz Trucks )の新電動フラッグシップ車の「eアクトロス600( eActros 600 )」のプロトタイプを今夏2台起用し、自社史上最大規模の走行テストを実施することを明らかにした。

 

同テスト実施の意図は、同車に搭載されているバッテリー(  同車には、207kWh のバッテリー パックを3基搭載しており、合計搭載容量は621kWhになる )の絶対性能を確かめることにある。実際、今テストでは総重量40トン級の車両と貨物を引き、欧州域内20以上の国を跨く13,000キロメートル以上もの長丁場を走り切る予定だ。

 

その目的は第一に、同走行テストを介して出逢う様々な地形や気候帯などの環境下に於いて、求められるバッテリーの絶対性能が想定通りに発揮できるかを検証することにある。また得られた調査結果は、未来の顧客となる輸送事業者とも共有する。

 

第二に同テストを介して、物理的な大陸横断をどのように消化すれば良いのかをシミュレーションとは異なる真のリアル環境下で確定していくこともある。そのため今走行テストでは、公共の充電ステーションのみを選んで、車載バッテリーへの充電を繰り返していく最も実用に近い行程を辿っていく。

 

 

eActros 600は、中間充電なしで約500Kmの航続距離を走破できる

 

そもそもeActros600 は、既存の内燃エンジンを搭載した長距離トラックと同じ使い勝手で大陸横断をこなせるべく、約600キロワット時超の高密度なバッテリー容量と、新たに独自開発された効率性を極限にまで高めた電気駆動アクスルにより、中間充電なしで約500キロメートルの航続距離を走破できるスペックを持つ。

 

この500キロメートルの航続距離は、欧州に於ける輸送事業で、いち長距離輸送にあたる約60%が500キロメートル未満であることから、これを目標に開発された。このような環境下では、到着拠点の貨物の積み下ろし場所で充電インフラの設定があれば、長距離貨物車両としての役割を充分に果たすことができる。

 

但し、それ以降の航続距離を欧州全土で稼いでいくためには、公共充電インフラの継続的な拡張が不可欠となる。そこで今年4月にeActros 600は、最大400 kWのCCS標準充電機能に加えて、将来に於ける出力1メガワット充電 ( MCS ) も可能にした。これにより適切な充電ステーションを繋いでいくことで、1回あたり約30分で20~80パーセントの繰り返し充電が可能となる。

 

そこでこれらの条件を踏まえて今回、「eActros 600 European Testing Tour 2024」と名付けられたテスト走行では、欧州の幾つもの国境を越え続ける長距離輸送を見立てて、一般的な公共充電ステーションの各地域のポイントをシームレスに繋いでいく運行経路を消化。そうした特別ではない、誰でも走り・充電することがことができる一般的な移動行程でも、既存の長距離トラックとして求められる使い勝手と航続距離を走破しなければならないことを証明する。

 

 

いよいよeActros 600が市場投入されることを発信するメッセージに

 

この一般的な運行業務に限りなく近い輸送行程をこなしていくことに対してメルセデス・ベンツ・トラックでグローバルテスト責任者を務めるクリストフ・ウェバー博士は、「私たちはここ数年、様々なeActros 600のプロトタイプを開発し、それららのテストを繰り返してきました。

 

それは極寒のフィンランド北部もあり、また高温環境のスペイン南部もあり、そうした厳しく過酷な環境下で、この車両はその能力を遺憾なく発揮してきた実績を持っています。

 

そうした苦労を重ねてきた我々の開発過程も、量産開始の数か月前となり、いよいよ最終工程にあたる総仕上げの段階に入っています。 今回の〝eActros 600 European Testing Tour 2024〟では、そんなeActros 600が市場投入されることを輸送産業に向けて発信するメッセージとなります。

 

私たちは今回、2台のeActros 600プロトタイプが、走行テストの過程で多くの人の目に触れること。そして当社史上最大規模となる同計画の実施か成功裡に終わることを確信しています」と述べている。

 

 

昨年末の受注開始後、既に1,000台以上の確定注文を獲得

 

対してメルセデス・ベンツ・トラックでマーケティング並びに販売を担当、加えてサービス部門の責任者でもあるスティナ・ファーガーマン氏は、「eActros 600に対する顧客の関心は非常に高いです。昨年末に受注活動を開始して以降、既に1,000台以上の確定注文を頂いています。

 

現段階では、顧客へのデモンストレーション車両の提供が、今年後半まで開始されないという状況を考慮すると、この成果はより感慨深いものとなります。多くのお客様は、この車両の納車を長らくお待ち頂いており、そこにはeActros 600の完成度を信じて下さっている多くのお客様がおられることを証明しているとも言えます。

 

そうしたなかで実施・消化される今回の〝eActros 600 European Testing Tour 2024〟では欧州の広く巡るなかで、e-トラックの真の性能やオプションなどに関わる周辺知識をお伝えするなどのコンサルティングサービスの提供等にも重点を置いていきます。

 

また私たちは、長距離輸送分野に於けるバッテリー式の電動トラックがもたらす可能性についても心を込めてお伝えし、エネルギー分野や事業に於ける意思決定様、更に一般の方々へも伝えていくことににより、電動トラックの可能性を大きく高めていきたい考えです」と話している。

 

なおこのeActros 600による欧州テストツアーは、6月11日にフランクフルト/マインを起点に開始される。また走行ルートなどの詳細も追って発表される予定となっている。併せて非公式には先11日の前日にあたる10日、ヴェルト・アム・ラインのメルセデス・ベンツ・トラックの拠点と、ラインフェルデン=エヒターディンゲンのダイムラー・トラックAG本社でも出発式が行われる予定だ。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。